二話「え?幽霊ですかい?」
(…ここはどこだ?)
周りを見渡す。どうやら部屋のようだ。
部屋は、6畳ぐらいの個室だった。
俺は部屋の左端のベットに座っていた。
右の方には机とイス。広い窓がひとつ。そして、前のほうに結構大きいドア。
(えーと、俺、山にいたよな?)
そして、穴に落ちた。
(ここはどこ?って……えええ!!)
俺は自分の姿をみて驚いた。体が無いのだ。
(へ!?)
叫んだ。いや、叫んだにもかかわらず、声が出ない。
(あ、あ〜あ……)
どうやら、実体が無いようだ
(死んだ。か、まぁ、あたりまえか)
『ガチャ…』
「あの…」
(へ?)
「あ、気づかれましたか!」
俺の頭の中に疑問符が浮かぶ。
「…状況がつかめませんか?」
(あたりまえだ!!って聞こえn)
「聞こえますよ?」
(ふぇ?)
どうやらこの少女は俺の声が聞こえるらしい
―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ――――――
半透明な青年がいる。
精霊はたいてい、半透明で、精霊のもつ属性の光を帯びている。
この精霊は水の属性の精霊のようだ。それも、かなり強力な。
精霊はきょとんとしている
(え、と…ここは、どこですか?)
「異世界です」
(フィディル?)
―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ――――――
少女は、俺と同じくらいの年のようだ。
葵色の髪、髪の毛と同じ葵色のやさしそうな瞳。
かなり美人で、はっきりいって俺の好みだ。
普通の人との違いは、耳が細長いことだ。
「はい、フィディルです」
(なんで俺は異世界っぽいところにいるの?)
「え?自分で来たんじゃないんですか」
(好き好んでこんな所にきません)
「おかしいですね…」
よくわからん!!
―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ――――――
精霊は、自分の選んだ神の子の素質を持つものに近づき、契約するものだと聞いていた。
そして、選ばれた者にしか、精霊の姿は見えないらしい。
「私を選んだんじゃないんですか?」
(え、選んだってなにに?)
「神の子の素質を持っているものに近づき、契約するためにです」
(契約?神の子?)
「えっと…」
―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ――――――
少女は困ったような顔をしたがすぐに切り替えた
「では、説明しますね」
40分後
(自分で理解した範囲ですが、僕は精霊と呼ばれる存在みたいですね)
「ええ、その通りです」
(で、神の子の素質があるものと契約して力を貸すと)
「でも、私もそんなに詳しくないんです」
(ん〜でも僕は「来た」というより「来てしまった」という感じですね)
「はぁ、山に穴が開いて…落ちたと」
(そうなんです)
「そう、ですか…」
彼女は残念そうな顔をした
―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ――――――
どうやら、私を選んで来たわけでは無いようだ。
(別にいいよ)
「え?」
(君の精霊になってもいいよ)
突然の言葉に驚いてしまった。
「ほ…本当ですか?」
(うん)
「ありがとうございます!!」
―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ――――――
(そういえば、名前は?)
「ロージ・マイアス・アーマン・フリーゴです」
(な、長いね…)
「ロージでいいです」
(僕は、杉崎 圭
「す、す、スキサキ?」
(あ、ケイでいいよ、ケイで)
「はい、よろしくお願いします、ケイ」
(っていうか、契約ってどうやるの?)
「こうやるんです」
すると、彼女はチョークを取り出した。
なにやら、魔方陣を書いているようだ。
「えーっと…契約の…執行の……よしっと」
チョークで描いた魔法陣が光りだした。
―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ―――――― ――――――
次の瞬間、驚くようなことが起こった。
私の自我は、心の奥に追いやられた。
ケイが、体の所有権をもった
(え?どういうこと?)
「これが…契約?」
少し低い私の声が聞こえ、しゃべったはずの声が心のなかで響いた。
「あ、あれ?俺、なんで声が出せるの?」