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束縛勇者の受難  作者: なるすん
2/4

そうして彼は勇者になる

説明回というか 準備回が続きそうです。

これは書いてみると楽しくてやたら長くなってしまうので頑張って自重します。


「ここではなんですから、別の部屋に参りましょう。」


マールとしては年がそれほど離れていない男性の裸を見るのが、恥ずかしい一心のようだった。



しばらく歩き石の階段を登り終えた後、先ほどの場所が地下だったと知らされた。階段は屋敷のようなところにつながっており日は沈んでいたものの、ロアの不思議な光で廊下は照らされていた。



「このランプみたいなのから出ている光って一体なんなんですか?」




「これはロアです。世界の不思議ですので詳しくは解明されてないのですが、簡易版の魔法を使用して継続的に光を作っているんです。」



彼は驚いた。少なくとも現代日本に置いて魔法なんてものはなかったのだから、当然ではある。



「魔法ですか、俺の世界にはそんなのは空想のものだったので、驚いています。それって俺も使えるようになりますかね?」



「ロアは世界に満ちているので使用は難しくないと思います。人それぞれですが私はロアの潜在力は低いですが、操作は得意だったりします。得意不得意はあると思いますが問題はないと思いますよ。」



そう答えてくれたマールの言葉に彼の心は不謹慎にもはしゃいでいた。



程なくして部屋についた。少し大きめの部屋で、少なくとも日本での彼の部屋よりは格段に大きかった。

部屋の模様はまさにヨーロッパのお屋敷の一室だった。



「それでは私は明日の準備がありますので、イワン様、勇者様、失礼します。」



マールの仕草は完璧で洗礼されていた中にも少女としてのあどけなさが残り可愛らしいものだった。



「あ、ありがとうございます。」



「マール、今日は本当にご苦労だった。ゆっくりと休んでくれ。」



彼とイワンはそれぞれ挨拶を済ませ、マールを見送った。



〔あの人マールさんって言うのか、自己紹介し損ねた、可愛いひとだったしまた会えるといいな〕






よこしまなことを彼が思っている中、イワンが話を切り出した。



「勇者様、改めて召喚にお答えくださりありがとうございます。 お疲れのところでしょうが、お話をさせていただきたいのです。 貴方が召喚された理由、この国のこと、まずは、、、」





イワンは丁寧にわかりやすく話した。



〔イワンさんの話をざっくりまとめると、勇者召喚は伝承にあやかったものということか。

その昔このフレイ王国や他諸国に災いが降り注いだ。

災いは人々に絶望を与え、フレイ王国の国王は己の膨大なロアを全て使用して命をかけて勇者を召喚し、そして勇者は災いを払った。か〕



「それで、フレイ王国にはどんな災いが?

あ、敬語じゃなくても大丈夫です。普通にしてください」



年上からの敬語というのはなれていないし、くすぐったい。それよりもその厄災が戦争だったら冗談ではないと彼は思っていた。



「そうか、それならばお言葉に甘えよう。勇者様も対等の言葉でよろしくたのむ。 その厄災というのは魔物だ。普通の魔物ならいいのだが凶悪な魔物の増え方が異常なのだ。各国はこれを厄災の前兆とみなした。そして行われたのが勇者召喚だ。君の他にもまだいる。」



イワンはバツが悪そうに答えた。



「俺の他にもいるんですか? 魔物ですか、魔王とかじゃなくてとりあえずは安心です。」



「そうだ、しかし過剰にロアを摂取していった魔物はいずれ魔王になる可能性もあるのだ。各国はそれを恐れて皆保身のため勇者召喚に手を出してしまった。 フレイ王国は最後まで反対していたのだ。過去に呼んだ勇者が元の世界に帰れないことを嘆いたと記されていたからだ。我々の世界は我々が守るべきと。」




「それを無視し皆勇者召喚を行なった。各国が厄災が終わった後その強大な勇者の力を戦争に悪用するかもしれない、そう思うと我々はどうしようもなく不安に駆られた。民を守りたいが、1人の人生を狂わせて良いはずがないのだ。だが、我々は誘惑に負けてしまった。本当に申し訳ない。」



イワンは物凄い勢いで頭を地面につけ謝罪した。

国を守るために誇りも捨て、自分よりもふた回りも幼そうな彼に全てを押し付けてしまったことの罪悪感にさいなまれながら。



「許してくれとは言わない、勇者様が怒るのももっともなのだから、しかしだ、どうか、どうか力を貸して欲しい。この国の民のために、どうか、、、」




イワンはもともとから正義感の強い男だ。

生まれてこの方、全てを王国の繁栄に捧げてきた。

戦のために体を鍛え上げ、政治のために勉強をした。そんな男が苦渋の決断として行なったこの行為は、決して褒められるものではないが、覚悟の無いものが侮辱して良いものではなかった。



「イワンさん、顔上げてください。こんなこと言うのもおかしいと思うんですけど、そんなに前の世界にはこだわりなんていんです。ひどい人生でしたから。」



彼は優しい声で続ける。



「待ってる人なんていないんです。俺には、、

案外ちょうど良かったのかも! 命を賭けろと言われるとそんな覚悟はないんですが。 ちょっと楽観的すぎますかね」



「勇者様、、、」



彼はスッと息を吸う、イワンの覚悟には、自分の覚悟で返すのが礼儀であると言うように。



「イワンさんは好きなフレイ王国を守りたい。俺は自分の生活ができる環境が欲しい。その生活の中で、

フレイ王国を好きになれれば、それで俺は勇者になれると思いますから。」



これが彼の偽りない思いだった。元の世界に戻りたいわけではない、ならば必要としてくれる人のためになにかしようと。



「今日はもう遅いですし、この辺にしましょう。

また明日にこれかららのことを話しましょう。」



彼の答えに少なくともイワンの気持ちは楽になった。



「わかった。今日はありがとうございます。

それでは勇者様、また明日に。」



「イワンさん、おやすみなさい」



それを聞いてイワンは部屋から出ていった。



〔なんとなくて勢いで勇者になっちゃたな。

でも元の世界よりは案外ましなのかも。とりあえずまた明日考えよう。 誰かにおやすみ言ったの久しぶりだったな〕



そんなことを考えながら、部屋に用意されたベットに倒れこみ、彼は眠りについた。

こうして彼は勇者になった。




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