織田信長vsお咲
「お春!!」
「おはようございます。信長様。何でございましょう。」
「おにぎりを作れ。これから鷹狩りに参る!」
信長は、近くの広い場所で鷹狩りをするそうです。
「しかし、顔がバレると危険です。」
「大丈夫だ!そう簡単に信長とは、バレん。昔から、村で遊ぶことが多かったからなわっははは。」
お春は、少し考えた顔をした後、こう言った。
「わかりました。握り飯を作っておきますね。」
そうして、お咲姉さまの部屋へ向かった。
「失礼いたします。信長様が今から鷹狩りに向かわれるそうです。見張りをつけますか?」
「そうだな。信長が一人で勝手な行動をしないよう侍女を一人、お付きの男を一人つけようか。そして、平之助をこっそり見張らせておく。」
「そうですか。では、若盛りで元気と体力のあるお光、そして、新一様をおつけいたしましょうか。」
「そうだな。それと、今日村で大会が開かれるそうじゃな。私は、芸の大会に出ようか。」
「良いじゃないですか!姉さまは、芸がお上手ですからね!私もついてっていいですか?姉さまの舞う姿は、お綺麗で大好きなもので、、」
「ありがとう!嬉しいわ!今度春里にも教えて差し上げましょう。あっ!そうだ、あなたの羽織古くなったから、新しいの買ってあげますわ。」
「いいですよ。そんな」
「私達、姉妹でしょ!」
「・・・そうですね!!ありがとう!咲春姉さん!!」
お咲の本名は、さきはるという。咲は、母の名前からとり、春は、春生まれだからだそうだ。
「では参ろう!!」
その頃信長は、
「それっ行くぞ!」
ひゅー!バサッ。
「はははっ。やったぞ!!ほれ、新一もやってみろ!!」
新一は、少しっ困った顔をしながらも矢を放った。
「トンチンカンな方向に飛んでいったぞ!こんなに下手なやつは、見たことがない!面白いやつじゃのおガハハハっ。」
新一は、少し赤くなりいながらも、
「鷹狩りは、少々苦手でして、」
「だめじゃだめじゃ。ほれ、私が、お手本を見せてやる!!」
「おいおいお光。お前、できるのか?」
「おばさんを舐めないでいただきたい!!」
そして、なんと鷹2羽を一回で捕まえたのだ。
「ほおすごい!!上手いな!!ほれ新一女に負けてみっともないのお!!」
「笑わないでください!!」
新一は、怒っていながらも皆と笑っていた。
「よし!!二人!新一とお光。俺と親友にならないかい?」
「良いねえ!!親友!!私の親友は、全員戦で死んでしまったし、あたしゃ嬉しいよお!!」
そして、3人は、親友になった。気が合うのか、3人とも楽しそうだった。
その頃、お咲は、
「おい!!この芸の大会は、なんの芸をやれば良いのか?」
「おお!!桜子様。この大会は、将棋、能、舞です。いやあ、でも、芸の達人である桜子様に勝てるやつなんぞいませんよ」
「そんなことはない。でも、私は、負けず嫌いなので、絶対負けませんよ!」
「そうこなくっちゃ!!」
まず最初は、将棋。お相手は、茶屋の大将。
「姉さま!!頑張ってください!!」
そして、一手目。先攻は、相手。お咲は、詰将棋が得意だ。どんどん詰めていく。相手には、汗の筋が・・観客達が息を飲む中、お咲は、どんどん詰めていく。そして、バシッ!!
「くうう。負けました。」
「やっっぱり強いなあ!!」
「ありがとう!!皆」
「おうおう!楽しそうじゃな!!」
そこに鷹狩りから戻った信長達がやってきた。
「俺も混ぜてくれよっ!!」
お咲は、少し困惑したようだったが、すぐに気を取り戻し、
「いいわ!!これは、皆の大会だもの!!まずは、将棋よ!!」
そして、将棋が始まった。しかし、すぐにお咲は、顔をしかめた。なぜなら、信長の将棋は、一切隙がなく、詰めるにも詰められなかったからだ。なので、お咲の得意な詰将棋が発揮されず、あっけなく負けてしまった。
「わしの勝ちじゃああ!!昔から、策をねっていたからのお。こういう策略を考えるのは、得意なんじゃ!!」
「姉さん。次は、姉さんの得意な舞です。格の違いを見せて上げましょう!」
「えっええ。ふんっ!1回負けたから何だというのです。次です次!」
「強気な女大将だな!!」
そうして、お咲は、着替えてきた。その美貌さに場は、固まってしまった。
「べっぴんじゃ、、、」
「死にそうじゃ、、、」
「では、参ります。」
そうして、踊り始めた。その美しさ、足さばき、着物が揺れる姿にたくさんの人が魅了された。信長も、顔を赤くしている。
「では、信長、やってみせろ!!」
信長は、愛想笑いをした
「是非に及ばす。あなたの舞は、美しい!到底勝てない。」
お咲は、とてもうれしそうだった。
「舞は、誰にも負けぬぞ!!」
そうして、能にうつった。まずは、お咲。先ほどと同様美しさで人々を魅了させた。そして、信長のばん。
「後には、引けぬぞ!」
お咲は、煽るように言った。
「この信長をなめないでいただきたい。」
そうして、信長は、踊り始めたが、その信長の力強く、そして、繊細な動きに人々は、驚いた。
「こんな能があって良いのか、こんな没頭するような、、あり得ない、、」
信長は、踊り終えた後、人々から、口々に褒められた。
「最高だった。やっぱり天下の信長様は、違うなあ。」
お咲は、悔しそうに信長を見つめていた。
「この大会私の勝ちでございますなあガハハハっ」
「くうう。お春行くぞ!!」
「あれまあ。気にしないでくだされ。桜子様は、大の負けず嫌いでな、しかも一番得意だったのでボコボコにされたからのお。部屋で一人で泣いているかもしれぬなあ。」
信長は、ハッとした。そうして、急いで、どこかへ向かっていった。
「姉さま。さっきのことは、気にしないでください。運がたまたま悪かったのです。」
お春は、慰めるようにそう言った。お春が一番お咲の負けず嫌いさを知っているからである。
「気にしておらぬ。ほれ、この羽織なんかどうじゃ?薄桃色の生地に桜が舞っておる。そなたにぴったりであろう。」
「良いんですか?」
「ああ。」
「ありがとうございます。」
お春は、本当に嬉しそうな顔をした。しかし、お咲は、気にしておらぬと言っても悔しくて泣きそうだった。だから、このときも愛想笑いをするのに大変気苦労した。そして、帰った後、一人で部屋でおいおい泣いた。自分が負けるはず無いのに、と。そして、これを信長がこっそり見ていた。
「はて、どうしたものか。女を泣かせることは、したくないのじゃ。」
そうして、信長は、急いでどこかへ向かった。
「お春。桜子様の好きなものは、何じゃ?」
「そうですねえ。いちご大福が大好きです。あ、そうそう、新しい着物もほしいって言ってましたよ。そんなに急いでどうされましたか?」
「ありがとう」
そうして、信長は、家を飛び出していった。
信長とお咲の進展は?次回のお楽しみに