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セツカと時の鎖【改稿中】  作者: ちはやれいめい
一章 セツカと時の鎖
23/52

23 何があっても助けにいく feat.アイリーン

「……ンちゃん、アイリーンちゃん! しっかりして!」


 誰かが私を呼んでいる。肩をゆさぶっている。


 目を開けると、視界に入ったのは雲一つない夕空。

 背中には土の感触。

 だんだんぼやけていた視界がはっきりしてきた。

 ウルさんだ。騎士制服を着ている。


「ウル、さん?」


 頭が痛い。

 ここは、時の森に続く門の前?


「よかった! 目が覚めたんだね。何があったんだい?」


 何が、あったんだっけ。

 セツカと、アイセと森を調べに入って、剣を持った人たちが襲ってきてーー



「ーーっ、セツカが、危ない。行かないと」

「セツカくんがどうしたって? 詳しく聞かせて」


 今気づいた。

 ウルさんだけじゃない。もうひとり、男の人がいた。

 地面に膝をついて私と目線を合わせてくれる。


「フェンさん」


 サングラスをしていないけど、間違いない。紅茶色の髪、通った鼻筋、あごのライン。

 一度見たら忘れられない容姿をしている。 

 黒の瞳がまっすぐ私を映す。

 ウルさんとフェンさんなら、助けてくれる。


「武器を持った男の人たちに襲われて。私に眠り薬を飲ませて、セツカはアイセって名乗る吟遊詩人に連れて行かれちゃったの。セツカのこと、時の神子って呼んでいて、追いかけてきたら殺すって」


 思い出すだけで体が震える。

 このままじゃセツカが危ない。助けなきゃ。でも、あの人たちは武器を持っている。私一人で行っても勝ち目はない。


 諦めるなって、スイレン先生がいつも言っているもの。

 やれること、全部やる。


「お願い、ウルさん、フェンさん。私、セツカを助けたいよ。力を貸して」

「ああもう、なんて無茶なことをするんだチビのやつ。迷わないよう遺跡まで案内しろってお願いを無視して!」


 頭をがしがし掻いて、フェンさんは近くに待たせていたらしい騎馬の手綱を握る。


「ウルくん、アイリーンちゃんを病院に。どこか怪我をしているかもしれない」

「承知しました、陛下」

「アイリーンちゃん。セツカくんはボクとウルくんで連れ戻す。君に何かあったらアーノルドくんが悲しむよ」


 フェンさんが私の肩に手を添える。何もせず待ってろなんてお願い聞けるわけ無い。


「私も行く。セツカを助けたい!」


 なんでセツカが時の神子と呼ばれているのかわからない。

 それに、家族を返せって、どういうことなの。

 胸がざわつく。

 いま行かないと後悔する。私の中の何かがそう訴えている。


「だめって言うなら自分の足で行くわ」


 フェンさんは長くため息をついて、肩をすくめた。


「あは。さすがアーノルドくんの娘。性格がそっくりだ」 

「……のようですね。アーノルドもこうと決めたらてこでも動かないから。アイリーンちゃん、僕の馬に一緒に乗るといい。こっちの子のほうがまだ大人しいから」

「ありがとう、ウルさん」


 ウルさんの手を借りて、黒い騎馬ちゃんに乗る。ウルさんが言うように大人しくて、私が近づいても暴れたりしなかった。


「よろしくね、黒馬ちゃん」


 首すじを撫でると、分かったと言うように黒馬ちゃんが頷く。

 フェンさんの乗った騎馬が迷うことなく森の奥を目指し、ウルさんが後に続く。


「時の森はボクの庭だから、絶対迷わない。任せて」

「庭? ずっと閉鎖されていたのに、フェンさんはここに入ったことがあるの?」


 すぐ背後からウルさんの声が教えてくれる。


「アイリーンちゃん。この方はフェンネル・クロノス陛下だよ。お忍びのときはフェンと名乗っているんだって。で、僕は護衛としてここにいる」

「え、ええええぇえ!?」


 私の声に黒馬ちゃんが驚いて、大きくいなないた。   

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― 新着の感想 ―
[良い点] 万物を愛せし者でアイセ。 となるとアーノルドに対しての考察は、恐らく当たってますか。 リーンと性格が似ているという彼も、何を目論んでいるのか。 アイセが恐れられるのも納得です。 こんな能…
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