人間界
――今の私は、リーヴェンス王国の筆頭公爵家であるアークライト家の令嬢、アステリア・ルーア・アークライト。精霊界に攻め込んできたリーヴェンス王国の公爵令嬢として生まれ変わった。いいえ、私は今も精霊姫レナーテ。私の力は、今も残ってる。必ず復讐して、また母様たちと精霊界で幸せに暮らす。待っててね、みんな。
「ああ、かわいい女の子だ。名前はどうしようか。」
「そうね、アステリア…アステリアにしましょう。」
違う、私の名前はレナーテよ。
「アステリア・アークライト。いい響きだ。そうしよう。」
違う!!
その時、アステリアの周りが金色に輝き出した。
『ルーア。アステリア・ルーア・アークライトとなさい。私の加護を授けます。』
この声、ルーア!ルーアは兄様の眷属で、月を司る上位精霊…ルーアの加護、心強いわ。ありがとう。
「なんと!ミドルネームを授けられるとは!」
「この子はきっと精霊に愛されているのね。ミドルネーム持ちなんて100年前の国王陛下以来よ。」
「ああ、陛下に報告しなければ!」
国王…復讐の為には近付いておいたほうがいいわね。
「ええ、でもまだ生まれたばかりですし、謁見はもう少し育ってからの方がいいわね。」
「そうだな、3歳になったらお会いになっていただこう。きっと賢く育つだろう。」
「じゃあそれまで愛情たっぷり育てないとね。」
「ああ、3年後が楽しみだ。」
3年後、国王に会える。それまでに力をつけないと。