表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/16

6.おや? 僕の姉がとても怒っているようなのだが!?

「シルフをライトロード家から除名するってどういうこと!!」



 バンっと目の前の執務机を叩きながら端正な顔の美女が

 ライトロード家が現当主アクロ・ライトロードに吠えた。



「どういうことも何も言葉のままだ。シルフは神の儀式にて

 悪魔紋を発現させた。しかもよりにもよってエジル王子の

 目の前でだ。よってライトロードの家紋に泥を塗った

 愚息を追放した。ただそれだけの話だリン」



 実の父の言葉にリンと呼ばれた美女は今にも飛びかからん

 ばかりに身を乗り出した。



「父さんだってシルフが今までどれだけ努力してきたか

 知ってるでしょ! それにあの子は誰よりも優しい。

 たかが悪魔紋一つであの子の価値を決めるなんて

 馬鹿げてる」



 金髪のショートカットの髪を振り乱しながら抗議するリンに

 アクロは「はぁーッ」とため息を吐く。



「いくら努力しようが優しかろうがこのライトロード家の発展に

 貢献出来ないものはクズだ。仮に一翼でも耐えがたい恥辱だと

 いうのによりにもよって悪魔紋など発現させるとは。

 シルフはとんでもないクズだ。ライトロードの血が入っている

 とは思えん」



 瞬間、リンは右手でアクロの胸ぐらを掴んでいた。



「取り消して。今の言葉も。シルフの除名も」

「この世界は権力が全てだ。そして権力は天使紋に依存する。

 それは5翼の紋を持つお前が1番理解してるんじゃないか?」



 自分の胸ぐらを掴む娘の右手の甲に目をやる。

 そこには光の5翼の天使紋が輝いていた。

 


―――5翼



 それは6翼には敵わないものの世界でもほんの一握りしか

 発現することのない希少な天使紋。


 王族でさえそのほとんどは3~4翼だ。


 そのような紋を近衛騎士という立場でありながら発現させ、

 さらに魔法に格闘の鍛錬、戦術の勉強を重ね続けた

 リン・ライトロードの実力は他に類を見ない。


 またその可憐な容姿も相まって『黄金の華』と呼ばれるリンは

 近々若干19歳ながら王の持つ騎士団の一つを任されるのでは

 ないかとの噂もある。


 まさにライトロードの歴史を紐解いても類を見ない天才だ。



「お前はシルフと違い優秀だ。ライトロードの未来を

 背負っている。これからもライトロードの繁栄のために

 その5つの翼を盛大に羽ばたかせろ」



「……欲に絡んだクソジジイ」



 暗く静かにリンが吐き捨てるようにつぶやく。



「何か言ったか?」

「家族を家族とも思えない傲慢ジジイだっていったのよ!」

「リン。貴様現当主である私になんたる言い草だ! 

 取り消して頭を下げろ!」



 物凄い剣幕で怒鳴るアクロだがリンはそれに一切怯むこと

 なく、それ以上の怒りで吠え返す。



「あなたに下げる頭なんかはこれっっっぽっちもないわ。

 前々から何か有れば家族よりお金、出世。どうせ私の

 知らない所でもその強欲を満たすために散々悪さを

 働いてるんでしょ?もういいわ。シルフもいない

 この家に用はないから!!」



 そう言って掴んだ胸ぐらを離すと踵を返し扉の方へと歩き出す。



「おいどこに行くつもりだリン!」

「どこってシルフのところ」

「何を言ってるんだ。アイツはもう王子に殺された。

 この世にはもういない」



 一体何を言うんだというように顔をしかめるアクロに対し

 リンはあっけらかんとした表情をみせる。



「でも死体は見つかってないんでしょ?」

「それは王子の雷に焼き尽くされたからだろ」

「でも一緒に焼かれた小動物の死体は残ってた。

 なのにシルフの死体の痕跡はない。これっておかしくない?」

「それは、そうだが……」

「私なんとなくわかるのよね。あの子がまだどこかで

 生きてるって」

「いったい何を根拠に」



 するとリンは顎に人差し指をあて「う〜ん」と唸った後、

 パッと顔を明るくして



「お姉ちゃんの勘かな♪」



 そう言って部屋の扉を閉め長い廊下に消えていった。


 その様を呆然と眺めた後

 アクロは両手を叩き自分の護衛を呼び寄せた。



「アクロ様。お呼びでしょうか」

「今の話聞いていたか?」

「はい。お聞きしておりました」

「そうか。なら話は早い。早急にシルフの捜索にあたれ」



 アクロの言葉にがっしりとした体つきの護衛が目を見開いた。



「それは、アクロ様もシルフがまだ生きていると思っているという

 ことですか!?」

「いや、エジル王子のあの一撃を受けたんだ。間違いなく

 死んでいる」

「ではなぜ?」

「あの一撃を生身で受けて生きていられるはずはない。

 だが昔からリンの勘はよく当たるんだ」



 そこでこめかみに手をあてながら一言付けたす。



「特にシルフに関することについてはな」



 その言葉に嘘はなかった。昔からリンの勘はよく当たる。

 シルフが迷子になったときもリンはその直勘のみで

 どこにいるか探しあてた。


 またシルフが生まれた日、医師が出産はまだ先だと言ったにも

 かかわらずリンは

 


「ううん。わたしのおとうとはきょううまれるよ。

 だからおいしゃさん、きょうはずっとママのそばにいて」



 そう言って医師の袖をつかんで離さなかった。

 さらに皆を驚かせたのはシルフの母が急に産気づき、

 本当にその日のうちにシルフが誕生したことだ。


 リンには不思議な力があるということはライトロード家のもの

 なら皆知っている。


 さらに父親ともなればその直勘を見てきた回数は誰よりも多い。


 だから根拠のないリンの勘をないがしろにはしない。



「かしこまりました。してアクロ様。もし仮にシルフを発見した

 際にはどのようにいたしますか?連れ帰ればよろしいの

 ですか?」

「何を言っている? 見つけたら即刻殺せ。除名したとはいえ

 元ライトロードの者が悪魔紋などを背負って生きているなどは

 あってはならん! 死体をみせればあのじゃじゃ馬も諦めて

 ライトロード繁栄のためにその身を捧げるだろう」

「はっ、かしこまりました!」

「お前の他にも一応何名か人をつける。シルフの死体を確実に

 持って帰ってくるのだ。それとリンの妨害も決して忘れるな」



 アクロの言葉に敬礼し、護衛がリンを追うように部屋から

 出ていった。



「愚息が。どこまでわしに迷惑をかけるつもりだ。もし本当に

 生きているのだとしたら、場合によってはわし自らの手で

 人生の引導を渡してやってもよいかもしれんな」


 4つの翼が刻まれた右手の紋を撫で上げながら

 暗い執務室で一人呟いた。


シルフ君のお姉ちゃんの登場です。

金髪ショートカットのブラコンですが普段部下やその他にはかなりツンツンしております。

だんだんキャラも増えていきますが明日もまた一人新キャラがでますのでお楽しみに!

ではまた明日!

もしよければブックマーク・広告下の【☆☆☆☆☆】をタップもして評価・応援頂けると嬉しいです。(筆者のやる気があがる魔法のボタンです)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ