第80話 転移後665日 <リンゴ日記3>
07:00 【全員】起床。司令が二度寝しようとしたため<リンゴ>が起こす。
07:30 【全員】朝食。丸パン、スクランブルエッグ、ベーコン、果物。
08:00 【アカネ】【オリーブ】地虫に餌をやる。推定サイズ、+4cm。
08:00 【イチゴ】第2要塞の建設ツリーの検討・設定。
08:00 【ウツギ】【エリカ】<レイン・クロイン>の幼体を観察。サイズは3mオーバー。
08:10 【ウツギ】アバター操作訓練を開始。
08:10 【エリカ】多腕・多脚作業機械操作訓練を開始。
08:15 【アカネ】<レイン・クロイン>の幼体を観察する。
08:15 【オリーブ】海底プラットフォームの設計を再開。投入資源と採掘量の試算。
08:30 【アカネ】魔法研究を再開。昨日の続きで、外輪船の魔法機関の解析。
10:00 【司令】【アカネ】【イチゴ】【オリーブ】【リンゴ】間食。紅茶とスコーン。
10:10 【ウツギ】【エリカ】休憩。おしゃべり。
10:30 【アカネ】魔法研究を再開。
10:30 【イチゴ】建設ツリーの検討を再開。
10:30 【オリーブ】海底プラットフォームの設計を再開。
11:00 【ウツギ】アバター操作訓練を再開。
11:00 【エリカ】フラタラ都市警戒監視実施中の多脚偵察機の操作を実施。
12:00 【全員】昼食。魚介のパスタとゆで卵、果物。飲み物にハーブティー。
12:30 【全員】日光浴。場所は<ザ・ツリー>の最上階展望台。
13:30 【アカネ】魔法研究を再開。
13:30 【イチゴ】第2要塞の作業機械ツリーの検討・設定。
13:30 【ウツギ】【エリカ】<レイン・クロイン>の幼体を観察する。
13:30 【オリーブ】海底プラットフォームの設計を再開。
13:45 【ウツギ】アバター操作訓練を再開。
13:45 【エリカ】多腕・多脚作業機械操作訓練を再開。
15:00 【司令】【アカネ】【イチゴ】【オリーブ】間食。緑茶と葛餅。
15:00 【ウツギ】【エリカ】間食。果物のシャーベット。
15:30 【アカネ】【イチゴ】【リンゴ】第2要塞の進捗確認。工程表通り。
15:30 【ウツギ】アバター操作訓練を再開。
15:30 【エリカ】遠征部隊の編成検討。<リンゴ>へ草案を提出。
15:30 【オリーブ】海底プラットフォームの設計を再開。
16:30 【アカネ】第2要塞生産資源の割振りを変更。兵器生産減、研究用資源追加。
16:30 【イチゴ】第2要塞の各ツリー状況の再確認。アカネとの情報共有。
17:00 【全員】業務終了。
17:10 【全員】レクリエーションルームで報告会。
18:00 【全員】夕食。丸パン、豚肉のステーキ、コンソメスープ、サラダ。
19:00 【全員】入浴。大浴場。
20:30 【アカネ】読書。長編スペースオペラ作品の続きを読む。
20:30 【イチゴ】司令官、<リンゴ>に挟まれ、要塞司令レクチャーを受ける。
20:30 【ウツギ】【エリカ】【オリーブ】ボードゲーム。
22:00 【全員】ベッドでおしゃべり。
22:15 【イチゴ】寝落ち
22:20 【オリーブ】寝落ち
23:00 【アカネ】寝落ち
23:30 【ウツギ】【エリカ】<リンゴ>に捕まり、強制添い寝。
23:30 【司令】就寝。
<リンゴ>業務報告
●頭脳装置基盤育成状況
No.1「アカネ」、No.2「イチゴ」は俯瞰思考パターンを順調に習得中。
最終的に、各地拠点要塞の戦略AIとして設定可能と想定。
A級、I級頭脳装置の量産に向けて最終調整を行う。
拠点設置時は4単位程度のコア性能を持たせ、必要に応じて増設可能な構造として設計する。
No.3「ウツギ」、No.4「エリカ」は機械操作に高い適性を発揮している。
遠隔操縦時でも非常に精密な操作が可能で、特に「エリカ」は群体操作の習熟度が飛び抜けて高い。
U級、E級頭脳装置は指揮個体ないし戦術AIとして設定可能と想定。
また、E級は母艦級に搭載することで、飛躍的に戦闘適性を高められる可能性がある。
No.5「オリーブ」は、設計製造・施設維持管理に非常に高い適性を発揮している。
逆に、その他各種業務については想定適性未満の性能しか発揮できず、他4体よりも専門分野特化型であると言える。
O級頭脳装置は拠点要塞の中央管理AIとして設定可能と想定。
10単位程度のコア性能とすることで、拠点及びその周辺の開発維持管理を独立で遂行可能と判断する。
●第2要塞状況
第2要塞は主にイチゴの指揮の下で順調に設備を増やしている。
採掘にも資源を割り振っているため徐々に生産量は増えているものの、基本的に全て第2要塞建設または機械類の生産に回しているため、全体の収支はややプラス程度だ。
第2要塞本体の建設が落ち着けば採掘機械類を一気に増やせるため、そこまで早めに持っていけるようアカネ、イチゴに計画を策定させている。
若干ではあるもののフラタラ都市へ資源を回す必要があるため、足を引っ張っているようである。
あちらは早めに目処を付け、手を引きたい。
第2要塞は、大型汎用工作機械を3台設置できた時点でひとまずの完成とする。
現在は附属設備の建設中で、<ザ・ツリー>から各種大型機器類を搬入している状態だ。
1台でも大型プリンターの稼働が開始できれば、輸送コストを大幅に削ることができる。
船舶の動力は水素ガスタービンへ置換が完了しているが、それまでに石油の備蓄が相応に減ってしまった。
早々に石油探査のための体制を整えたい。
●テレク港街周辺状況
テレク港街周辺は、ほぼ落ち着いたと見てよい。
拡大した農地も順調に運用できており、今後の収穫は期待できる。
鉄の町の開発も順調で、鉄鉱石の生産量も右肩上がりとなっている。
先が見えてきたからか、クーラヴィア・テレクから新たな交易資源の提案があった。
話しか聞いていなかったが、燃石という魔力で燃えるという鉱石の探査をしたいらしい。
国土全体に広く薄く分布しており、地上に近いか、露出しているような鉱脈を発見できれば採掘可能、とのこと。
まずは現物を手に入れ、詳しく調査したい。
テレク港街周辺の土地に特殊な鉱石の反応は無いはずだが、魔法的な物質だとすれば、科学的探査から漏れている可能性がある。
ちなみにこの燃石、現地の発音でトーン・マグと言うらしい。
よく燃える・石。
ここで、魔導外輪船の動力源が判明した。
この燃石を使って水蒸気を発生させ、ピストンを動作させているようだ。
作動原理が不明で調査を打ち切っていたが、そちらも解析を進めることができるようになるだろう。
●魔物の経過報告
この世界には、魔物と呼ばれる生物相が存在する。
見た目は通常の動物と大きく異るところはないが、科学的に説明できない頑強性を発揮する生物群だ。
<レイン・クロイン>の異常な耐久力、生物的に単純な構造にもかかわらず非常に巨大で運動性能の高い地虫。
そして、新たに手に入った魔物は、筋肉量から想定される素早さ以上の瞬発力を発揮していた。
それらの科学的に説明できない強さ、ここでは魔法強化とでも表現すべき事象を発生させることができる生物が、この世界では魔物と呼ばれている。
そして、魔物には必ず心臓付近に謎の結晶が存在する。
個体によって形、大きさ、重さ、色はまちまちのようだが、ハイエナ群を調査した限り、同種族の結晶は似通った色になっているようである。
この謎の結晶は暫定的に魔石と呼称する。
実際のこの世界での呼称については、別途情報収集を行うことにする。
アフラーシア連合王国では、焜炉という魔法道具が存在するらしい。
その動力源として、ハイエナの魔石は優秀らしい。
優秀すぎて割高とも聞いているが。
今後は魔法道具も収集し、解析を行っていく予定だ。




