玩具箱
pixivにてあげていた小説をこちらでもあげさせて頂きました。半年前の作品ですので季節が違いますがご了承ください。
ある男が言った。「今日はブルームーンだね」と。ある女は言った。「別段、月は青くないよ」と。男は言った。「月が青く輝くからブルームーンと言われるんじゃないよ」と。男は続ける。「ひと月に二度も満月が味わえるからこう呼ばれてるんだ」と。男は女を自分の物にしたかった。恋、愛そういう訳じゃない。ただ、セフレの一人に仕立てあげたかった。だからこそ「二度も『月が綺麗だ』と君に言えるんだ」と伝えたかったのだ。しかし女は違った。女は遠くを見ながら「月は人間の玩具じゃないのにね」と呟いたのだ。男もこれには驚いた。「何故そんなことを思うんだい」男は聞かずにいられなかった。女は言った。「昔はそんなことを気にもせずに、人は月を楽しんでいたのに、今ではやたらと変なイベントを作って月を見てるじゃない。そして『思ってたのと違った』、『面白くない』と言われるの。こんなことを言われる為に月は生まれてきた訳じゃないのにね」
ある男性はある女性を玩具扱いしている。人間は月を玩具扱いしている。それを掛けて『玩具箱』というタイトルにしました。
如何でしたか?皆さんの月に対する考えは変わったでしょうか。これを書いた頃は夏でしたが今のような寒い時期は月も星も綺麗ですね。私の地元では乾燥しているからでしょうか。歩きながらただただ上を見上げて星空を眺めるのもいいものですよ。イヤホンして音楽聴きながらってのも素敵なものです。
これを機にゆっくりと空を眺める時間を取って頂ければ幸いです。