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7、夕食とストーリークエスト

 僕はギルドのホームページに記載されていたコードを使って、生産ギルド「けもけも」のページを街にあるギルドの検索機能から見つけると、僕の種族を記載し加入申請した。

 申請が許可されるのはまだしばらくかかるだろう。

 僕は夕飯を食べにログアウト。

 今日のご飯はなんだろう?




「紅葉ー、どんな感じ?」

「スライムが可愛くてつらい」


 僕は箸で鶏肉をつまみ口に運ぶ。

 オレンジソースの甘酸っぱい、まろやかな味が美味しい。


「え?」

「だからスライムが可愛くてつらい」

「そ、そう」

「母さんはどんな感じ?」


 母さんも午前中とかやっていたはずだ。

 何をしていたのだろう?


「母さんはママ友と草原をぶらっとしてきたわ」

「ママ友と?」


「そうそう、テル君ママとサキちゃんママ、ナカちゃんママの3人でね」

「テルとサキ、ナカもやるんだ」

「そうそう、母さんたち注文するの同時だったからかな、今日みんなのところに届いたらしいの」

「ふーん、そうなんだ」


 ゲームで会ったら何か話そうかな?

 ログインするタイミングは同じになるだろうし、機会もあるだろう。


「ねぇねぇ、母さんは種族をテン、ジョブはファイターを選んだの。

 紅葉はやっぱり種族はテン、ジョブはサモナー?」

「ジョブは合ってるけど、種族はウサギを選んだよ」

「ウサギ?」

「ウサギ」

「ウサギかぁ、テン子ちゃんリスペクトしてるのに」

「いいじゃん。直線的な素早さはどの種族よりも高いんだから」

「でも小回り利かないんでしょ?」

「ネコ科のチーターとかに比べたらね。

 そこまで悪い物じゃないはずだよ」


「母さん、紅葉、マッサージの方はどんな感じだ?」

「母さんはシェイプアップコースを選んだの。

 なんだかこう……キュッってしてると思わない?」

「いつもより顔色いいね」

「僕の方はトレーニングコースだね、父さん。

 効果の程はすぐにはわからないかな」

「いつもよりも食べる速度が速い気がするぞ。

 マッサージでお腹が減ったんじゃないか?」

「そうかな」

「結構効果がありそうだな」

「繰り返し使っていたら大分大きそうだね」


「ご飯食べ終わっちゃった。先にあがるね。ごちそうさま」

「紅葉、自分の分は洗っていってね?」

「はーい」


 洗い物を済ませると僕はすぐにゲームを再開した。


 ………………紅葉のいなくなったリビングでは………………


「母さん、今夜はゆっくり……」

「父さん、ちょっと激しくても大丈夫よ」

「そうだな、紅葉もあの中だしな」

「えぇ、激しくても」

「分かった! 分かった!」


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「っくしゃんっ! っくしゃんっ!」


 誰かが僕のことを噂したのかな?


 僕は赤レンガの門をくぐり動画で何度も見た町へと入った。


 赤いレンガの道、レモンイエローの平屋、宙を飛び跳ね屋根から屋根へと移動するプレイヤーたち。

 赤いレンガの道の中央には露店があり、建物と露店の間には人1人しか通ることができない。


 僕はスマホを確認するとマップ上に青いカーソルが表示されている。

 クエストカーソルだ。

 このカーソルの先に訪ねるべきNPCがいる。


 僕は道を跳ねて平屋の上に跳び乗りカーソルの指すほうへと跳ね走る。

 1歩ごと跳ねる。


 天子様が広めた、このゲームで最速の走り方。

 1回の歩幅と1秒間に何回地面を蹴れるかの回転数を調整する。

 ギルドマスターのフォロは、歩幅が30m、回転数20を超え、秒速600mを超える速度で移動できるという。お化けか。ソニックブームを起こすわ。


 今の僕も水平距離10mは大幅な減速なしに跳ねることはできる。

 回転数が厳しいだろう。回転数は5くらいだろうか?

 秒速50mってやばいわ。時速180㎞だ。車よりも速いわ。

 現実よりも回転数も速くなってる。


 僕は歩幅を伸ばす方向で音速を超えることを目指そう。

 音速なら秒速330から340mくらいだ。

 秒速340mを目指すとなると回転数が5だと歩幅は68m。

 ステータスが育てば到達できるのだろうか?

 秒速600m目指すと回転数が5だと歩幅は120m……。

 ……。頑張ろう。


 ちなみに光速は秒速7.5万㎞。

 回転数5だと1歩1.5万㎞。回転数75で1歩千㎞。

 光速へはさすがに誰も到達できないだろうな……。

 あ、でも入手難易度が高すぎるという、高性能なアチーブメントスキルがあれば可能なのかもしれない。


 確認されているのは出現確率が1%以下のイレギュラー中のイレギュラー個体を5種か5匹倒すことで入手できる、天子様の【一寸法師】などだ。

 5mサイズが通常だとしてサイズが2m以上離れているのが出現確率が5%程度のイレギュラー個体。

 イレギュラー中のイレギュラー個体で確認されているものは通常が5mサイズのモノが20mサイズ。


 怪人が巨大化したのと同じだ。ロボでも持って来い。


 イレギュラー個体でさえ出てこないのにイレギュラー中のイレギュラー個体が出てくることを期待するのは効率的ではないだろう。

 入手難易度を考えれば狙っても入手できないのがアチーブメントスキル。

 もしかしたら生産回数だとか生産の品質だとかでも入手できるのかもしれない。

 僕が欲しいのは筋力増強系だから筋トレでもすればいいのか?


 人にぶつからないように跳ねながら目的地にすぐに到着。

 赤い屋根の、周囲のレモンイエローの屋根と色が違う、その建物の中へと僕は入った。


「こんばんわ、見ない顔ですね、この町は初めてですか?」


 中に入ると身長が120㎝もない小さな女の子に出会った。

 ハーフリングの店主のコロコロンさんだ。

 白いエプロンにくすんだ黄緑色のワンピースが特徴的だ。


「はい、ここは雑貨屋さんで間違いないですか?」

「ですね。僕のところでは日頃使うものを中心に雑貨をそろえていますよ。ロープとかどうですか?一番の売れ筋ですよ」

「すみません、今日のところは何も買う予定がないのですよ」

「そうですか……では買い取りをしましょうか?

 スライム玉からなんでもモンスターの素材は買い取りますよ?

 落ちている石ころも量があれば使い道があるので買い取りしますし、使い道があると思うものはなんでも買い取りますよ?」


 石ころも量があれば……か。

 なんでも買い取りするのか。

 プレイヤーに売れないものはここで換金と。


「すみません、今は手持ちに何もないので買い取りもちょっとムリですね」

「そうですか……ではまたのお越しをお待ちしていますね」


 コロコロンさんは至極残念そうな表情。

 小さな子供のこういう顔ってなんでこうも罪悪感を感じるのだろうか。

 狙ってやっているなら策士だな。

 あ、運営は狙っているな、チクセウ。


 僕はコロコロンさんに手を振りその場を後にした。

 僕は似たようなやり取りを鍛冶屋さん、薬屋さん、スキル屋さん……もとい図書館で行った。


 ストーリークエストが終わりアチーブメントを入手。

 次のクエストは……?

 まだ解放されない。前提クエストを消化していないのだろう。


 うーん? どうしようか。


 あ、サモナーになったのにまだ召喚してない。


 スマホを開きスキルリストからサモナーの項目をタップ。

 サモナーのスキルからサモンを選択すると召喚できるモンスターのリストが出てきた。


 今、僕が召喚できる種族はスライムだけ。

 その原型のピュアスライムという種類のようだ。


 サモナーは種族毎に1匹しか召喚できない。

 召喚できるのはソロで倒したモンスターの原型で、このモンスターを育てることで様々なモンスターに進化させるのだ。


 僕はピュアスライムを召喚してみた。


 空中に白いポリゴンが浮かぶと塊になり様相を変えていく。

 1秒にも満たない、一瞬の出来事。

 それは透明な球体になり赤いレンガの上に降りてきた。


 直径が1m程の大きさのある透明なスライムがそこにはいた。



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