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お城には徒歩で

 食事が終わると、ヴァリアッテは食事の合図をしたのと同じようにベルを鳴らしました。


 ベルが鳴ると、アッサンとリーネが再び部屋に入ってきて、食器などを片付けていき、一礼して出て行きました。


「さて、そろそろ行かねばならんな」


 朝食を食べ終えてから、ヴァリアッテは仕事をしにお城へと向かいます。


 本当は魔王であるヴァリアッテはお城に住むべきなのですが、広い上に冷たくて物寂しい場所だと感じてしまうので、近くに館を作り、そこからお城に行くようにしています。


 惑星ヴァルにおいて、お城は魔王の居城であると同時に、政治を行うシンボルのような場所であったりします。


 議決権を持つ十二使徒も定時になると入城してきて、ヴァルのこれからの事などを話し合いをしますので、お城は特別な場所として見られています。


 十二使徒とは違い、ヴァリアッテは必ず遅れて入城します。


 大物ぶりたいだとか、重役出勤だとかそういった理由ではなく、朝が弱いので定時に行けない上、お城にあまり長くはいたくないだけです。


 甘えだとか言われそうなのですが、ヴァリアッテに意見する者は、今のところ久能以外に誰もいません。


 魔王であるヴァリアッテに意見をしようなどとは恐れ多きことだとして誰もできないからです。


「今日もゆっくりしすぎだし、また遅れちゃうよ」


 久能がそう言うと、ヴァリアッテはキッと睨み付けて、


「余のしつけが行き届いていなかったな。そこになおれ」


 久能は言われるまま、その場に正座をしました。


「余に意見するとは百年早い」


 ヴァリアッテは足の裏で久能の顔をぐりぐりといたぶるのでした。


「……は、はい」


 久能の顔を踏んだりすると、しびれるような喜びがヴァリアッテの中を駆け抜けます。


 ヴァリアッテにいたぶられた久能の方も、しびれるような悦楽が全身を駆け抜けます。


 二人はそれで満足すると、部屋を出て、お城へと一緒に向かうのでした。


 ヴァリアッテ・スノーホワイトはお城には徒歩で行きます。


 歩いて6分ほどの距離なので、馬車を使ったりする必要がないこともあります。


 ですが、あまりお城が好きではないので、ちょっとでも遅れて行きたいというワガママだったりします。


 久能は、そのあたりの事を見抜いていますが、何も言いません。


 久能もまたお城があまり好きではないからです。


 十二使徒からはお前のいるべき場所ではないとプレッシャーをかけられています。


 けれども、そんな事は正直どうでもよくて、ヴァリアッテが居心地が悪そうにしているのを見ているのがつらい、というのが主な理由だったりします。


 ヴァリアッテは、久能を足蹴したり、困らせるようなことを言ってきたりする方が見ていて安堵できるという個人的な見解によるところがあったりします。


「今日のおやつは何がいいのか迷う……」


 お城までの道のりで、ヴァリアッテは昼ご飯ではなく、おやつのことをもう考えていました。


 そのことで久能がくすっと笑うと、ヴァリアッテが後ろを顧みて、ぎろりとにらみました。


「……あ、今のは……」


 ヴァリアッテと並んで歩くのは外だと人目があるので久能のほうが一歩下がって歩くのですが、ヴァリアッテはそんな久能の考えを見抜いて、並んで歩こうとします。


「余と歩くのがそんなに不満か?」


 ヴァリアッテは久能のことを睨んだまま、意地悪くそんなことを言ってくるのです。


「でも……」


 久能は魔族からの突き刺すような視線を向けられているのを知っています。


 ヴァリアッテの一存で休戦したとはいえ、まだまだ人に対しての遺恨が消えたとは言えないからです。


「自業自得なのだから気にする必要はない。むしろ見せつけるべきなのだ。十二使徒が余を封印したにも関わらず、誰も助けようともしなかった。それに、十二使徒の口車に乗って戦争を始めた結果なのだ。自業自得といわずになんと言うのだ? だから悪意など無視すればよい」


 そう言いながら、ヴァリアッテは久能との距離を狭めるようにちょっと寄って歩くようにしました。


「むぅ……」


 ヴァリアッテは久能の困る顔を見るのが好きなのです。


 どうやって困らせてやろうかと思案しているようなところもあり、ヴァリアッテにとって、久能はやはり愛玩動物のようなものなのかもしれません。


 久能にとって、ヴァリアッテはどういう存在なのでしょうか?


 そのことを久能は深く考えたことがないので分かっていませんし、絶対的な存在ではなく、そこはかとなく御主人様だと思っている節はあります。


 久能はヴァリアッテが自分にとって何であるのかわかるとする日はくるのでしょうか?



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