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タイムマシンが出来ました

作者: 小雨川蛙

 ある日。

 遂にタイムマシンが出来ました。

 しかし、致命的な問題がありました。


「タイムワープの衝撃に生き物は絶対に耐えられないな……」

「カメラとか入れてみたいけど……元の時代に戻す方法が思いつかないな」

「ロボットでも作る?」

「いやいや。事前の実験で分かっているだろ? 生物じゃなくても、精密機械もあまり耐えられないって……」

「それじゃ、どうすんだよ。せっかくタイムマシン作ったってのに」


 そんな話し合いが結構な時間続いたようです。

 そして、人々は遂にタイムマシンの有用な使い方を思いつきました。



 ***


 タイムマシンが出来た時代から気の遠くなるほど過去の時代。


「これは何だ?」


 とある人が奇妙な道具を見つけました。

 それは数千年以上も先の時代でようやく開発される道具です。

 実はこの道具。

 正しく使えばこの時代ではありえない程に役立ちます。

 具体的には石器時代に水道を引くことが出来るほどにバランスブレイカーなものなのです。

 しかし、当然ながらこの時代の人々には使い方が皆目見当もつきません。

 分かるはずもありません。


 なので、その人はその道具を一通り見つめた後……。


「なんなんだろう? これ……まぁ、いいか。とても綺麗だし価値がありそうだから持って帰ろう」


 そう言ってその人は自宅へそれを持って帰ってしまいました。



 ***


 さて、時代は戻ります。

 タイムマシンの開発者たちが何か話しています。


「どうだった?」

「あったあった!」

「本当か!?」

「ほら! 見てくれ!」


 そう言って開発者の一人がずっと昔の時代……自分の先祖の時代に送った道具を得意げに取り出します。


「俺は信じてたよ! 俺の先祖を!」

「ちっくしょう……」

「皆でやったのに残っていたのはお前のだけかぁ……」

「悔しい! 私の先祖は何してたのさ!」


 彼らが思いついたタイムマシンの使用方法。

 それはつまり、自分達の先祖の時代に『未来の道具』を送り、どの先祖が現代まで保管することが出来るかを競うという遊びでした。


 …。

 ……。

 ………。


 はい。

 遊びにしか使えていません。


 要するに過去であろうと、未来であろうと、現代であろうと。

 人間が馬鹿である限り、有用な道具はまともに使われません……ということですね。

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