双子の居場所
「ひとまず、私の家に帰ろうか。」
「はい!」「はいなのです!」
2人は笑顔で承諾してくれた。でもその後2人は少し不安そうな顔になった。
「あの、レナーテ様―」
「私を本当の名前で読んでくれるのはとても嬉しいの、でもアステリアと呼んで。」
「わ、わかりました。アステリア様、アステリア様のお父様やお母様は私達の存在を認めてくださるでしょうか。」
(そうだよね、公爵家に行くなんて不安だよね。)
「大丈夫、私に任せて。帰る前に、メイドを回収してもいい?ここに来る前に街でまいてきちゃったの。」
(リーファ、私を探して彷徨ってるだろうし、ちょっと悪いことしちゃったなぁ。)
「はい。」
――ランジア街
「お嬢様〜!どこにいらっしゃいますか〜?」
(やっぱり探してた。)
「リーファ!私はここよ。」
「お嬢様!」
リーファが大きく手を振りながらこっちに走ってきた。
「お嬢様!一体どこに行ってらしたんですか!?あれ、その子たちは…」
『ねえ、あれって…』
『スラムの子供よね。嫌だわぁ、小汚いわね。』
『一緒にいるのはお貴族様かぁ?おもちゃとして買われたってとこか。まあ確かに綺麗な顔してるしなぁ。』
(結構目を引いてる…2人も居心地が悪そうにしてるし、早く帰ろう。)
「お嬢様、その子たちは―」
「話は後よ、帰りましょう。」
転移魔法で邸まで飛んだ。
――アークライト公爵邸
「おかえり、アステリア。ん?その子供たちは…」
邸に入ると、父に出迎えられた。
「ただいま帰りました、お父様。少しお話よろしいでしょうか。」
「ああ、構わない。だが、その子供たちはその姿のまま邸に入れる訳にはいかないぞ。」
「はい、ですから少しお待ちくださいませ。」
ミアとメアを連れて私は私室へと歩き出した。
「ま、待ちなさい。アステリア―」
――アステリア私室
「アステリア様、お父様にあのような態度をとってよろしいのですか?」
「アステリア様はお父様と仲がよくないのですか?」
「私には本当の母様と父様がいるもの。あの人を父だと思ったことはないよ。」
「そ、そうですよね。ごめんなさい。」
「気にしないで、お風呂に入ろうか。」
「え、でも…」
(使用人たちも蔑むような目でこの子たちを見ていたから、嫌な思いさせちゃってるよね…)
「じゃあ、魔法で一瞬で綺麗にしてあげる!」
「「え…?」」
私がパチンッと指を鳴らすと大きな水の膜が2人を包み込んだ。そして、一瞬で2人の汚れがなくなった。
「ん〜、あとは服だよね。2人が着れる服あるかな…」
「えっと、服…ですか。私たちはどんなものでも構いませんから…」
「ダメだよ!2人にはなにか特別なものを着てほしいの!」
「あ、アステリア様。」
私が悩んでいると、メアが口を開いた。
「メイド服、とかはどうですか…?」
(それいい!)
「いいね!他のメイドたちとは違うのを私が作るね。」
「…嬉しいのです。」
(ちょっと照れてる、かわいい〜!)
「任せて!とびきりかわいいの作るからね!」
頭の中でイメージして、それを具現化する。
(まだアステリアとしてはやったことないけど、できるよね。)
「できた!どう?」
「「わあぁ!」」
「すごくかわいいです!」
「とってもかわいいのです!」
(2人共喜んでくれてるみたいでよかった。私がイメージしたのは、赤と白を基調としたメイド服。2人とも髪がピンク色だからよく似合ってる。)
「アステリア様、ありがとうございます!」「ありがとうなのです!」
「ふふふ、喜んでくれてよかった。でももう一つ。」
2人の髪に月の花の髪飾りをつけた。
「これも私の魔力で作ったの。お守りにもなるからね。」
2人はまた、とても嬉しそうな顔を見せてくれた。
「さ、お父様のところに行こうか。」
2人は少し不安げな顔で頷いた。
―コンコンコン。
「お父様、アステリアです。」
「入りなさい。」
部屋には母も同席していた。
「失礼いたします。」
部屋に入り、ソファに座ると話をし始めようとした。
「お父様、今日私は―」
言葉を遮られた。
「その前に、先ほどの私に対する態度、反省しているのか?父上にあのように接するなど、言語道断だ。以後気をつけなさい。」
(お説教ね。今そんな話してないんだけど…)
「お父様、先ほどは申し訳ありませんでした。以後気をつけますのでお許しくださいませ。では、お話を始めますね。」
とりあえず謝り、すぐ話を始めた。
「私は今日、スチュアート侯爵の治めるランジアに行って参りました。そして、スラム街に立ち入り、この子たちに出会いました。」
「待ちなさい、スラムに行ったのか!?そのようなところへの立ち入りは許可していないぞ!それに、リーファはどうした!?一緒に行っただろう?」
「途中でまきましたわ。スラム街は危険ですから。」
「ああ、危険だ。それをわかっていながら入ったのか!?」
「はあ、埒があきませんわ。もうその話はいいでしょう。それでお父様、私はこの子たちを専属メイドにしたいのです。許可をくださいませ。」
「父親の話を遮るなどどういうつもりだ!私はお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!」
(呆れた…この人から教わったことなんてなに一つないんだけどなぁ。)
「はあ、それで許可は下さるのですか?」
「するはずがないだろう!スラムの子供などをメイドにするなどありえん!どうせそれは卑しい生まれなのだろう?」
ミアとメアは今にもこの男を殴りそうだ。
(さすがに我慢できない…この子たちの生まれまで馬鹿にするなんて…!)
「お父様、私は一度この屋敷を出ますわ。さようなら。」
「なっ!?待ちなさい!」
バンッ!
急にこれまで黙っていた母が立ち上がった。
「待って、アステリア!」
(父はこんなだけど、母は本当に自分を愛してるんだろうな。嬉しかったけど、ミアとメアが過ごしずらいなら、ここにはいられない。)
「お母様、さようなら。 ミア、メア、行きましょう。」
「「はい!」」
私は屋敷を出て王宮に転移した。




