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魂が呼びあって巡り合えた奇跡

最終話のあと、セツカの記憶とプロポーズ話。

 祈願祭のあとリーンと再会した僕は、マーズの庭園にある東屋で、これまで時の森でどう過ごしていたのかを話した。


 神官のみんなにサポートされながら魔法の訓練をして、最低限日常生活に支障がない程度にはなってきたこと。

 リーンは僕の隣にピッタリくっついて、勉強を頑張ったとか、進級してからのこととかとりとめなく話してくれる。



 肩によりかかってきて、指を絡めて、触れ合う手からぬくもりが伝わってくる。

 十五年幼馴染みとして育ち、離れたのは一年に満たない期間だ。

 離れていた時間を埋めるように、リーンは僕に触れ、存在を確認する。



「ずっと、会いたかったよ」

「……ごめんな、リーン。このあと平和祈願祭の夜会がある。それが終わったら、また時の森に帰って修行しないといけないんだ。森の管理は神子の役目でもあるし。でも、手紙を書くよ」

「うん。私も、手紙書く」


 本当はそばにいたいし、一緒に連れていきたいくらいだ。

 けれどリーンはまだ学生。

 学ばないといけないことがたくさんある。私情を優先させてはいけない。


「私、頑張るから。頑張って卒業したら、セツカの役に立てるような仕事に就く。神官でなくても、セツカを支えられる仕事はあるでしょう?」

「僕がどうこうでなく、リーンがしたい仕事を選びな」

「セツカの支えになることが、私のしたいことなの。港町の教会にするつもり。ツヴォルフの教会では父様やウルさんみたいな、孤児を引取って育てているって聞いたの」

「たしかに、そこも僕の管轄だ」


 神子の仕事は国をあげての行事だけでなく、神子の管轄下にある地域の運営、結婚式の神父や葬儀など多岐にわたる。


 リーンなら教会の子どもたちに大人気になるだろう。今だって、首都の中にある公園で小さい子の遊び相手をしているくらいだ。


 誰に言われるでもなく、自分の意志で僕のところにつながる道を進もうとしている。

 こんなに嬉しいことはない。


「夏休みになったら、私の方から会いに行くから。だめって言わないでね?」

「言わないよ」


 神子になって背負うことになった重たいものは多い。

 けど、辛いことばかりでもない。

 神子としてこの時代に生まれたからこそ、こうして、リーンの隣にいることができるのだから。

 

「リーン」 


 リーンを抱きしめて、ふわふわの栗毛に顔を埋めて囁く。




 昔から繰り返し見る夢がある。

 夢の中の幼い僕は吟遊詩人の少女に恋をして、告白する。


“僕のお嫁さんになって”


 どことなくリーンに似ている少女はふわりと笑って、小指を差し出す。


“私たちが生まれ変わって、また貴方と巡り会えたら。そのときはお嫁さんになるわ”



 


 きっと僕たちは前世で、今と違う形で出会った。

 時をこえて生まれ変わり、魂が呼び合って、僕たちはめぐり逢った。

 そんな気がする。

 


 夢の中で口にしたのと同じ言葉を声にする。


「僕のお嫁さんになって」

「もちろんよ!」


 一瞬の迷いもなく、リーンは太陽みたいにキラキラした笑顔をみせてくれた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おお! セツカとリーンは前世から繋がりあるのか。 それが現世で結ばれるとは……ロマンチックですね(〃´∀`〃)
[一言] セツカからのプロポーズ!いやーおめでとうございます。 。・゜・(ノД`)・゜・。いつまでもお幸せに!
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