0. バラ園の裸の妖精
初めまして、黄飴です。先日久しぶりに書いた小説がとても楽しくまた彼らのお話がモクモクとどんどん膨らんで来たので、短編ではなく中編から長編で彼らの世界を文章にしたいと感じ書き始めました。楽しく完結できるよう頑張りますので宜しくお願いいたします。
…リィ?
何か音が聞こえた。視界は真っ白で眩しく、身体はぽかぽかと温かい。なんていい心地だろう。
フェリィ
今度ははっきりと強い音が聞こえ同時に私が揺さぶられた。人が心地よい気持ちになっているのを邪魔をするのは何者かとムッとすると真っ白だった視界にぼんやりと何かが浮かびあがった。
「フェリィ!!」
視界に浮かびあがったのは真ん丸お目目のまん丸い柔らかそうな奴だった。奴の真ん丸の瞳の中には奴と同じようなまん丸いフワフワの肌色の物体が睨んでいて、少し吃驚した。
奴は私の視界に入ったのが嬉しかったのか、バッと私から離れて口角が上に上がり飛び跳ねたかと思うと、
「ショーン!フェリィ!!フェリィがいるんだ!目を開けたんだよ!!」
とどこかへ向かい大声をあげた。するとバタバタと世話しない足音が響いてくる。
「お坊ちゃまバラ園にいらっしゃったのですね…!お坊ちゃまは隠れるのがお上手でショーンはとても探しましたよ…っ!!」
ぜぇぜぇと息を切らせながらやってきた丸くない固そうな物体は、奴に向かってそう声を掛けた。こいつら一体なんだ。と不審に思っていると奴が嬉しそうに固そうな物体に近寄っていき何やらコソコソと話している。そうして丸い奴は私に視線を向けた。にこにことした顔で聞いていた固そうな物体も同じように視線を向けたが、サッと顔が青くなったかと思うとすごい勢いで近寄ってきて物体が纏っていた黒いものをフワッと被せられる。視界が急に真っ暗になってしまい慌てるが抑えられているのか視界は真っ暗なままだ。
「あー!!なんでフェリィを隠しちゃうの~!!ショーンのイジワル!!」
「お坊ちゃま!この子は本当にテーブルの上で裸で寝ていたのですか!?」
「そうだよ!だから妖精さんだっていってるじゃないかー!」
丸い奴の不満そうな声と低い慌てた声が聞こえる。私の視界は真っ暗でポカポカしてなくて動けなくて耳に入ってくる音も私の心を黒く煽ってくる。怖い、怖いよ。
「ふぇっ…!」
私の気持ちと比例するように聞こえたもう一つの高く透き通った情けない音が丸い奴らの音に交じって聞こえた。
「フェリィ!!」
力強く”フェリィ“と呼ぶその高くて丸い優しい声は、「あ!お坊ちゃま!!」と慌てるもう一つの低い音を押しのけたかと思うと、今度は真っ暗だった視界からフワッと飛び込んできたのと同時にポカポカとした温かさに包まれた。
「フェリィ!泣かないで!びっくりさせちゃってごめんね!もう大丈夫だよ、テオがついているからね…!!あと意地悪なショーンも!!」
そういって更にギュッと温かさに包まれ、私はその温かさと丸い奴の“フェリィ”と力強く優しい音色が心地よくてそっと丸い奴に体重を預け目を閉じた。
「うわっ!?重い!」
「お坊ちゃま!?」
少しグラッと揺れたが、その後丸くないやつも私の後ろから丸い奴を抱き込んだのだろう、とても心地よい。
「え?フェリィ…?」
「お坊ちゃま、妖精は寝てしまいましたよ…。」
丸い奴も低い声の“お坊ちゃま”もとてもポカポカとしていて意識はまたポカポカの世界へと飛んで行った。