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俺はもしかしたら妹が好きかもしれない  作者: 大崎真


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20/23

20、兄妹の境界線2

ショッピングモールを出て繁華街をうろついていると、町全体が浮き足立っているようだった。クリスマスソングが流れ、サンタやクリスマスツリーの飾りつけが至るところで目に入ってくる。


そして、サンタと同様に、至るところでセールの文字も飛び込んできた。


「どこもセールだな」


思わず口にして横を見たら、隣にいたはずの成海がいない。


(どこいった!?)


慌ててキョロキョロしていると、


「可愛いお店~っ」


と言いながら、成海が雑貨店へ入っていくところだった。


実は、映画館を出てから、幾度となくこれが続いていた。他の方向を見ていた俺は、慌てて成海を追いかける羽目になる。

愛実とデートをしていた時は、愛実が俺の腕に勝手にくっついていたので楽だったが、成海の場合はとにかく目が離せない。


俺はとうとう我慢ならず、成海の服を掴んで止まらせた。


「待てぃ!」

「うわっ、なに?」


振り返った成海は、不思議そうに見上げてきた。そういえば、さっきもこんなことがあった。めちゃくちゃ不便だ。


「成海、俺の服をつかんで歩いてほしい」

「なんで?」

「急にいなくなったら困るから。入りたい店があったら、俺の服を引っ張って教えるように」


すると成海は、


「それじゃあ、お兄ちゃん犬みたい」


と言うと、にひっと笑って、俺の手を握ってきた。

ビックリした。なんて小さくて柔らかくて、しかもあったかいんだろう。冬とは思えない温かさだ。

成海は俺を見上げて満面の笑みを浮かべた。


「手を繋げばいいと思うよ?」

「…………」

「仲がいい兄妹ならこれくらいすると思うよ?」


めちゃくちゃだな、と言おうとしたが、


(確かに手を繋ぐのは普通か)


と、思えてきた。なにより、成海の手のあったかさに驚いた。


「……成海の手はあったかいな」

「成海は平熱もちょっと高めの六度五分なんだよねー。お兄ちゃんの手は冷たいなぁ。成海の手であっためてあげよう!」


成海に手を引かれ、俺たちは手を繋いだまま雑貨店に入った。

店内にはまばらに客が入っていた。所狭しと飾られた雑貨を、二人でのんびりと見てまわる。

すると、成海はあるコーナーで、ふと立ち止まった。そこには、五センチほどの大きさのぬいぐるみのキーホルダーが、わんさか壁に掛けられていた。


「可愛い~っ!」


満面の笑みを浮かべて、成海はしゃぎながら真剣な眼差しで玩味ぎんみしていく。

そして、様々な動物の中から、シマエナガのぬいぐるみのキーホルダーを手に取った。ペアになっており、二羽の内の一羽はこめかみに赤いリボンが付いている。どうやら、こちらがメスのようだ。


「これ欲しいっ! 今のキーホルダー、傷だらけになってたし、次はこれにしよう~」


初めてお揃いで付けたキーホルダーは、北海道旅行で成海が選んだマリモのキーホルダーだった。

次に、広島へいった時の厳島神社で買ったキーホルダーだったが、これも傷だらけになっていた。

そんなわけで、三代目はシマエナガのぬいぐるみのキーホルダーになったようだ。


雑貨店を出て、二人で近くのベンチに座り、買ったばかりのシマエナガをカバンに取り付けた。成海のカバンにリボンの付いたメスが、俺のNEW ERA(ニューエラ)のリュックにはオスが、それぞれ楽しそうに揺れていた。


「荷物、見てて」


成海に言い置き、そのままトイレに行く。

用を足して、ベンチに座っている成海に近づこうとしたら、成海は、俺と成海のシマエナガをキスさせていた。いつもみたいに、えへへ~っと幸せそうに笑っている。


(めっちゃ可愛い)


思わず笑ってしまう。


血は繋がってないんだし、難しく考える必要はない。お試しで付き合ってみればいいじゃないか。

妹がカノジョになるだけだし――


そう思った瞬間、何かが壊れるような恐怖に似た感情が湧いてきた。

このまま突き進んでいったら、どうなってしまうんだろうという恐怖だった。幸せな感情ではなかった。他の女性には感じないものだった。


これ以上、考えたくなくて、逃げ出したい衝動に駆られた――

読んでくださって、ありがとうございました。

遅くなって、すいませんでした。

次回に続きます。

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