このイヤホンから聞こえる声は、、、亡くなったお母さん。
僕は、僕が産まれて直ぐにお母さんは亡くなってしまった...。
もともと、病弱なお母さんは僕をお母さんのお腹に身ごもった
時から、僕か? お母さんのどちらかが危ないと産婦人科の先生に
言われていたとか......?
...でもお母さんは先生にこう言った。
『もしも、、、どちらかしか助からないなら、子供を! 子供を優先
して助けてください! 私の命と引き換えにしてでもこの子を...。』
『...私も全力でがんばります! だからお母さんも一緒に諦めないで
頑張りましょう!』
『勿論です! でも、それでも、、、ダメならこの子を......。』
『綾乃! お.お前、、、!?』
『尚輝もいいわね! ちゃんと覚悟していて!!!』
『そ.そんなこと言うなよ~ 大丈夫だよ! 絶対に二人とも大丈夫
だから! なぁ? 綾乃!』
『...そうね!』
▼
でも結果は、、、?
お母さんが言った通りになった...。
僕か? お母さんのどちらかが助かる事に...。
でもお母さんに迷いわなかった!
『先生、この子を......。』
『...ははい、』
お母さんは、僕を産んで直ぐに亡くなった。
だから、僕はお母さんの事を知らないし見たことがない!
写真や動画の中だけなら、お母さんを見る事は出来たのだけど...。
お母さんは、こうなる事を見据えていたのか、、、!?
たくさん! 写真や成長していく僕にあてて動画もいっぱい撮って
くれていた!
僕の誕生日ごとに、、、。
動画を、20歳までの僕にあてて残してくれていた。
お父さんは、お母さんが亡くなって【再婚】もせず男手一つで僕を
育ててくれた。
1度だけ! 僕はお父さんに聞いた事があるんだ!
『もし、もしもだよ、、、? お父さんがお母さん以外に好きな人ができて
...その? 結婚したいって言ったら、、、僕はいいから!』
『尚孝! ありがとうな~お父さんの事を考えてくれたのか! でもお父さんは
再婚は考えてないんだよ! ずっと亡くなったお母さんの事が大好きだから!
でも、尚孝のその気持ちはもらっておくよ~!』
『...ううん』
『うーん? 泣いているのか?』
『違うよ! これは! 目にゴミが入ったからだよ!』
『...そっか!』
▽
お父さんも、きっと再婚の事は考えていたと思う...。
小さな僕には、新しいお母さんがいるんじゃないかと、、、。
でも、僕は亡くなったお母さんが大好きだ!
実際に会ったことのないお母さんが、ずっとずっと僕のお母さんだから...!
~そんな時だった!?~
僕が音楽を聴いていたら、、、?
イヤホンのコードが抜けてしまって、、、僕は気が付かず寝ていて
僕がハッとして起きた時は、、、。
それは、【女性の声だった】
僕を呼ぶ声で、目が覚めた!!!
『誰かそこにいるの? 聞こえている? 誰か私の声が聞こえていますか?』
『えぇ!? 誰? あれ、音楽聴いていたのに、女性の声がする!』
『貴方は誰なの、、、?』
『ぼ.僕は、桃倉 尚孝だよ!』
『...尚孝、尚孝なの、、、!?』
『貴女は誰なの?』
『貴方のお母さんよ!』
『えぇ!? お母さんは僕が産まれて直ぐに死んだんだよ!』
『えぇ、そうよ! 私は亡くなった! でも今、貴方と声で繋がっているわ!』
『本当に “お母さん” なの?』
『えぇ、ごめんね尚孝! 傍にお母さんが居てあげれなくて...。』
『お母さんが悪い訳じゃないよ!』
『それと、、、? お父さんは元気なの?』
『ううん、元気だよ! お父さんも僕も!』
『そう! また話せるかしら、、、?』
『話せるよ! お母さん!』
『じゃ、またね! 元気でいるのよ~尚孝!』
『...ううん』
▼
後で見たら、コードが入っていない事に気づいた!
でもそれからと言うもの、たまにお母さんと話す事が出来た。
少しの間だけど、、、物凄く僕は嬉しかった。
お父さんにその事を話したら、、、?
『俺も、お母さんと話がしたいよ!』
『いいよ! 今度、3人で話そう!』
でもどうやったら、、、?
お父さんにはお母さんの声が聞こえないらしい!
僕とお母さんが話してても、お父さんにはお母さんの声が聞こえなかったからだ!
それでも、お父さんは横で僕がお母さんの言った事をお父さんに伝えると
涙ぐんでいた。
『尚孝の為にも、尚輝、あなた自身の為にも好きな人が出来たら【再婚】して
いいんだからね! ってお母さんが言ってるよ。』
『......』
▽
でもそんな、3人の会話も僕が20歳になって終わってしまった。
『尚孝! 今日でお母さんと話せる時間が終わりになる!』
『...どういう事なの?』
『貴方も20歳よ! もう大人の男性だから、これからはお父さんを
助けてあげて!』
『わかってるよ! お母さん。』
『本当に貴方はイイ子に育っているわ! お父さんおかげね!』
『お母さんのおかげでもあるよ!』
『...うん、ありがとう尚孝! じゃ、元気でね!』
『お母さんも元気でね!』
『私はずっと貴方たち二人を愛している!』
『俺もだ! 綾乃!』
『僕もだよ! お母さん...。』
僕とお母さんとお父さんのほんのわずかに繋がった時間は終わってしまった。
家族3人の時間が、、、。
『それでもありがとう! お母さん。』
最後までお読みいただきありがとうございます。