次の村
「おはよう!」
お光は早く朝ご飯を作ってくれていた。
「朝ご飯作ってくれたのか。かたじけない」
「いいってことよ。」
「おはよう。新一。お光。今日は、次の村の隠れ人の村に行くのだな。」
「ええ。その足軽までの道を確認するためでもあるわね。」
3人は、急いで朝ご飯を食べて出発した。
「ねえ、新一。次の村は、なんて名前なの?」
「確か、丹波だった気がするが、」
お光はその村の名前を聞いた時青ざめた顔をした。
「どうしたのだ。そんな顔をして、」
「その村、私の過去の村・・」
「それはまことか?!?!」
「正体をバレぬようにしなければな。隠れ人の家の仲間の宿を知っておるだろう。信長」
「そこに寄ろう。」
お光は、さっきよりも足取りが落ちているようだった。それを新一が抱えるようにして歩いている。どれくらい経っただろうか。暗さ的に夜中だろう。
「ついたな。おーい!!コヤツの顔をちょいと分からぬようにしてやってくれぬか。」
「わかった。」
そうして、お化粧が終わった。
「どうですかねえ。」
「おお!!まったく誰か分からぬ。美人になったもんだな。」
「照れる。やめろ」
「わっはっは。すまぬすまぬ。」
「喧嘩をするな。おい。俺達は、どこに泊れば良い。」
「ああ。明日、朝一に知り合いの宿に案内いたします。」
「かたじけない。」
3人は、明日にそなえてぐっすり寝た。
「おい。起きろ。」
「まだ朝ではないだろう。どうしたのだ。」
「出発するぞ。」
「なぜ、こんな時間なのだ。」
「明日は、くまがここに出るらしい。亭主も今日ここを出る。だから、急げ!」
「迷惑なくまじゃのう」
重い腰を上げながらも、亭主たちは、ここを引き払った。
「私は、反対方向に行く。次の村には、隠れ人の存在はおらんからな。気を付けて」
「用心するよ。」
「お光は、大丈夫か?心の準備は、できたか。」
「ええ。大丈夫よ。短い期間だもの。」
新一は、お光をかばうようにして、村に入っていた。