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8.おや? 出会ったエルフに何かとんでもない勘違いをされているようなのだが!?



「先ほどは本当にすいませんでした。つい取り乱してしまって」



 エルフの女の子が腰を曲げる。

 その動作に合わせて腰まで伸ばした綺麗な金髪がふわりと揺れる。


 デビルボアを倒した後、簡単にお互い自己紹介をした。


 この子の名前はリーフィアと言って年齢は19歳とのことだ。

 森になる木の実を取りに来たところをデビルボアに襲われたらしい。


 とりあえず僕とファルは家を追いされた元貴族の兄妹という設定にした。


 リーフィアさんには自己紹介の際にあまり言いたくないですけどと前置きをして、

 深刻そうな顔でそう告げたらそれ以上の追及はされなかった。



 ただそれにしても悪魔紋の力は予想以上だった。


 まさかあの『神の裁き』を完全に再現してしまうとは。

 ただデビルボアに対しては完全にオーバーキルだった。

 完全にリーフィアさんの顔が引きつっている。

 なんとか話題を変えなくては。



「いえ、普通そうですよね。ちょっとやりすぎてしまいました。

それよりほんとにいいんですか? エルフの村って人間に教えるのはタブーですよね」



 リーフィアさんは自己紹介の際に自分達の境遇を話して、

食料などを恵んでくれないかと話したら心よく受け入れてくれた。


 そして普通だったら絶対に案内されることのない

エルフの村に連れて行ってくれるという。


 でも不思議なのはいくら命の恩人だからってエルフの村へ案内してくれるというのは待遇が良すぎるんだよなぁ。


 基本的に余程の理由がないと人間に自分達の住む場所は教えてくれいないのがエルフ族だ。


 それなのにリーフィアさんは僕たち二人をじいっと見つめた後、

自分から村でゆっくり休んでほしいと言ってきた。


 エルフ族の人は知識欲が高いから僕の力に興味を持った可能性はある。


 一応、悪魔紋はバレるといろいろとトラブルを生みそうだから隠すために両手の甲にはローブの切れ端を巻いている。


 おそらく僕のことは天属性の上位紋持ちだと思っていることだろうから悪魔紋目当てではないはずだ。




 う~ん、謎だ。

 



―――リーフィア視点―――



 あのデビルボアを一撃で倒すなんてシルフさんはとんでもなく凄い人です。


 あの蒼い雷は一体何翼の魔法なのでしょうか。


 とても気になります。


 もしかしたらこの人なら私達の村を救ってくれるかもしれません。


 シルフさんの言う通りエルフの村に人間を連れてくるのは禁忌とされています。


 例外があるとすれば、その人間がエルフの村にとって有益であり、害をなさない人間であること。



 あの魔法を見せられたら前者はまったく問題ありません。


 問題は後者ですがシルフさんが害をなす人間かどうか。


 私を助けてくれたのですから悪い人ではないとは思います。


 でもそれだけだとまだ弱いです。


 しかし私は彼らが善人だと言い切れる根拠があります。


 そこで私はチラリと二人に視線を向けます。


 聞いたところによると二人はどうやら兄妹のようですがお父様から

 勘当されてしまいあてもなく彷徨いこの森に迷い込んでしまったとのことでした。


 あれだけの力を持っていたら強盗でもなんでも簡単に出来てしまいます。

 金品なんて巻き上げ放題です。


 あっという間に大金持ちです。


 でも絶対にあの二人はそんなことはしていません。


 だって、だって、あのシルフさんの妹のファルさんの恰好




(ほとんど裸なんですものぉぉおおおおお!!!)




 いくら平民を偽るためとはいえ年ごろの女の子があんなほとんど裸の恰好で外を歩けるわけありません!


 彼らは本当にお金がないんです!貧乏なんです!


 それなのに悪に手を染めずに必死に生きているんです!


 そんな人が悪い人なわけありません!!


 私が世の理不尽に対して唇をかんで涙をこらえているとファルさんと目が合いました。


 ファルさんは私が見ていることに気づくとニコッと笑ってくれました。



(かわいい! かわいいです!! かわいすぎます!!! まるで天使のような全てを包みこむ笑顔です!!!!!)



 助けてもらった手前、私の着ている服とボロボロのローブを交換しないかと聞いたときも



「この服を着たらリーフィアさんが風邪をひいちゃいます。私は大丈夫ですから気にしないでください」



と言ってやんわりと断られてしまいました。



(ん~ッ、健気! 健気すぎます!!まだ10代も前半でしょうにあの全てを包み込む包容力はほんとにもう天使のようでした!!!)


 

 それにシルフさんも魔物に襲われた私のことを気遣ってくれます。


 ただ両手に布を巻いているところを見ると少し中二病を患っているようですけど、あの年齢なら致し方なしです。


 以上のことより私はこの二人をエルフの村に連れていくにたる人物だと判断したのです。


今までさんざん苦労してきたことでしょうし私達の村ですこしでも身体を休めてもらいたいものです。




―――シルフ視点―――



「シルフさん、ファルさん。あちらが私が暮らすシャーウッドの村です」


「え? 何もないようにみえますけど」



 リーフィアさんが指さした先にあるのはただ木々が生い茂っているだけの大地だ。


「ああ、そうでしたわ。結界を何とかしないといけなかったです。

『大地の恩恵よ。陽天の陽炎よ。その祝福の隠す真の姿をこの者らに見せよ。【アンミラージュ】』」



 リーフィアさんが何事かを唱えた後に僕とファルを覆うように青白く輝く光の粒が舞い降りてきた。



「わぁ! 綺麗な祝福ですね」


「ああ、ファルさんはエルフの祝詞を知っているのですね」


「エルフの祝詞?」


「よく人間の人達が言うエルフの秘術の一つです。天使紋に依存しない精霊の力です」



 噂には聞いたことがある。


 エルフは天使紋に依存しない魔法を使うと。


 エルフの魔法について研究している学者は多数いるがどのようにして力を扱っているのかなんでそんな力が存在しているのかは未だに解明されていないらしい。


 上位の王族クラスになったら僕たちの知らない研究結果を知っているのかもしれないけれど少なくとも僕はそんな話しを聞いたことはない。


 でも、この力の謎を解きたくなる気持ちはわかる。

 


「すごい!さっきまで何もなかった場所に村ができてる!!」



 だってついさっきまでただの森だったはずの場所に一瞬で村が出来てるんだから!



「村が出来たというのは少し違います。村の存在を認識できるようになったというのが正しいです。それでは改めましてファルさんシルフさんようこそシャーウッドの村へ」



 木柵に囲われた村の中に赤と緑の屋根の木造の家屋が並んでいる。


 規模としてはそんな大きくないが村全体が自然と調和していてみているだけで心が癒される。



「シルフすごい綺麗な村だね」


「そうだね。ほんとに自然と共存としているって感じだ。森の緑と空の青さと太陽の光、自然の恵みに愛されているっていうのが凄い伝わるよ」



 僕の言葉を聞いてリーフィアさんが嬉しそうにほほ笑んだ。


 こんな村で暮らしたらほんとに幸せだろうな。


 そう思い回りの自然を見渡し空を見上げた時だった。



―――ん? なんだ太陽が二つある? いや違うアレは!?



「ファル! 危ない!!」



 遥か上空に浮かんでいたものソレは巨大な火球だった。


 火球はまっすぐにファルの元へと飛来していった。


 そしてあっという間に大地に巨大な焼け跡を残し黒煙を上げ青い空を汚していった。


こんな自然あふれる場所で暮らしてみたいなぁと思う今日この頃。

でもなかなか行ける機会もなさそうなので文字の中で自然を満喫したいと思います(THE 社畜思考)

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