第1
初投稿です。よろしくお願いします。
「あれ?また消えちゃった。」
「いてもいなくても変わらないって。」
「そうだね、どうせ邪魔になるだけなんだもの。」
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学校に行ったら、まずゴミ箱を漁る。それが快晴の日課だった。
帰る時にはきちんと下駄箱に置いておく上履きは、朝になるとどこかに隠されている。小学校の中庭にあるゴミ収集場所には、いつもたくさんのホコリや、飲み終えた牛乳パックが集まっていた。それに目をつけたらしい、最近のいじめっ子たちの流行りはゴミ箱だった。
「処分されていないだけ、いいよね。」
周りの生徒のコソコソ話を気にしつつ、臭くなってしまった上履きを履いて教室へ向かう。
ここ、里川小学校は、自然に囲まれた古い学校だ。子供たちからは不満の声が多いが、何だかんだ皆もここが好きだった。
快晴もまた、その一人だ。裏山で弟とセミ取りをしたり、花火を楽しんだこともあった。皆が口を揃えて、ここを思い出の詰まった場所だと言う。
教室に着くと、みんなの目が一斉にこっちに向く。一瞬、シンと静まり返ったかと思うと、皆口々に「また来たのか」や、「もう来なくていいって言ったのに」などの陰口をヒソヒソと話し出す。勿論、快晴に聞こえるようにだが。
「おい。」
いじめっ子のボスである晴彦が口を開いた。ヒソヒソと話していたクラスメイトたちが静かになる。
「おはよう、晴彦くん。」
「今日もくっせぇ上履き履いてるんだな。」
晴彦の言葉に、数人のクラスメイトがクスクス、ゲラゲラと笑い始めた。快晴は恥ずかしい気持ちになったが、これももうお決まりの会話になっていた。
「そうだよね、ごめん。」
微笑を浮かべながら、席に着く。落書きされた道具箱の中には、今日は生ゴミが詰まっている。
明日も、明後日もこのままなのだろうか。だけど今、反抗したら一体どうなってしまうんだろうか。迷いと、漠然とした不安を背負って、道具箱を持って歩き出した。