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22、ダイレクトメッセージ

 ディベートで決着をつけると不思議な雰囲気になり、その場を解散した。

 それに僕にしても考えることが増えている。


 今まで漠然とヒーローと考えていたが具体的にどういうものを想像しているのかがはっきりしていないのだ。

 ヒーローとはどんな存在なのか?

 考えているものは変身ヒーローだろうか?

 戦隊モノは人数的な問題で考えないとして仮面ドライバーのようなヒーローを目指すべきか。


 仮面ドライバーはどういう存在か?

 変身して怪人と戦う?

 そもそもの問題としてRSOに怪人はいないぞ。

 悪の組織もないな。たぶん。

 だとしたら敵のいない仮面ドライバーって何をしているのだろう……。

 力を追い求めていけばいいだろうか?

 悪の仮面ドライバーになりそうだな。

 目的なき力か。

 そもそも正義にしたところでそれはただの意見に過ぎないのだ。

 自身の意見が正しいと思うから、世間一般的に見て正しいと思うから正義だと考えているだけで、反対の立場から見てみれば必ずしも正しい意見だとは考えられないものだ。


 正義とは自分の立ち位置を守るための方便だともいえる。


 じゃあ、僕の立ち位置はどこにあるのだろうか?

 僕はサモナーだ。そしてサモナーの始祖とでも言うべきテン子様を信仰している。

 信仰で間違いない。

 テン子様を絶対正義として考えて行動していけば立ち位置は定まるだろう。

 テン子様が目指している物は何だろうか?


 今までのテン子様の行動を振り返ってみよう。


 テン子様、RSOに降臨なさられる。

 後の超巨大ギルド『けもけも』のギルドマスター、フォロさんと出会い、ギルドを結成。

 解体幼女テン子様として名を馳せ、ギルド『けもけも』の広告頭として活躍する。

 解体の有用性を広めそれまで及び腰だった層に解体の技術を広げる。

 解体幼女テン子様は解体初心者の専任講師として名を上げる。

 サモナーを支援する店舗『もふもふ』を立ち上げる。

 サモナーの有用性を知らしめた。


 RSOにおいて大きく貢献した出来事を抜粋してみたが、その素晴らしさを十分に伝えることはできないだろう。

 テン子様はその不思議な生態がとても魅力的なのだ。可愛らしいのだ。

 フォロさんが隠し撮りしている動画で彼女はサモンモンスターに甘え緩んだ顔をしている。

 あの可愛さにやられた人も多いだろう。

 衝撃のヤゴぱく事件の動画は大いに荒れた。

 あのサモンモンスター達との心温まる触れ合いからの惨劇は大変だった。

 あれ以降ヤゴはテン子様ファンの敵である。


 脱線してしまったが、テン子様はサモナー仲間を増やそうと取り組んでいるのだと思う。

 しかしサモナーを支援するテン子様の店舗は超巨大ギルド『けもけも』の中にある。

 初めからそこを目指して行かなければ見つけることは困難であり、辿り着けなければ序盤で戦闘が詰むサモナーを育成することはほぼ不可能だろう。

 サモナーを育成する程酔狂な店舗をテン子様のところ以外で行っているとは考えられないし、サモナーを始めたとしてもあっという間に断念することになるだろう。


 つまりだ。現状、テン子様が唯一サモナーとして成功していると言っても過言ではなく、テン子様専用の職業としての認識が強まる一方だ。

 これはテン子様の本意かと言われたら違うだろう。僕がサモナーとしてやっていけるように環境を整えてくれるその姿からしてもそうだ。

 テン子様はサモナーのお仲間が欲しいのだろう。


 だから目指すべき今の正義はマイナー化しているサモナーの布教だ。

 サモナーの敷居を低くするための施設は既にある。

 サモナーになるメリットも十分用意されている。

 問題なのはサモナーになる人がテン子様の店舗に辿りつけないこと。

 つまりテン子様の店舗を繁盛させて有名にしてサモナーになりたい人の募集をかけること。


 現状の問題点は店員の少なさだ。そもそも僕以外の店員の存在は知らないがいるのだろうか?

 ……店舗で撮られた動画でテン子様以外はお客さんの姿しか見たことがない気がするのはフォロさんの趣味だと思いたい。仮に店員がいなかったとしたらテン子様がいない時間以外は閉店しているってことだ。

 この状況で入店しようという人は限られていることだろう。

 テン子様の趣味のお店にしか見えない。その状況でサモナーとして1人前になりたい人が来るだろうか?

 僕みたいにテン子様のファンでなければサモナーとして店員としてやっていきたい人は来そうにない。


 あ、でもテン子様が目指している店舗について知らない。

 この件については話し合わないと。

 どういう店舗を目指しているのかわからないと行動の方向性を決められない。

 でもテン子様はまず僕の強化を望んでいるかもしれない。

 ……でも一応聞くだけ聞いてみようか。聞くだけならそんな時間はかからない。


 学校はさらさらっと過ごし、お昼はテル達と過ごす。

 僕はテルとサキの掛け合いに合いの手をたまに入れながら過ごしていた。

 僕が話の進行をやるとガチめな内容にしかならないし、息抜きができる2人の掛け合いのうまさにはいつも惚れ惚れしている。

 コミュニケーション能力が高い人は本当に羨ましいな。

 僕はまだまだだ。まだまだ伸ばさなければいけない能力が多い。


 一緒にいて人を楽しませられる能力は何にも代えがたい能力だと思う。

 どんなに高い能力があっても意思疎通がとれなければその能力を十全に発揮することはできない。

 そして不和を生めばその組織を腐らせてしまう。

 それに対し人とのコミュニケーション能力が高い人は本来結びつかない者同士を結びつけるクッションとなりえる。

 結果として活動の幅を広げることに繋がり、それこそフォロさんの如く超巨大ギルドを作り上げることも不可能ではないのだろう。


 テルを通して僕の世界を広げていくのはいいけれど、テルがいなければ何もできない状態になることは望んでいないのだ。

 最低限でいい。2人きりで過ごして楽しいって思わせられる、そのコミュニケーション能力が欲しい。

 相性のいい人と楽しく過ごせるだけのコミュニケーション能力があればそれでいい。


 ナカと2人きりで過ごしても楽しんでもらえれば……


 ん?……いやいやいや。まだナカが僕の事を好きだなんて確証はない。

 テルの事をナカが好きだからとか、僕が意識しすぎてナカの事を見てしまうからだとか、考えればいくらでも憶測なんて立つ。

 ……考えてなんか悲しくなったよ。


 僕は帰宅すると準備をしてすぐRSOの世界へとログインした。

 白いカプセルの天井を最後に意識は世界を越えた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 僕が最後にログアウトした場所はテン子様の店舗『もふもふ』だ。

 そしてログアウトした時に言われていたのは


「DMの確認ですね」


 DM。つまりダイレクトメッセージ。

 フレンドにならなければ使うことができない。

 特別なメッセージの送り方。

 相手がログインしていない時でもこの方法であればメッセージを送ることができる。

 そんな方法である。悪用防止のためかフレンドにならないとこの方法でメッセージをやり取りすることはできない。

 そうフレンドでなければDMはできないのである。

 フレンドでなければ。


 重要なことなので強調させていただきました。


 僕は自身のスマホに似た端末を操作すると白い手紙のマークの上に中に数字が書かれた青いバッジが点灯していた。

 とめどない興奮を尻目に開いた1枚目は


『5月!ゴールデンウィーク特別イベントを開催予定です。

 イベントストーリー

 第2の街の闘技場で』


 はい。運営メッセージです。ゴールデンウイークとか1か月以上先なんですが?

 ハイハイ。それはいいので問題はテン子様からのお手紙はどこですか!

 メッセージ欄をスクロールしていくと『ユーザーメッセージ』という枠を発見。

 ほとんど別枠じゃないですか。


『拝啓、クリム君へ。このメッセージを読むのは私がこの世界からログアウトしてからになるでしょう。

 それでは心して聞いてください。

 まずギルドへ行き』


 鍛治する場所への案内が書いてありました。

 ですがね……


「なんでメッセージの書き方が遺言みたい何ですか?テン子様……」

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