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田中さんとうさぎ




「おい、今のはボールじゃねえだろーストライクだろー」

「……」


今日もまた、トイレの個室を開けたらうさぎがいた。

携帯をテレビにして野球観戦のようだ。


「五回裏……あれ、あんたまだ学校いんの」


こっちの科白だと思うわたしは間違っているだろうか、否。


「いつまでいるの、住んでるの、不法侵入じゃないの、てかここ女子高だけどどうなの」

「細かいこと言うねー」


決して細かいことではないけれど、何だかもう通用しないような気がした。

きっと進言したところで、都合よく解釈されるんだ。

まあいい、先生はうさぎはいないと言っていた。


「お、いい球投げるじゃーん……で、名前何てえの」

「は?」

「あんたの名前」


唐突だった。


「あんたは?」

「俺うさぎ」


言う気はさらさらないようだ。


「わたしは田中さん」

「『田中さん』さん?」

「ふざけんなよ」


ちょっとだけ苛ついたわたしはまだまだ子供かもしれないが、野球観戦片手間に女子高生に名前を聞く自称うさぎもどうなんだろうか。


「ふーん、よろしく田中さ……うわーっ、打ーたーれーたー!」


ばたん、とドアを閉めた。

ぱちん、とトイレの電気を消した。


「おー映画館みてー」


さ、帰るか。




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