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3.おや? 僕の悪魔紋から銀髪青眼の美少女が現れたのだが!?

身体が痛い。

意識も朦朧とする。

僕は死んだのか?

でも死んだならなんでまだ痛みがあるの?

それに意識も朦朧とはしているがこうして考えることも出来ている。



「僕は生きているのか?」


 

 試しに動かしてみた唇からはカサカサのしゃがれた声が出た。

 続いてゆっくり瞼を持ち上げる。

 ぼんやりとはしているが徐々に景色が網膜に投影されてくる。



「たす、かった? でもなんで助かったんだ? それと、……ここはどこ?」



 開いた眼が映したのは教会ではなく緑生い茂るたくさんの大木だった。



 そしてその大木の中でも群を抜いて背の高いものに

 僕はもたれかかるようにして意識を失っていたらしい。



「ここは山? それとも森? 間違いなく僕は今日天使紋の儀式を受けに教会に行ったはず

 ……だよね?」



 あまりに突飛な状況に頭が混乱する。


 なんだ?そもそも教会に行ってエジル王子に無実の罪で断罪されたこと自体が夢だったってこと?


 確かに普通に考えればありえない話だ。


 なんなら夢だと言われたほうがしっくりくるくらいの出来事。

 

 でもじゃあどうやってこれが現実であれが夢だと判断できるのだろうか。



「そうだ。悪魔紋!あれが刻まれているかどうか見れば一発じゃないか」



 僕は急いで自分の左手を見る。

 そこには紅々とした悪魔の紋が輝いていた。



「はは、そうだよね。そもそもこの身体の痛みが偽物のわけないものね」


 そこで今日起きたことがフラッシュバックする。


 最後に映ったのはお父様が侮蔑に満ちた顔で

 僕に二度とライトロードを名乗るなと言った顔だった。



「なんで、なんでこんなことになっちゃったんだろ。

 今日までずっと頑張ってきたのに。一日で全部なくなっちゃった」



 自然と目から涙が落ちる。

 そして流れ落ちた涙が悪魔紋に触れた。

 その瞬間悪魔紋が鮮烈な光を放った。



「えッ!? 何コレ!?」



 突如として放たれた紅い閃光。

 そしてその輝きはあたりを鮮烈に染め上げた後納まった。



「そんなに涙を流さないでください。私まで悲しくなってしまいます」



 紅の光の中から絹のようにふわりとした優しい声が聞こえた。


 そこには青い瞳に白銀の髪、大きくはないが確実に凹凸のある

 成長期と思われる身体を持った美少女が一糸纏わぬ姿でいた。


 よくよく見ると白銀の髪には水色のメッシュがワンポイントで入っており

 彼女の魅力をより一層際立たせていた。



「そんなに悲しまないで。あなたはなにも悪くないです。悪いのはあなたを選んだ私なのですから」



 そう言って突如目の前に現れた美少女は裸のまま優しく僕を抱きしめた。



「!?!?!?!?」



 突然の出来事に声にならない声が溢れる。

 まだあどけなさの残る少女の柔らかい身体の感覚が全身に伝わる。

 少し目を落とすと頭一つ分小さい彼女の白い肢体を全て見下ろせる。



「ちょ、ちょっと待って! 服、服を着て! いろいろ聞きたいけどまず服を着て!!」



 顔を真っ赤にして叫ぶ。

 しかし彼女は青い瞳をキョトンとさせてさも当然のように



「あの私洋服は持っていないのですが?」



 そう言った。



「じゃ、じゃあ僕のローブを渡すからとりあえずコレを着て」



 僕はそう言って自分の身につけていたローブを渡す。

 すると彼女はそれを受け取り



「優しいのですね」



 嬉しそうに笑った。

 その笑顔に思わず胸が高鳴った


 そして目の前の美少女は僕が身に着けていたローブにいそいそと袖を通し始める。

 その動作一つ一つがとてもかわいらしく可憐だった。

 思わず見惚れてしまうがここで大事なことに気が付く。



 ん? 僕はなんで女の子の着替えてるところをまじまじと見てるんだ!? 

 そんなこと絶対に男として、紳士としてダメじゃないか!



 あまりに異常な現実に理性が追いつけず

 女の子の着替えを凝視するなどという愚行に出てしまった。


 僕は急いでギュッと目を瞑る。


 でも瞳に完全に焼き付いてしまった目の前の彼女の裸体が脳内で激しく揺れる。


 ダメだ!忘れろ!早く忘れるんだ!!


 除名されたとはいえ僕は元貴族で近衛騎士でもある栄えあるライトロード家の一員だ。

 こんな不純な感情を持ってはダメじゃないか!


 でももう彼女のことが頭から離れない。

 綺麗な青い瞳に、さらさらとした銀色の髪。

 僕と同い年位なのに内側からあふれる海のような優しさ。


 何より一切の邪心を持たない無邪気な笑顔。


 ダメだ!頭の中が彼女であふれる。


 そうだ。彼女の情報を更新するんだ。

 裸の姿じゃなくてちゃんと服を着た姿を想像するんだ。

 例えばワンピース。……かわいい。

 例えば貴族用のローブ。……すごくかわいい。

 王立学園の制服。……めっちゃかわいい!


 

「ダメだ! どの姿も全部かわいすぎる!!」



 僕は思わず叫んだ。

 すると



「あ、あのぉ。大丈夫ですか?」



 少し舌ったらずな甘い声が脳に響いた。



「着替え終わりましたよ?」

「あっ!? ほんとに!!」



 僕はそこで目を開ける。

 そしてとんでもないことに気づく。


 僕は今日、エジル王子から天属性の魔法を大量に喰らった。


 結果、僕の服はボロボロだった。もちろんそれは彼女に渡したローブも例外ではない。


 彼女が纏ったローブは大事なところは隠れてはいるものの至るところが破れており、

 身体の7割近くの肌が丸見えの状態だった。


 これじゃある意味裸のほうがまだよかったじゃんないか!?

 なんというかこれはすごく……



「なんか、こっちのほうがえっちですね」



 いたずらっ子のような笑顔で僕が思ったセリフを言われていた。



「いや、その狙ったわけじゃなくて、僕はただその……、痛ッ!?」



 勢いよく動こうとした身体に激痛がはしる。

 当たり前だ。あんだけ大量の魔法を受けたんだから。

 しかもよりにもよって6翼の人が使う魔法をだ。


 その場でうずくまる僕に彼女が心配そうにいう。



「ひどい傷です。早く光属性の魔法を使ってください」

「はは、僕は残念ながら魔法を使えないんだ。

 ほら右手に天使紋がないでしょ。僕は紋無しなんだよ」

「なにをいってるんですか? 

 右手になくても左手にちゃんと刻まれているじゃないですか?」

「ああ、こんなものは何の役にたたないよ。ただの飾りさ」



 力なくそういうとぷくーッと頬を膨らませた。



 え? なんか怒ってる!?



「わたしの紋は役立たずなんかじゃありません! 

 いいから早く回復(ヒール)でも高回復(ハイヒール)でも使ってください!」



 な、なんであんなに怒ってるだ!?

 とりあえずポーズだけでも回復魔法を使うフリをしとこう。

 ああ、本当だったらライトロード家は光魔法に特化した血統だったんだけどな。


 僕は痛む身体に手を当てて魔力を込める。



「【回復(ヒール)】」



 すると右手が淡い白色に光り触れた場所を優しく癒し始めた。



「え!? なんで!? 回復(ヒール)が発動してる!」

「ふふん。当たり前です。誰の紋だと思っているのですか」



 なぜか目の前の美少女がどや顔を見せてきた。


 しかし本当に驚くのはこれからだった。

 続けて彼女はこう言ったのだ。


「光属性だけじゃありませんよ。悪魔紋(ソレ)は全属性に対応したいわば万能紋なのですから」


ヒロインの登場です。

銀髪青眼にはいろんな意味で浪漫がつまっていると思うんですよ!

今後もファルの強いところかわいいところをどんどん書いていく予定ですので

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