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元服の儀

父上が京に戻ってから数年、特に管領である細川晴元と大きな揉め事もなく、京周辺は平和な日々が続いた。

そして、今年数え年で12歳を迎えたことで元服の儀を執り行うことが決定した。12〜16歳に行う元服としては最も早い時期ではあるが、父上の体調が芳しくないことで、将軍職の譲渡と共に今年の夏に行うこととあいなった。

鉄砲伝来が1543年であることから、1546年と思われる。手紙によると信長も今年に行う予定らしい。


世の中の大きな動きとしては、前年に北条氏康が河越夜戦に勝利し、扇谷上杉家(武蔵国)の滅亡により関東での大勢は北条家に傾いた。


今回、元服の儀を執り行うにあたり今まで避けていた上京の必要が生じ、その準備に追われている。


「どうじゃ。」

「よくお似合いです。」

「いや、万吉(細川藤孝)。どう見ても、鎧を着てると言うよりも鎧に着られてるか、せいぜい子供のごっこ遊びくらいにしか。」

「孫一。お主は全く。」

「そうか、似合っておらんか。その反応からすると万吉もそう思っとるようじゃのう。」


まあ、年齢小学生が着ても学芸会だわな。

「もっ、申し訳ございません。」

「いや、謝るなよ万吉。それじゃ認めたも同然だぞ。」

「そっそのようなつもりでは。」

「いや、よいよい。自分でも着れてないのはわかるしの。」


「菊童丸様。準備はできましたかの。おお、これはこれはよくお似合いで。」

「ふむ、準備は整っておるぞ。稙綱よ。」

「此度は示威も兼ねておりまするゆえ、兵と共に入京してもらいまする。まあ、それほど大軍は連れて行けませぬが、護衛を兼ねた兵1000ほどと中尾城まで赴き、その後は公方様と合流し、元服の儀とあいなりまする。」


「菊童丸。ここにおりましたか。」

「母上。」

「よく似合っておりますな。ここまで無事に育ってくれて、母は嬉しゅうございます。」

「ありがとうございます、母上。」

「此度の元服で公方様は将軍職を退き、名実ともにそなたが足利家の当主となります。その覚悟を・・・いえ、そなたには言うまでもないことでしたね。家のことは変わりませぬが、これよりは外との折衝も必要となります。父や母、家来の皆も力を貸します。今までそう言う機会はありませんでしたので、苦労することも多いでしょうが、そなたなら上手く出来ると信じております。」

「ありがとうございます。粉骨砕身力を尽くす所存でございまする。」

「いえ、砕けてもらっては困りますね。そこまで肩肘張らずとも、大丈夫ですよ。何せ義晴様ですら務まったのですから。」

父上・・・不憫。

「では、参りましょうか。ここから京までですと、数日はかかりますからな。挨拶はすみましたかな。何事もなければ、そのまま京に拠点を移すことになりますからな。」

「挨拶はすんでおる。」

「母も後で小梅と共に京にのぼります。共には参れませんので。」

この時代だと、女性を従軍させるのは縁起が悪いらしいから仕方がないか。


ここでの生活も今日で終わりだ。さらば朽木谷、我が青春の舞台よ。坂本の皆は元気かな。道中顔だけでも出せるだろうか。

はい、元服と将軍職引き継ぎは史実通りです。

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