前提『特殊相対論』
前提『特殊相対論』
特殊相対論は二つの原理から成り立つ。特殊相対性原理と光速不変の原理の二つだ。
特殊相対性原理は一定の速度での間では同じ物理法則――物理の方程式――が成り立つという原理。
光速不変の原理は真空中の光速というものが変わらないという原理。
これらは例えば、地表の人物から見た光も、飛行中の飛行機から見た光も、同じ光速で見えるというものだ。
これはニュートン力学におけるガリレオの相対性原理とは食い違う。この辺りが『相間』さんが理解できない部分なのだろうか。
無限の取り扱いというものが難しいのと同様だ。
ガリレオの相対性原理だと速度ゼロのものが光を測ったときに光速Cとすると、飛行中の飛行機の速度Vで前から来る光を測定すれば、C+Vとなるはず。しかしそれが変わらずに光速Cのままだという。代わりに特殊相対論では同時刻が違うとか、時間の流れが違う、空間の長さが違うなどの違いが出て来る。
ニュートン力学では絶対時間・絶対空間という概念だったが、特殊相対論で時間と空間は纏められて時空となった。
無限大∞はそれに有限の数字を+αしても、変わらず無限大∞となる。特殊相対論と同じだ。
三角関数が分かるのならば、それで例えた方が可視化できるだろう。
X‐Yの二次元平面を考えよう。
Y軸、つまりX=0。これと並行にX=1の直線。それと半径1の円。
原点を通る直線とそのX軸の角度をθ。
この直線は、円、それとX=1の直線と交わる。
円との交点のYの値はsinθ。X=1との交点のYの値はtanθ。
θをゼロからπまでとする。
θがゼロ付近であれば、θ~0、sinθ~θ、tanθ~θ。
しかしθがπに近づけばtanθは∞へと発散する。だがsinθはsinπ=1、と有限だ。
tanθをtanθ=P/m。Pを運動量。mを質量と考える。運動量はニュートン力学だとP=mVと表される。ニュートン力学的にはこれを足し引きする。
sinθを、sinθ=V/C。相対論だと速度はsinθに変換しないといけない。しかし運動量はそのままで計算する。最初に運動量からP/mとtanθを計算してYの値に追加して最初の原点を通る直線の追加の⊿θでtan(θ+⊿θ)として速度をsin(θ+⊿θ)から求めるという手順を踏むのだ。
速度の合成がニュートン力学より手間がかかるのが分かるだろう。
Vが光速Cのとき、θはπとなるので、原点を通る直線はY軸となり、X=1の直線とは平行でユークリッド幾何学ならば交点を持たない。速度を足し引きしたくても交点がないので変化しようがないともいえる。
つまり無限大∞に+αしても無限大として変化がないのだ。
そして構造上、光速というものを超えることが特殊相対論ではできないということになる。