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ダンジョンが出来た世界で幼馴染が勇者(自爆魔法特化型)になったので、遊び人の俺は寄生しようと思う  作者: 秋月静流


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第91話 完勝コンプリート


 物語を視覚的に先読み出来るという事。

 それはつまり限定的な未来予知を可能にする。

 これを索敵に応用したのが俺の【探査】だ。

 いつどこでどのような敵に遭遇するかを事前に把握できるのはダンジョン探索において計り知れないアドバンテージとなる。

 不意な遭遇戦がないという事は、張り詰めた精神に休息と安らぎを齎し、結果としてパフォーマンスを向上させるからだ。

 しかし俺に頼り切りで安心し、緊張を無くしては元も子もない。

 なので俺はこの力を常識的な範囲内に収めることにしている。

 具体的には30m。

 100m以上先でも可能だが、精神的に弛緩しないこの範囲で警告をする。

 前方から駆け寄ってきたのは、俗に死神の騎士と呼ばれるアンデット剣士1体と炎を吐くヘルハウンドが5匹だ。

 死神の異名は伊達でなく、6本の腕に握られた剣から繰り出される剣戟は下手なフロアボスよりも手強い。

 ヘルハウンドも厄介で、数に任せた集団戦及び遠距離からのブレスは熟練探索者でも文字通り手を焼く。

 死神の騎士ごと構わず炎を吐くのでブレスを避けづらいのも特徴だ。

 11階層より下であまり遭いたくない組み合わせの業魔にいきなり遭遇した。

 おかしいな……コノハの影響もあって幸運値はかなり上昇している筈なんだが。

 多分数値だけで測り知れない隠れステータスとかがあるのかもしれない。

 常時最悪の結果を引いてしまう『不幸』とかそういうの。

 まあ見方によっては好機ともいえる。

 クラスチェンジ後で得た力を十分に発揮できる相手なのだから。


「ミズキは犬に範囲攻撃。

 コノハはその援護。

 関城は魔法で奴等の足を止めろ。

 骸骨の相手は俺が引き受ける!」

「「「了解!!!」」」


 俺の指示に応じる三人の声が唱和する。

 先手を切ったのは関城だった。

 未知であったスライム魔法、その真価を発揮させる。


「ゆけ、ぬるぬる~っ!」


 何ともしまらない掛け声。

 だが引き起こされた効果は兇悪だ。

 関城の指し出した手の先から津波のように生み出された粘液。

 無色透明のスライムは、死神の騎士に先行して迫り来るヘルハウンド達の足元に勢いよくぶちまけられた。

 その結果はいうまでもないだろう。

 お笑い芸人がよくやるローション芸と一緒だ。

 摩擦係数を限りなく0に近づける粘液に脚を取られ奴等は壮絶にコケた。

 転倒までいかない個体も踏ん張りが効かずまともに動けない状態だ。

 そこに無慈悲に薙ぎ払われるミズキの剛斧一閃。

 胴体を両断されたヘルハウンド3体が瞬く間に魔石に還る。

 残された2匹はせめてブレスを吐こうとするのだが、狙い澄ましたかのように伸びたコノハの槍先が咽喉を貫く。

 しかし敵もさるもの。

 イタチの最後っ屁とばかりに消滅する寸前にブレスを吐く。

 ヘルハウンドの口元から放射状に広がる劫火。

 だが事前に打ち合わせしていた通り、そこで関城が動いた。

 例のスライム魔法をブレスの斜線上に今度は防護膜のように噴出させたのだ。

 さすがの劫火も分厚いスライムの壁を突破できるほどの威力はなく俺達にヒットする前に掻き消された。

 これこそ俺が仮想魔法室でシミュレートさせたスライム魔法の応用である。

 ただの足止めならずその魔法の使用方法には果てしない可能性が見出せる。

 今のこれは有害なブレスや魔法に対する防護膜展開、通称フ〇ーハだ。

 スライムの厚さにもよるが、展開が間に合えば投射系攻撃をほぼ無効化できる。

 三人が戦っている間、俺も傍観している訳じゃない。

 跳躍し器用にスライムを避けた死神の騎士を相手取る。

 6本の腕から繰り出される縦横無尽の剣。

 個々の技量は並とはいえ多角的な攻撃に人は弱い。

 初見なら為す術もなく手痛い一撃を喰らってしまうだろう。

 ――通常なら。

 俺は稀代の名匠、樫名による両刀を振りかざし襲い来る斬撃を迎撃する。

 我が流派は多数を想定した戦闘を主体とする。

 その実戦稽古は両刀を持った相手四人が前後左右から袋叩きにするというもの。

 達人級が裂帛の気迫で襲い掛かるプレッシャーに比べたら、たかが平凡な斬撃を6本凌ぐくらい訳が無い。

 地獄の様な鍛錬は無駄ではなかった。

 かと言って師範である親父に礼を述べたいとも思わないが。

 俺は詰将棋を解く様に丁寧に斬撃を捌き、隙をみて腕を斬り落とす。

 前衛泣かせで有名な骸骨剣士の堅い骨が抵抗なくスパッと斬れるのは爽快だ。

 流石は匡の業というべきか。

 その斬れ味に惚れ惚れしてしまう。

 そして腕を1本でも失えばその後の展開は明白だった。

 6本を使用した状態ですら俺と均衡していたのだ。

 次第に劣勢になりジリ貧に陥っていく。

 俺も勝利に驕ることなく冷静に骨を捌いていく。

 激しい攻防の後、ついに最後の1本を斬り飛ばす。

 観念したのか頭を垂れる死神の騎士。

 魔力の司令塔である頭を切り離すか破壊しなくてはこの手のアンデット系は斃すことが出来ない。

 俺はその潔さに敬意を表すと一撃で首を叩き落とした

 残心をもって周囲を窺えば、ちょうどコノハの一撃を喰らったヘルハウンドが塵となり崩壊していくところだった。

 敵は全滅し被害は皆無。

 完勝である。

 クラスチェンジ後で1レベルになった故、レベルアップするコノハとミズキ。

 無邪気に喜ぶ二人を見ながら、俺は機能的に動き始めた新パーティの確かな手応えを感じていた。





 気が付けば、もう百話です。

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