64 理なんてお断り!
アリスside
「あー、もう一回か?いや二回くらいか」
「あわわ……ごめんなさい。あの、私まだ治癒の術は不完全でして。他の方にしていただいた方が痛くないと思います」
「いいよ、俺で練習しろ。もうちっとここに霊力を流して……いってぇ!!」
「ひゃっ!?ご、ごめんなさい!」
現時刻0時を回りました。流石に眠たいですね!!
白石さんと清音さんは竹刀で打ち合ってスッキリしたようで、治癒術の練習中です。私たちはそれをジトーっと眺めています。
カップルは妬ましいので、白石さんはもっと痛い思いすればいいです!!
結構なケガだったので皆んな、おいそれとは動けないんですよね。私も体中痛いです。
「さて芦屋さん、ご相談です。仮眠後に朝の修練をされるでしょう?私も同行させてください。
祝詞を音にせず奏上してどんな風なのかを拝見したいのです」
『別に構わないけど、真さん山寺は大丈夫なの?子供達は?』
「はいはい、私が留守の時はショウタロウが副住職を務めておりますから。
鈴村が発案した『怨霊を神にするプロジェクト』に参加して、もうすぐ神になりそうなほどに成長しました」
『そ、そうなの!?コトリバコのショウタロウが……。神様になると成仏出来なくなっちゃうけど、良いのかな』
「えぇ、本人がそう望んでいますから。
次々に持ち込まれる呪物との対話も慣れたものです。山菜料理も上手になりました。もうすっかり一人前ですよ」
『はぇ……そうかぁ、あんなに小さくて甘えん坊だったのにな。成長したのは嬉しいけど、以前みたいにお膝抱っこできないのは複雑な気持ちだ……』
「性格は変わっていませんよ。あの子はいつまでもだーい好きな芦屋さんのブロマイドを持ち歩いています」
『えっ?ブロマイド!?な、何それ、いつの間にそんな物を!?』
「おや、ご存知ありませんか?ヒトガミ様に勾玉を捧げた者たちが作った、ファンクラブ発行のものを」
『ちょっと待って。ファンクラブって何!?何でそんなの出来たんだ!?』
「浄真殿、その組織はウチのヒトガミファミリアに申請がありませんね?」
「伏見はうるさいですねぇ。文句を言うならファンクラブ創設者の平将門殿へお願いします」
『おい!将門さん何してんの!?ちょ、聞いてない!!伏見さんはファミリアって何!?』
「僕たちは家族ですからね。芦屋さんの何かが関与する場合、許可を取っていただいてます」
『へー……って、本人の許可は!?俺、何にも知らないんだけど!』
「言ったらダメだというでしょう」
『当たり前だろ!?』
何だかわちゃわちゃ始まりましたが、私も将門さんからブロマイドをいただいているので沈黙します。なお、撮影はイナンナさんがしてくださった画質最高峰のものですからー!
鬼一さん、星野さん、妃菜ちゃんも飛鳥さんも押し黙っているところを見ると、同じようですね。颯人様もそうみたい。
胸元に忍ばせたお写真は、将門さんおすすめの百均で買った『推しの写真を収める可愛いスリーブ』に入れてます。硬化プラスチックで出来てて自分でデコれるんですよ。私はハートのシールを貼ってます。
最近はこう言うのを《推し活》とか言うらしいですね。好きな人の〝何か〟をこうして持ち歩くグッズがたくさん販売されていて、ありがたいです。
たくさん写真を所持してますが、近頃持ち歩いているのは……出雲神議・調印式の、桜舞が終わった後の写真です。
桜の花弁の柔らかな雨に包まれて、颯人様と手を取り合って。とっても幸せそうに微笑むお姿は、瞼を閉じれば昨日の事のように思い出せますけど。
こうして形になっていると、いつでも一緒にいられるような気がして幸せな気持ちになれるんです。
とても良いものですね!推し活は!
はて……そう言えば、こんな風にして真幸さんといつも一緒にいた方が居たような。颯人様でもなく、ピアスに変化した赤黒さんでもなく。
はっきり思い出せませんが、朧げに浮かぶと言うことは間違いない。恐らく、この方が記憶操作をしているのだろう。
そう言えば…………もしかして、お写真に写っているのでは!?
ブロマイドスリーブを取り出し、じいっと真幸さんの胸元を眺める。――何か、いる。まんまるの毛玉……ホワホワしていて、あったかそうな何かが。
「おや、アリスもその写真をお持ちですか。素晴らしいお写真ですよね、私もA2くらいに伸ばして寝室の天井に貼っています」
『なっ!?何で!?真さんはなんで寝室に貼るんだ!』
「秘密です」
『どうしてだよぉ……』
「浄真殿はいかがわしいですが、アリスは抜け駆けですね!!僕もその写真が欲しいです!!」
「伏見さんうるさいです。ちょっとこれを見てください。ふと思いついたんですが、写真って記憶操作術の影響……受けませんよね?」
「ハッ!もしかして、写真に写ってるんか!?」
「そう言えばそうよ、記憶操作の術は写真に影響しないわ!」
「はい、妃菜ちゃん夫婦のおっしゃる通りみたいです。皆さんはどうですか?」
全員の胸元からスリーブが出てきて、真幸さんは呆然としている。颯人様は笑いを堪えてプルプルしてますけど。
伏見さんもちゃーんと持ってるじゃないですか。桜の花びらを模した造花に囲まれた綺麗なスリーブは、私よりも技巧が凝らされていてちょっと欲しいです、それ。
真幸さんが私の写真を覗き込んで、複雑そうな顔をしている。そして、ご自身の胸元にいるふわふわの毛玉を見て、ハッとしたお顔になった。
『本当だ、これ……やっぱり胸元が寂しい気がしてたんだ。調印式の舞でも一緒だったなら、普段も間違いなく一緒にいたはずだよね』
「姿を見ても思い出せぬとは、よほど強固な術を張ったのだろう。陽の兄まで術を施せるような者が、其方の傍に居たということか」
『どうして、忘れさせたりなんかしたんだ。こんなにそばに居てくれたのに……何で……』
「真幸……」
ホロリと涙をこぼした真幸さんは、颯人様に抱えられて体を震わせている。もう少し、何かあれば思い出せそうな気がするんですが。
白石さんにチラッと目線を送ると、首を振られてしまう。清音ちゃんはものすごーく苦い顔をしている。
記憶がなくなったとしても、清音ちゃんの例を見ていると完全に消されるわけじゃない。事実は無かったことにならず、一時的に思い出せないだけなんだと思う。
真幸さんは胸元をそうっと何度も撫でて、涙をほろほろとこぼし続けている。颯人様が抱きしめて慰めているけど……見ているだけで胸がズキズキと痛む光景だ。
私もその動作を真似て、胸元を撫でてみた。私は仲間内でおっぱいが一番ぺったんこですからねぇ……ここにいてくれたならさぞ居心地が悪かったでしょうね。
妃菜ちゃんは今や真子さん、ウズメさんやイナンナさんと同じくらいボインになりました。真幸さんは私よりも2サイズ上くらいの可愛らしい膨らみですが、私の所ににいた時よりはずっと心地よかったと言って……。
待って……私の胸元にも、その子がいた事がある!!
真幸さんの為なら、伏見さんや白石さんのように手段を選ばずに何でもしていた。小さな子の姿をしていたのに、いつしか影武者のように毛玉になって、ずうっとずうっと彼女を守っていた――あの子!
名前が出てこない……後、もう少しなのに。
私は心許ない気持ちになり、もう一つの推し活グッズをそうっと手にふれる。左手首に巻いた、蘆屋道満と安倍晴明の紐飾り。金色に輝く、真幸さんにもらった大切な物です。
飾り紐の組み合わされた部分を撫でていると耳の中に可愛い女の子の声が聞こえ始めた。
――アリスのおっぱい、硬いね。真幸のは柔らかいのに……何で?
――あのね、いざと言う時慌てるから術の力が散漫なの。他のことはちゃんと遮って大切な事だけ見なきゃダメ。
――どうして意味もなく傷つけられて黙ってるの?我慢していればああ言う輩はどんどん助長するの!アリスが傷ついたら、その結果真幸が傷つくの。
私、そんなの絶対嫌!アリスができないなら私がアイツらを消すからね!!
「あ……ぁ、私、私……」
両手が震え出して、その子の名が頭の中に浮かんでくる。蘆屋道満・安倍晴明と同じく1000年以上命として生きてきた……稀有な力を宿したあの子の名は。
「ッあー!さて!!そろそろ解散して一旦芦屋の朝練まで仮眠しとこうぜ!疲れを引きずったらヤバいだろ!なっ!」
「はいはい、そうしましょう。白石は遅れてきたのですから道場の後片付けをしてください」
「まかせろ!清音も同罪だから手伝えよな!!
あとアリス!えぇと……俺の依代であるお前と話したい。残ってくれ」
「…………はい」
若干慌てた様子の白石さん、はてなマークを浮かべた清音さんと私を残し、みんながお家に帰って行く。
誰も気づいてないのに……白石さんの鼻は相当良いですね。
沈黙が降りた道場の中、白石さんがドアから外を見渡して防音結界を重ねている。アー……めんどくさいですねー。
やがて気が済んだ彼は私と清音さんを呼び寄せ、肩を抱き寄せてこそっと呟いた。
「アリス……思い出したな?」
「はい、思い出しましたよ。『累さん』のことを」
「あっ!ほ、本当ですか!?アリスさん!やった!!!やったぁ!!!」
「ばっ!清音……お前昨日納得してただろ!声を抑えろ!」
「納得してませんよ、一旦保留にしただけです。私は白石さんの言うことではなく、累ちゃんの為に口を黙ました」
「どっちで構わんから、静かにしてくれ。芦屋は地獄耳なんだから」
「あのー、累さんは件の声を真幸さんに渡す為に、いなくなったんですよね?」
白石さんはたっぷり間をとった後、深〜い溜め息を落としてから『そうだ』と小さく呟く。
やっぱりそうですよねー……累ちゃんの考えそうなことだ。
ふと、気づいたんですが。コソコソしてるから気づいてないけど、清音ちゃんはこんなに密着して平気なのかな。
ちらっと顔を覗くと、真っ赤になっている。あーらーらー。
まぁ良いか、たまのご褒美タイムとしておきましょう。
「それで、見つけたんです?」
「……どうして探してるってわかった?」
「月読殿がいないですもん。探しにいかせたんでしょう」
「あぁ、まぁな。はぁ……とりあえずアリスにも清音と同じ話をしておかなきゃならんだろう。座れよ」
「はいはい」
「浄真が移ってるぞ」
「あの方の口調、移りますよね」
「アホなこと言ってねーで話し始めるぞ」
漸く三人で輪になって座り、清音さんの顔色も元に戻る。白石さんは小さなメモ書きをとん、と床に置いた。
そこには『この世の理』と『不文律』と書いてある。
「世の中ってのは、ある程度の決まりや法則がある。誰が決めたかしらねぇがな。今回の場合で言えば、件が生き延びていることがこれを侵している。
件と言う妖怪は『予言を成した後死ぬ、生まれてから四日で死ぬ』と言う法則があるだろ?」
「今回は真幸さんの神力を吸って、預言を成しても生きている……」
「そう。それは、この世の決まりを破っているんだ。そして、予言の一部で件はこう言った。『私の後に件は生まれない』とな」
「……!?まさか、預言の内容も知ってるんですか!?」
「一部だけだ。預言というものは言葉そのままの意味ではないから正しい意味は解読中。
だが、事実として件は生まれないんだろうとは思うぜ。現時点で件が生きてるうちは、次が生まれない。理を崩したなら元に戻せねぇ事もあるだろう」
「……むむ」
「今回の件は、母親の腹の中にいる時から月読の時間操作術の影響を受けている。そんな奴は今までいなかった。この世の理を最初から崩しちまっているんだろう。
あいつは不文律……要するに現世の暗黙の了解である決まりをぶち壊して生まれている」
「まぁ、そうかもしれませんね。生まれてすぐに神に保護され、愛されて育ちましたから。
今までの件なら母牛が育てているか、ほとんどは生まれてすぐくらいに預言を言い渡して死んでいます」
「件は、そんなすぐに……愛を知らずに死んでしまうんですか?」
清音さんが切そうに眉を寄せているけど、愛が存在するかどうかも知らないうちに亡くなるのが普通なんですよ。
件自体の存在がイレギュラーであり、長生きして仕舞えば世界のバランスを崩しかねない。だから、すぐに死んでしまうという法則があるのだと現代では推測されている。
「件の声を手に入れるってのは、おそらく御法度に近いと思う。だって預言者の声だぞ。いくら芦屋に寄せた声だっつったって、移植するのには相当な外法をつかうか……もしくは件自体に強い意志を芽生えさせるか、普通じゃできないハズだ」
「本人が譲渡するとすれば、術自体は簡単になりますね。問題はこの世の理、不文律を侵した事により、何某かが修正をかけてくる可能性があります」
「そうだ。だがな……俺はそれも心配ないんじゃねぇかと思うんだ。それ自体が世界を元通りにしようとする『修正力』の一端じゃねぇか?」
この世の法則を、暗黙の了解を覆そうとしている累ちゃん。
白石さんが『心配ない』というのはおそらく……こう言いたいのだろう。
「芦屋さんがすでに、この世の不文律を侵しているからですね」
「………………そう、だと思う」
私は白石さんの考えていることが理解できて、頭を抱えてしまった。だって、これは。
「もしかして、芦屋さんが常世の国に召されようとしているのって」
「アリスが思っている通りだと思うぜ。芦屋は命自体が熟しすぎた。葦から生まれた原初の命達はあくまでも人として生まれたはずで、神になるハズじゃなかった。
あいつは生まれからして現人神であり、仕事をして行くうちに正式に神としてのステージに載った。やがて颯人さんを失って、取り戻すっていう試練を乗り越えて天津神になり、神の体を手に入れた」
「そうですね、神様を甦らせるなんてやったことが無いと天照殿も仰ってました。天地開闢の神でしか記録上はありません」
「今や芦屋が出来ねぇ事の方が少ない。それが件の声まで手に入れようとしている」
「まるで、運命のように。決まったことのように自然に歯車が回り、おそらくそうなるでしょうね」
「ああ……そして、その後は常世の国に連れていかれる。天照大神さえ踏み入れたことのない、楽園へと歩を進める資格を得てしまう」
沈黙の中に、波の音が重なってくる。
静かな波音は心を落ち着かせるどころじゃなく……忙しない心音をよりはっきりと自分に自覚させた。
『誰が、何のために』なんてもう関係ないほどに真幸さんは熟している。人として、神様としても他の方とはかけ離れた実力を持ってしまった。
この国の守護を自らの命で成し、数々の困難を奇跡で救ってきた。出雲神議までをも統制し『神議』に参加して命のサイクルまで手を伸ばした。
世界の神とも絆を結び、ヒトガミと同盟を結んだ女神が居る。それに賛同してこの国を守る神々が国外にまで存在して、パワーバランスは完全に崩れた。
結果として、この世のすべての神を統じてしまいそうなのでは?あの方の意思一つで何もかもが動かされてしまう……。
ゾワっと背筋に鳥肌が立ったのを感じて、身体が震えた。でも、きっと……そうですね。これは事実として認めなければなりません。
「アリスが考える通り、世の中の神を殆ど絆した芦屋を危険視した。もしくは常世の国にいる〝大いなる意志〟みてぇな何かが芦屋を連れ出して現世の理を修正しようとしている。
それが動いているのだとしたら、抵抗する術があんのか?俺は……恐ろしくなった」
白石さんが肩をふるりと振るわせる姿を見て、私も仄暗い気持ちになる。
確かに真幸さんの存在は、理から外れている。死ぬはずだった運命の人も、彼女に出会えば救われるだろう。
……でも、でもですよ。そんなの……。
「――だからなんだって言うんですか!!ばっかみたい!!」
清音さんの真っ直ぐな声が沈黙を切り裂き、耳に響く。それはもう絶叫に近い心の叫びだった。
「理なんかお断りですし、不文律なんか知りませんね!」
「……中々ウマイな」
「茶化さないでください白石さん!私は、芦屋さんが起こした数々の奇跡は彼女自身の優しさや、赦し、強い意志や根性がなければ成されなかったと思います。
だったら、今更そんなものを振り翳してどうにかしようとする輩はぶちのめしたいです!!!」
「……清音さん」
「アリスさんだってそう思うでしょう!?芦屋さんはどれだけ長い間颯人様との関係を悩んでいたのですか!愛しているのにそう言えなかったんですよ!
それを漸く言える段になって声を奪われて……まだ、お二人は結ばれていません」
「そうだな、アイツはまだ幸せの本当の形を知らないままだ。誰も彼もを掬い上げて、運命を変えてやっているのに。今もずっと、この国を守ってくれているヒーローは……好きな人の子が欲しいって言っていた。
それを、叶えてやりたい」
「はい、そうですね。真幸さんの希望が口にされたのは今まで殆どありませんでしたから。何があっても、そうしてあげられる環境が欲しいです」
「えぇ!だから、決まりだか何だかなんて知りません!私は神継一年生になりたてで、この世の何某かなど存じ上げませんから。芦屋さんは私のご先祖様で、三百余年もの間ずうっと沢山の方を守ってこられました。
だったら、彼女こそ幸せになるべき資格がある……そうでしょう!」
胸の中に痺れるような甘く、激しい熱が広がってくる。清音さんのはちゃめちゃな考え方……真幸さんにそっくり。
仰る通りですね、理も不文律も今まで全てをひっくり返してきたんです。今更そんなものに従う義理はありません。
――運命を切り開くのは、それに挑む人であるべきです。
「私も本日から累ちゃんの捜索に参加しましょう」
「あぁ、頼む。俺も弱気になっちまってた。決まりがあるからってどうなるかなんてわからんよな。何もかも受け入れていたら、人は幸せになんかなれねぇんだ」
白石さんがそういうと、重みがありますね。私ももう一度きちんと考え直して、累ちゃんとお話ししなければなりません。
道満と対峙した後、何もかもを平穏に戻した真幸さんが一人で去ってしまった時……私は目の前が真っ暗になった。寂しくて、悲しくて耐えられませんでした。
あの時はまだお姿が盗み見れたけれど、常世になんか行ったら二度とお会いできませんから。この世の理とやらに挑戦状を叩きつけるしかありません。
「累を見つけて、預言の声を芦屋に渡さない。そして、件を長生きさせて、芦屋をここに留まらせる。
颯人さんと二人の子が生まれて、陽向とだいぶ年の違う兄弟になって……そいつが大きくなっても、アイツは変わらず現世に居てもらえるように踏ん張ろう」
私たちは手を重ね、微笑みあう。ここは清音さんにお任せしましょう!
「清音さんお願いします!」
「うっ……はい。わ、私たちが世界の意思を覆しましょう!理をお断りするために頑張るゾッ!」
「……なるほど、血脈だ。ちっと褒めたのが間違いだった」
「清音さんは違うと思ったのにぃー」
「くっ……芦屋さんの気持ちが痛いようにわかりますよ!!でも、やるぞ!えいえいおー!!」
「「おー……」」
三人で謎の結託を組んでしまったけれど、後悔はしないだろう。
真幸さんの涙が拭えるのは颯人様だけだけど、笑顔をプレゼントすることは私たちにも出来ますからね。
精一杯頑張ろう。私は唇を噛み締め、静かに決意した。




