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【完結】裏公務員の神様事件簿 弐  作者: 只深
ラストラン

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108 真幸


白石side


「陸地境界線に結界を展開しました!」

 

「おっけー、全体的に西側の地区が薄い。そこを重点的に修復してくれ」

 

「了解しました!」


「だから、そこ繋いだらおかしいだろ。シゲはこう言うセンスないな」

「んなこと言ったって……呪力回路の作りがおかしいんだよ。まぁちゃんこそセンスないじゃん」


「シゲよ……真幸の事はようくわかっているだろう?難解にしたがるのが癖なのだ」

「あー……わかるー。まぁちゃんそう言うとこあるー」

「ちょっと。気を散らさないで。早く修復しなきゃみんな限界だろ?

 イナンナ、海外諸国の戦闘機は?」


 ――ザザッ……「イナンナが報告します、マヂ卍ぃ!とりあえず連合を組んでた奴らは全部ぶん投げて国に戻したよ。戦争に(くみ)しろって圧力かけられてた国には、伏見が説明に行ってるー」


「イナンナ……まさか本当にほん投げたんじゃないよな?」

 ――「な、投げてないよ?ちょこっとこう、ポイっとしただけで」

 

「死人が出たならやり直し。それから、記憶操作もしてきて」



 ――「えー、賠償責任問題にしないの?お金になるのにぃ」

「面倒だろ、そう言うの。日本だって左近さんを除いてみんなの記憶は消すんだぞ」


 ――「はいはい、御上の思うがたまにいたしますー⭐️」

「星をつけるな。……うまくやってくれ、頼むよ。そっちは全部イナンナに任せる」

 

 ――「了解!!!」




「芦屋さん、神継が人数不足で神社を繋ごうにも人がいませんがどうされますか」

「うーん……困ったな、そこに術師が居ないと繋げないんだよな。俺が転移して回ろうか?」

「いえ、ここはアマツミカボシをお使いになってはいかがでしょう」


「…………はぁ。仕方ないか」




 虚な脳内を起こし、俺はふらつく体を持ち上げようとして……諦めた。体が泥のように重い。瞼さえ上ってくれないんだ。

 頭の下には柔らかか暖かいものがある。この膝枕には身に覚えがあるぞ。



「き……よ、ね」

「はい、直人さん。私はここに居ます」

「けがは?痛いとこ、ねぇか」


 額に触れた唇が震えて、涙の滴が落ちる。皮膚の上を滑った滴が髪に染みて、思わずホッとした。

皮膚があるって事は、五体満足か?俺はまだ、生きてるんだな。




「私のことより、貴方のことでしょう。目の前で黒いゴミカスになった時は絶望しました」

「ゴミカスは酷ぇ……」

 

「だって、しゅわーってして、どろーっとして、ぱらぱらーってなったんですよ」


「何もわからん。なぁ、いるのか?芦屋は、そこに……」

「はい。常世に渡ったお姿とは違いますが。目隠しはされない方向性になったようです」

「はは。アマツミカボシは、どうしてる?」


「芦屋さんに正座で説教されて、聖域の端っこで泣いてます」

「マジか」




 耳を澄ますと、「くすん、くすん」と小さな泣き声が聞こえる。確かに泣いてるな。芦屋、キレたのか。


 勝手に乾いた笑いが浮かび、体が軽くなっていく。清音に顔中キスされて、何もかも溜まっていたものが霧散した。

 瞼を開けると愛おしい人が微笑み、頬を撫でてくれる。怪我はしてねぇな、煤けてもいねぇし。芦屋が治してくれたのか。


「はい。全部、綺麗にしてくださいました。今は治してもまた壊れるから、日本中がボッコボコのバッキバキですが……国護結界を結んだら全部元の通りにしてくださると。

 それから……もう、常世には行かれないそうです」

 

「そうか……」


 

「はい。芦屋さんが常世に行った理由は、常世を支配下に置くためだと。

 いちいち干渉してきて平和を乱すなら敵だから、ぶちのめすために行ったそうです」

「そんな理由かよ、物騒すぎる」


「ふふ、相変わらずヒーローやってますよ。今は、天災を眷属の方と抑えていらっしゃいます。それから、国護結界のぷろぐらむ?を変えるそうです」

「…………人柱は必要だ。あれは、どうにもならん」


「はい、ですからそれを浄罪の場とすると。黄泉の国から地獄に堕ちた魂を人柱にして、交代制で勤務してもらうそうです」

「人柱を交代制勤務って」

 

「そのために、シゲさんが黄泉を支配したそうですよ。ちなみに真幸さんがイザナミノミコトに進言したそうです。完全に謀られていましたね、私たちは」

「…………」



 思わず閉口してしまい、清音の眉が下がる。心配してくれているようだが、少々腹が立ってきた。

 何もかもが芦屋の思う通りになったってことか……シゲの再起動は計画になかったみたいだが。


 まったく、味方にやられた気分だぜ。




「――アマツミカボシ。手伝ってくれるよな?」

「……うん」

 

「ごめんな、怒りすぎたってわかってるけど。君は殺しすぎた。

 俺にも動かせない魂がいくつかある。常世で預かった〝生死を左右する天秤〟に乗せられないんだ。二度とこの世に戻れない人がいる」


「ごめんなさい……」



 しおらしい声はアマツミカボシのもの、芦屋は口調こそ柔らかいが、怒りが滲み出ている。

 そうだな……アマツミカボシが起こした事件で亡くなった仲間がいる。鬼一の事を思えば赦せない気持ちもあるだろう。


 


「お説教はここまでだ、抱っこしてあげる。お膝に乗っていいよ」

「う、う……」

 

「寂しかったんだよな、本当にごめん。一度会ったきりだった俺も悪かった……ほら、早く」

「うぁ……ぁ、」

 

 大きな泣き声をあげて、アマツミカボシが芦屋の膝に飛び乗る。緑の大地に腰を下ろした芦屋は、優しい微笑みで星の神を受け止めた。



 あぁ、髪の毛も真っ白になったのか。体を清音に起こしてもらい、その光景を目に焼き付ける。

 

 颯人さんも、芦屋も純白の漢服を着ている。

艶やかな絹地の柔らかい服は、詰め襟の中華服みたいな構造をしてる。腰から袴を履き、二人とも赤と黒の飾り帯をつけていた。

 他の飾りは何もつけておらず、髪もそのまま解き放って……夕日の色を体に染めている。


 アマツミカボシを抱きしめた女神は少年姿の後ろ頭を撫でて、頬に唇で触れる。怒りが和らぎ、慈しみの表情に神々がホッと息をついた。



 

「アマツミカボシ。俺のことが好きだよな?」

「……ひっく。うん」

 

「じゃあ俺が依代になるから、契約をしよう」

「は、え?」


「俺は、常世の神・宇宙(そら)の星々の神・八百万の神・全ての超常と契約をもう済ませている。

 残っているのは夫婦で勾玉を交わした神々だけで、それとも同盟を結んでいるから」

「それは、どう言う……」




 颯人さんの顔を仰ぎ見て、静かに頷いたのを確認してから芦屋は口を開く。

芳しいその吐息を吸ったアマツミカボシは頬を赤らめ、目線を彼女に捉えられたままだ。


「俺が全部の頂点だ。全ての神の依代として、今後はみんなを抱えていくよ。

 本当はこんなことしたくなかったんだけど、常世からの干渉を受けただろ?

他の勢力があるから脅かされる、ならばそれを全部平定して仕舞えばいい。

 俺が目指したゴールは、そこなんだ」




 し……衝撃の発言なんだが。まさか、それが目的で常世に行ったのか?あんなに上に立つのを嫌がっていた、芦屋が?


 言葉もなくなった俺に視線をよこし、虹色の瞳が細くなる。儚い微笑みを浮かべた彼女はこくりと頷いた。




「俺は今までこうするのを避けてた。俺なんかにそんな資格がないって思ってたからさ。

 でも、このままだとまた同じようなことが起きるだろ?それなら全部俺に与えてくれ。静かに、安らかな世界を創ろう」


「…………真幸」


「でもね、現世に干渉はしないよ。アマツミカボシが創りたもうたこの星も、それを産んだ宇宙のすべても、いい加減支配を手放すべきだ。

 俺たちはただ静かに見つめていくだけ。全部を人の手に託して、この星の行く末を見守ろう。たとえその先に滅びが待っていても……それが運命だから」


「手放して、なお見守るのか?」

 

「そうだよ。アマツミカボシは元々そうしてきただろ?

 天地開闢の神々もそうだし、全ての超常はずっとそうしてきた。それを崩してしまったのは親父と、俺自身だ」


「真幸は何も、」

「ううん。俺が手出ししなければ世界はあるがままの形でいた。中途半端に手を出したからよくなかったんだ。

 ここから先は俺が全部責任を持つ。そして、人間のままで俺を現世に戻した清音さんと……それを永遠に支えていける俺の左腕である白石に託す」




「あ、しや……」

 

「白石には申し訳ないと思うけど、君のその未熟が俺を決心させた。頂に登ってしまった俺をどう使うかは、白石に全部任せる。俺は腹黒いから、世界征服しちゃうかもしれない。

 だから光も闇も持っていて、なお無垢に憧れる、未熟なままで成長を続けて行く白石に任せたい」




 沈黙が訪れて、やがてアマツミカボシが自分の勾玉を差し出す。空色に光るその勾玉を飲み、芦屋とアマツミカボシは額を合わせて目を閉じる。

 一陣の風が巻き起こり、瞬きをしているうちにアマツミカボシがかき消えて……芦屋は颯人さんの膝の上に抱えられ、ほほえんだ。





「さぁ、最期の契約だ。白石、清音さん。君たちもここへ」


 ぽんぽん、と芦屋の目の前を叩かれて真っ白の頭のままでそこに座る。呆然とした俺の顔を見て芦屋は小さく笑い声を漏らした。

 吐息の甘い匂いが漂い、眩暈がする。



 全部を手にしてしまった女神はオレンジ色の光を纏い、柔らかい七色の瞳でひたと見つめてくる。颯人さんもまた、同じように目線をよこした。




「俺の力は、今や生きとし生けるものを全て左右できるほどになっている。指先の動き一つで世界は滅びるし、機嫌一つで何もかもが灼けてしまう。

 颯人と俺で抱えたものはとっても大きくて、今でも怖いよ。でも、それを託すのは白石だ」


「き、清音は?」

 

「依代の負担を分担するために清音さんが居る。でも、まだ彼女は人間のままだろ。依代の主契約は白石だ」


「俺は、そんな器じゃねぇ」

 

「そうだね、まだ伸び代があるんだ。清音さんが育てば6:4くらいには分散できる。

 そして、アマツミカボシの残した誓約は有効なままだ。……最後に、選んでくれるか」




 芦屋の懐から、小さな石が取り出される。白い石と、黒い石。本当に河原から拾ってきたような石ころを俺の右手と左手に置いた。


「俺の依代になり、現世の裁定者となるか。それを退けて、現世の全てを破壊するか。

 裁定者となるならば、俺は国護結界を復活させて全てを見守る。ならないなら、結界は復活させず全ての超常を抱えて隠遁しよう。颯人と二人で隠れ家に棲んで、二度と姿を現さない」

 

「…………」


 

「白石に出会った時からきっとそうする宿命だったんだと思う。俺が全部を抱えるならば、どう使うかの判断は人の愚かしさを持ち続けた君と、清音さんに託すべきだ。

 この先の未来を作るのは人間なんだから」

 

「…………選べって言う割には、意地悪じゃねぇか?」


「ふふ、そうだよ。俺はちゃんと決意した。颯人と穏やかに暮らしていくためには邪魔者を無くさなきゃならない。大円団のハッピーエンドを何度も迎えたのに毎回覆されるんだもん。

 そんなのはもうごめんだからさ」

 

「……そうだな、そうだった」


 


「清音さんは、白石が裁定者になる場合留学してもらうよ。少昊に話をつけた。中国に渡り、瑞獣(ずいじゅう)になってもらう。白石が考えた通り、海外なら超常になれるだろう」

「……へ、あ、ず、ずい……」


「霊獣、神獣とも言うかな。裁定者のそばにいて、ずっと支える立場だ。

 人のままでは寿命があるだろ?それじゃマズいんだよ。でも、日本では神にしてあげられない。その資格がないから」

 

「……はい、」


「……離れ離れなのか、俺たちは」


「彼女が育てば頻繁に会えるようになるし、饕餮を白石のそばに置く。彼は君たちにご執心だ。

 饕餮を通じて会話はできる」

「強くならなければ、会えないんですか?」


「うん、そうだ。清音さんが瑞獣になれば、ずうっとそばにいられるようになる。年月を必要とするけれど、いつかは一緒にいられるね」




 お互いを見て、俺たちは下がり切った眉の形を確認して苦笑いする。


 こんなの半ば脅しじゃねぇか。ひでー奴だな。

裁定者なんて名前をつけているが、要するに芦屋を監視してくれってことだろ?


 この世界のすべての秩序は芦屋が手綱を持っているが、それをどうひくかは俺に任される。

 責任を負わせようって考えじゃないことはわかるが……あまりにも危うい考え方だ。俺が悪い方に染まったら、どうするんだよ。


 複雑な気分になって芦屋の目を見つめると、満面の笑みが浮かぶ。まるで『それでも構わないよ』とでも言うように。


 


「月読は、どうするんだ?」 

「もう俺の依代になってる。悪いけど、彼も俺のものだ。天照と陽向とも契約を済ませた」

 

「……そうか。あいつはようやく古巣に戻れたのか。喜んでただろ」

 

「うん……ちょっと複雑な気分だけど。天照や神社に分霊した神々は存在をうっすら残してあげる。参拝した人たちは祝福を得ることができるし、信仰が保たれれば国護結界は揺らがないだろう」

 

「要するに、()()()世界に戻すんだな?」



「あぁ、そうだね。蘆屋道満が作った依代はいなくなり、君達が唯一無二になる。

 超常たちは確かに存在するけれど姿を表さず、この世を大きく変えることには関与しない。一度この世に顕現した神たちは俺が全部貰い受けるから」


「……直人さん、」

「あぁ」



 清音の手が左手に触れて、俺はそれを握りしめる。

その中に握られた白い石は、芦屋が意図して載せたものだ。

 

 これ以外選ばないだろ?と暗に言っている意地悪なやり方だな。





「では、契約を済ませよう。白石はまだまだ伸び代があるから……」

 

「うっせぇ。さっきそれは聞いただろ」

 

「ごめんて。まだ俺を顕現することは難しいと思う。だから、しばらく隠居生活を楽しませてもらうよ」



 そう言った芦屋の額には、うっすらと汗が滲んでいた。楽しい隠居生活ができるわけねぇだろ。

 この星の神まで飲み込んで、宇宙の彼方まで腹の中に収めたなんて……誰も考えつかないことだ。

 

 お前だってこの先相当苦労することは目に見えている。

結局自分を差し出しているのは変わらないけど……俺を頼ってくれたって、理解していいんだよな?



 

「はぁ……ちゃんと、時々でいいから話してくれよ。無理しすぎんな」

 

「うん、そうする。仲間のみんなは現世に残そう。妃菜も、在清も、真子さんも、倉橋くんと皐さんもそう望んでる。

 白石を支えてくれるって」


「どーーーーせそれもお前があいつらに頼んだんだろ」

「……どうだと思う?」

 

「間違いなくそうだよ。俺は、そこまでの恩を売ってねぇ。お前がいなくなってワタワタしてただけだ」

「ふふ、照れなくてもいいのにな。そう思いたいならそうだと言おう」

 

「チッ」

 


「直人さん、舌打ちはちょっと……。あ、あの、龍神たちはどうなりましたか?アチャは?」

「清音さんの元に戻すよ。8匹はきついだろうから、アチャだけね」

「でも、アチャは八大龍王全てに通じていて……」


「しー。その先は言わないで、あんまりえこひいきすると、みんながヤキモチ妬くからね」

「…………はい」



 白い石を握ったままの俺と清音の手に、両手で俺たちを包んで……芦屋の小さな手が熱を帯びていく。



 


「シゲ、いいか?」

「あぁ、準備オッケーだ!」



 後ろを振り返った芦屋はシゲに了承を得て、目を瞑る。背中から大きな赤い羽が一気に6枚広がり、ふわふわと風を起こした。

 

 長くて白いまつ毛に飾られた瞼がゆっくりと開き、虹色の瞳がゆらめいて光を放つ。優しいその色は重ねた手の中に吸い込まれ、俺と清音の手の甲には芦屋の花の聖痕が刻まれた。



 

――我が名は真幸人神(マサキノヒトガミ)。全てを司り、宿す者。俺の力を与える魂達と契約を成す。

 我が力の『差配するもの(あずかり)』を裁定者として真名を白石直人。裁定者の輔けとして里見清音を指名する。

 二つの魂が分たれるとき契約は無効とされる。

全ての契約は主たる依代契約者・裁定者である白石の命ある限り有効とする――


 

「…………ごめんな、二人を引き裂いておいてこんな事を言って。寂しい思いをさせてしまうけど、ゆるしてくれ」


「うぉい……まだ途中なんだが!?契約の文言に刻まれるだろ、それ。かっこ悪りぃな」

「ふふ……真幸さんらしいじゃありませんか」

 

「まったく、しまらねぇな……いつも通り。さて、俺たちだけじゃもったいないだろ?歴史に刻まれる伝説に全員で決意表明しようぜ」



 

「ええぇ……?何それ……」

 

「それは良いな、そうしよう。責任も分散できると言うものだ」

「颯人までそんなこと言うの?」


「あぁ、そうとも。我らは仲間だ。永遠に互いを支え、全てを見守るならば決意表明をしておくべきだ」


「うーん……ねぇ、伏見さん、どう思う?」

「ブホッ……!?」


  

 伏見が背後で噴き出す声が聞こえる。「なんで僕に聞くんですか!?」とか、「だって伏見さんは俺の右腕だし」とか聞こえるが、突然の指名に咳が止まらない様子だ。星野がそれを嗜め……お前、いたのか。


 ひとしきり大笑いした仲間たちが揃って俺たちを取り囲み、手を重ねて微笑み合う。



 

「いつものあれ、いきましょうかー!今回は白石さん主役で!かっこいいやつ出来ますよね?ね?」

「アリス、またそうやって圧力をかけて……もっとやってください。私の事をすっかり忘れてましたからね、この方は」

 

「なんや、星野さんを忘れるなんてひどいやんな?ま、妃菜ちゃんと飛鳥はマジで隠居キメさせてもらいますわー」

「そうね、そうしましょ♡たまに引っ掻きまわしにくるわね♡」


「バカップルは私に呼ばれたら来てくれはるやろ?」

「……ぐぬ。真子さんに言われたらしゃーないわ……」


「はいはい、さっさとえいえいおーして終わりましょう。宣誓の言葉を白石、どうぞ!アリスの期待通り『かっこいいやつ』でお願いしますよ。僕の反対側の腕なんですから」


「…………クソッタレ」



 全員が手に手を重ね、微笑み合う。幾度となくしてきたそれが、最後の誓いだ。




「俺たちは、立派にバカップルを務め、たくさん子供を作る。……一応、八人の予定だ。この世を平和にしてやるのは仕方なくだからな。

 この先もずっと……ずっと仲間達と共に生きていく。何があっても、俺は……清音を愛し抜く」

 

「……くっさ!!はーヤダヤダ!!白石までそんな風になってしまうなんて!!恋とは恐ろしいものですね!?」


「だっておま……伏見!そう言う約束も含まれてんだよ!他に何を言えってんだ!?」

「直人さん、すごく恥ずかしいです」

 

「清音までひでぇ……なんなんだよ、男一世一代の誓いだぞ!?」


「もういいですから!さっさと終わらせますよ!

と言うことで、これからもよろしくどうぞ!!えいえいおー!」



 

 清音の無理矢理な始末に小さな「おー」が響き渡る。


 手の中に残った石が……掲げた腕から輝きを放ち、俺たちは七色の光に包まれた。


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