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翌日、ガイキの剣は深々と刺さった地からするりと抜けた。
学者は障壁の杭を全て抜いた。
「どこに行くか聞いていい?」
学者が最後に静音に尋ねる。
「暫くは人里離れた所に隠遁しますよ。別の大陸に渡ることも考えています」
「そうか……」
「では」
転移魔法であっさりと静音は消えてしまった。
「あーあ」
学者は溜息をついた。
「もうちょっと一緒にいたかったな」
しみじみと呟くのをガイキは聞いて、自分もその思いが強かった事に今更気づいた。
「魔法の話とか色々ききたかったよ。僕らの魔法とは全く違う発動の仕方をしてるし、もう少し観察していたかった」
ガイキは苦笑した。
それは静音にとっては迷惑な事だろう。
「やめておいてやれ」
ガイキは言った。
「彼女は恐らく一人がいいんだ」
それは学者も判っているようだった。
「寂しくないのかなあ」
「誰かと一緒にいると疲れる人間もいるんだよ」
「君もそう?」
学者に問われてガイキは考え込む。
「そうかもな」
「あのさ、この後予定が無いなら、僕の遺跡調査の護衛依頼を受けてくれない?」
「別に構わないが、少し休もうと思っている。その後なら」
「あ、それでいい。僕も報告書まとめたり論文書いたり色々あるから」
そして晴れ晴れと笑った。
「魔導具の事を隠さないでいい護衛が欲しかったんだよね。今回の遠征、そういう人間が見つかっただけでも有難かったかな」
そう言ってガイキの腕を掴んだ。
「帰ろうか」
手のひらの上に転移の球を「出して」学者は呪文を唱えた。
ガイキはそれを見て一瞬だけ片眉を上げたが、何も言わなかった。
おしまいです。
ありがとうございました。
続きもある程度は書き溜まっていますので、近日中に上げはじめようと思います。
よろしくお付き合いください。
<追記>
2023/01/12 続編投稿始めました。




