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12わたしたち

 夕方くらいに私は兄に勧められた病院を訪ねていた。

ここの点滴がいいと言われてきたのだけど、点滴を打つなんて結構限界ギリギリなんじゃないかと思う。

でも、点滴は確かに効果を感じた。

エナドリを飲むより、健康的な食事をとるよりも何倍も疲労回復とエネルギー補給ができている気がする。


 おはるは泡を吹いたまま召されたように眠っていたので、ソファに寝かせていた。

今日はもうおはるのスケジュールは空いているのでこのままでいいだろう。

幸せそうな顔で眠るおはるを見ていると、なんだか癒される。

そういえば、私もソファに眠っていた。

今思えばあの犬の夢は現実だったんだろうなって思う。

おはる、お前私のパイを触ったな。

 ……。

付き合おうかっていったのは配信ネタでもなんでもない。私の本心だ。

たぶん、私もおはるのことが好きになってしまっている。

ここしばらくあった感情のブレとかモヤモヤした気持ちは『好き』という気持ちが一番当てはまる。

寝ているおはるを見る。一度好きと認識してしまったせいか、普段よりも何倍も可愛く見える。

少しずついい部分も見えて、可愛らしくて、私のことを一途に好きでいてくれる女の子。

 寝込みを襲うなんてなんて奴なんだ。でも、これはお前がしたことだ。

寝ているおはるの身体を抱きしめてみる。

柔らかくて、あったかい。

匂いを嗅いでみる。

女の子らしい甘い香り、化粧品とか香水がまじった香り。

胸を揉んでみる。

私よりも大きくてとても柔らかい。指先が沈み込んでいく。

「んっ……」

 声をあげたので、ココで終わり。

うん、悪くない。むしろもっとくっついていたいし、もっと触れていたい。

やっぱり私もおはるのことが好きなんだと確信できた。

おはるから離れて、またパソコンに向かう。


「みくちゃん」

「おはる起きてたの?」

「……もっとしていいよ」


 すべての思考が無くなって、ただおはるを見ていた。

おはるは背中を向けて待っている。スカートから伸びる太ももがむちむちしてて、スカートの中に手をいれたくなる。

もっとしていいってことは、もっとしていいってことだよね。

 急激に血圧があがるのがわかる。

立ちあがって震える手をおはるに伸ばす。


「くぁー! 疲れたぁー」

「ぴやぁぁ!?!?」


 急に現れた兄に飛び上がってしまう。

タイミングが良すぎて見計らっていたのではないかと思えるほどだ。


「おう、みく。桜野もいんのか」

「お兄ちゃん!」

「お義兄さん!」

「なんだ二人して」

「ぐぬぬぬぬ! お! に! い! ちゃ! ん!」

「なんだよ」

「あばばばばば!!!!!」

「は? 働きすぎておかしくなったか? 少し休んでいいぞ」

「そうする!!!」



 10連勤を過ぎて、私はやっと一日お休みが取れた。

肉体的にも精神的にも疲れた。疲れすぎておかしなことになりそうだった。

働きながらおはるがいった『もっとしていいよ』ということが脳内を永遠ぐるぐるしていた。

もっとしていいよ、ってどういうことだ。

もっとしていいよ、ってことはもっとしいいってことだよな。そういうことだよな。

はぁ。あのときは疲れすぎていて理性というストッパーがきいていなかった。兄が入ってこなかったらどうなっていたことだろう。

……本当にどうなっていたんだろう。

ベッドから動く気になれなくて、横になりながら妄想にふける。

『もっとしていいよ』

『おはる』

『みくちゃん』

あぁ、おはるそんな可愛らしい顔をするのね。

お外に出ないせいかお肌は白くて。女性らしい丸みを帯びた身体はとってもきれいで。

お互いの手が触れ合い、あんなところやこんなところに触れて。


「……ッ」


 はっとした。

女性との恋愛経験なんて今までなかった。

だが、こう考えてみると全然抵抗はない。

むしろ――、ピンク色の妄想がはじまるとずっと考えていられる。

いつの間にか伸びていた右手を太ももでぎゅっと挟む。

私、女もいけるわ。


「……」


 妄想を続けてみる。

久しぶりの一人遊び。

誰もいない部屋に私の声だけが切なく聞こえた。


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