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ダンジョンが出来た世界で幼馴染が勇者(自爆魔法特化型)になったので、遊び人の俺は寄生しようと思う  作者: 秋月静流


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第73話 回想メモリーズ


 道場に着いた俺達は、一度各自解散する事にした。

 それぞれ身の回りの事で手配しなくちゃならない事があるだろうし、調達すべきものもあるだろう。

 家具家電・アメニティ・掃除付きの独立型ハウス。

 すぐに住み込みできる利便性が探索者のホームに選ばれる特徴だ。

 とはいえ流石に衣類や下着は備え付けてはいない。

 趣味のものや嗜好品と合わせ各自で用意する必要がある。

 ミズキとは双子が復帰するまでの仮パーティだが、それでも一ヶ月近くは共に暮らすようになる。

 コノハもご近所とはいえ授業免除手続きや荷物整理があるだろうしな。

 幸いまだ二時過ぎだ。

 集合を時間を二時間後と定め、俺達は別々に別れ行動を始める。

 何か急ぎの用事があるのかダッシュで自宅へ向かうコノハや、乗り込むなり車を吹かして急発進するミズキ。

 女性には色々買い込むべき物があるのだろう……多分。

 肩を竦めた俺は火消し駆り出され誰もいない家へ足を向ける。

 返事はないが習慣となった帰りの挨拶後、居間を抜け自室に向かう。

 幾度か使ってきた大きめのボストンバッグに衣類等を詰め込む。

 それだけで俺の用意は終わってしまった。

 何とも締まらないものだ。

 まあ、かといって二人みたいに準備に時間が掛かるのも考えものだが。

 居間に降りた俺はテーブルに腰掛け過去に想いを馳せる。

 ――思えばあいつらの買い物に付き合った時も散々だったな。

 見目麗しい女性三人に男一人。

 傍から見れば羨ましい状況かもしれない。

 だが……それは早計だ。

 俺は知ったね、買い物に掛ける飽く事なき女性の情熱を。

 その日は確か日常品や服の買い出しに行ったんだと思う。

 少しデートっぽい雰囲気にフワフワしてたのは覚えてる。

 探索以外で異性と行動する機会なんて、堅物の俺にそうはなかったしな。

 一張羅を着込んで――

 髪型も少し整えて――

 ああ、少しは期待してたさ。

 何かこう~ときめき成分が沸き立つ様な何かを。

 だが旧パーティのあいつらはそんな俺をスルー。

 いや――言葉は交わすし、頑張ったお洒落も褒めてもらったよ?

 でも女性特有のあの空間が形成されると駄目だな。

 コレ可愛いだの、やれ似合うだのと商品を前に大騒ぎ。

 完全に俺は蚊帳の外だった。

 一時間は余裕で耐えた。

 三時間は忍耐で堪えた。

 五時間で……心が折れた。

 人間興味のない事に付き合わされるのは存外苦痛なのな。

 それ以降俺は女性の買い物に付き合う事は遠慮させてもらってる。

 なかなか貴重な体験をさせて頂いたもんだ、まったく。

 苦笑しながら俺は仏壇に飾られたもう歳を取らない母の写真へ語り掛ける。


「お袋……俺はなんとか元気にやってるよ。

 これからも頑張るからさ、そっちで見守っててくれよな」


 澄まし顔の綺麗系に見られがちな母だったが……俺は知ってる。

 お袋はただ単純に感情のアウトプットが下手なだけの人だった。

 その内には人一倍熱い心が宿っていたと思う。

 厳しくはあったが同時に優しい人だった。

 その思い出があるから片親でも腐らずやっていけたんだろう。

 写真ではこんなに鮮明なのに――

 記憶の中の母の顔はどこか曖昧なのが少し残念だ。

 俺は近況を告げると、親父たちの無事を母へ頼み家を後にした。

 





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