〜遊園地〜
本日2話目です。是非読んでください。
俺の朝は早い。毎朝6時30に起きて、軽くストレッチをする。その後家にある器具で少し動いた後シャワーを浴び、朝ご飯の準備をする。
以前、父親からどんな生活をしているんだ、と聞かれたことがある。父親は少なからず自分たちのプレッシャーが息子を潰したのを後悔していたようで、引きこもり生活にも目を瞑ってくれていた。そこで、上記の説明をすると、
「お前それで引きこもりか!?」、と驚かれた。
だがこっちの俺はろくに料理もしてなかったらしい。仕方がないので冷蔵庫にある食材だけでまかなうことにした。ご飯に味噌汁。卵焼きに鮭と野菜。
まあ、こんなもんだろ。典型的な朝食を食べ終えたあと、昨日パソコンで調べたことを紙にまとめ上げる。
・ 国の方針で男は働かなくても国から月80万の手当が貰える
・ 住む場所は自由。また、住む際の家賃などは全て無料
• 一夫多妻制が設けられており、25歳までに3人、30歳までに5.6人との結婚を義務付けられる
・ この世界の男は顔のレベルが低い。その代わり女性のレベルは驚くほど高い
• この世界の女性は全員感情を抑制する効果がある腕輪、チョーカー、ミサンガ等を付けている
・ 男性は日々女性の獲物を狙うような視線を受けているため、女性嫌いなそうだ
まあ、こんなところだ。ちなみにこのマンションではある程度のものなら頼めばお金を渡して買ってきてもらえるらしい。流石に、図々しいのでそんなことはしないが。
とりあえず生活に必要そうなものを頼んでおくか。パソコンを起動。通販で調理器具、筋トレ器具、食器、棚、アイロンなどを頼んでおく。明日の昼には届くらしい。支払いは全部クレジットだ。余談だがクレジットの残高をみて卒倒したのは内緒である。
‥‥何をしよう。ここまでは順調に物事を運んできたが、特に今はすることもない。まだ朝の9時なのに。
と、その時スマホがバイブレーションした。あ、マナーモードにしてたな。そういえば昨日から何度も電話が来てたっぽいな。清水湊誰だろう?とりあえず出るか。
「もしもし?」
「蓮っ!」
「うおっ、どうした?」
「どうした?じゃないよ!こっちは蓮が頭打って意識がないって心配したのに!病院出たなら直ぐに連絡してよ!」
「あ、ああ、すまん」
「はぁ、まあいいよ。無事だったなら。‥‥それより蓮、なんか変わった?」
「え?なんで急にそんなこと」
「いや、この前ならそんな素直に謝らなかったし‥」
「まあ、あれだ。人は成長するんだよ」
「あはは、何それ?」
「まあ、何か要件があるんだろ?」
「うん、1つは蓮の安否の確認。もう1つは遊びに行かないかってこと」
「遊びにか?まあ、いいぞ。」
「やった!どこ行く?遊園地でいい?」
「おう」
「じゃあ‥‥」
なんやかんやで俺は清水湊と遊びに行くことになった。声は少し中性的だったが間違いなく男友達だろう。記憶がない俺にとっては重要な人だな。俺は予定時間の15分前に待合せの駅についた。ーー舞浜駅ーー。そう、俺達は男2人でTDSに行くのだ。ちなみに電車には男性専用車両というものがある。普通の車両に乗ろうとしたら、スーツを着たおっさんに全力で止められた。普通車両を見ると女達がよだれを垂らしながら肉食獣の目でこっちを見てきた。‥‥あのまま乗っていたらどうなっていたか‥。スーツのおっさんには感謝してもしきれないよ。
ーー予定時間5分前ーー
「ごめーん。待った?」
やっと湊が来たようだ。そのルックスは、うん、美少年だな。この世界ではレベル高いほうなんだろうな。
「いや、別に。そんなことより行こーぜ湊」
「あ、待ってよ蓮」
実はこっちのTDSはどうなっているか気になってテンション上がっているのは内緒だ。
お互いテンション高めでTDSに乗り込み、次々とアトラクションを制覇していく。
男性は入園料タダ、アトラクションほとんど待ち時間0分、というハンデがあるからだろう。
今はお昼時になり1回休憩している最中だ。
「あー疲れた」
「何言ってんだ。まだまだこれからだろ」
「蓮の体力が凄いんだよ」
まあ、湊は少し小柄だから仕方がないか。
「次、どこ行く湊?」
「ジェットコースターは周回したいよねー」
「そだな」
1回休憩してテンションが元に戻ったところで周りの視線が集まっていることがわかる。
まあ、主に湊に注がれているだろうが。
その視線に気づいた湊が不愉快そうな顔をする。
「どうして女はこんなにデリカシーが無いのかな?」
黒い、黒いですよ湊さん。
「まあ、そんなこと言うなよ。慣れればそれで終わりさ」
「蓮がそんなことを言うとは‥どうしちゃったの?」
「いや‥俺らも大学出て1年だろ。そろそろ義務が迫ってきてるし、前を見なきゃな」
「そういえばそうだったね。‥本当に嫌になるよ。そんな考えができる蓮は凄いなぁ」
「ま、今は楽しもうぜ!」
「うん!」
結局俺達は全アトラクションを制覇。ジェットコースターを3周したところで園内から出ることにした。
「あー楽しかった」
「これから夕食食べに行かない?」
「なんならうちに来るか?」
「えっ?蓮の手料理!?」
「駄目なのか?」
「いや‥蓮って料理できたんだ」
「舐めるなよ、湊。絶対に美味しい、って言わせてやる」
2人でふざけながら我が家まで行き、部屋に案内する。
「おー広いね」
もう少し驚くかなと思ったが、住む場所を指定できるのならまあ、仕方がないだろう。
(作るのは‥鶏の唐揚げでいいか)
先にご飯を炊き、味噌汁を作っておく。同時進行で皿と調味料、油を用意。鶏もも肉を一口サイズに切り片栗粉を全体にまぶし、サッと油で揚げる。俺の唐揚げは元の世界でも人気だったから行けるはずだ。湊といえば、俺の作業のスピードに目を丸くしている。
うん、こんな感じだろう。
「湊、召し上がれ」
「い、いただきます」
湊が唐揚げに箸を伸ばし、一口。
「美味ッ!?」
「は~い湊の負けー」
「し、しまった」
「「‥‥‥」」
「「あははは!」」
「はぁはぁ。ふふ、くだらない争いだったね」
「あはは、そうだな」
2人で笑い合いながら食事を食べ進める。
「「ごちそうさまでした」」
「美味しかったよ蓮。ありがとね」
「どういたしまして」
2人で食器を片付けた。
気付けば時計はもう10時を指していた。
元の世界だったら「こっからだ!」的なムードだが、こっちでは女性がアレなのであまり遅くなると危険そうだ。
「湊、時間大丈夫か?」
「ん?あっもうこんな時間か‥そろそろ帰るよ」
「おっけ、見送るわ」
エレベーターで下に降り、外に出る。
「ここまででいいよ。今日は楽しかったよ蓮」
「こちらこそ、だな湊。また今度」
「うん、またねー」
湊と別れて、部屋に戻る。
明日何すっかなー。あっ、そうだこっちの家族に会っておくか。
早速、スマホの電話帳から母さんの欄を探す。
ババア
で登録してあった。おいおい‥いくら女嫌いでもこれはないだろ。
ちゃんと
母さん
に直しておいた。
とりあえず電話だな。
コールが3回して電話な繋がった。
「もしもし?」
「れ、蓮!?あなたから電話って‥なにかあったの!?」
「大袈裟だなぁ、母さん。明日実家に帰りたいんだけど、なんか用事あ‥」
「キャアァァァァ!!??」ブツっ。
突然叫び出して電話を切られた。‥なんで!?
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