先日の好々爺。さて、その正体は。
はーい。前回の小ネタの答え合わせ
「菊。今日のおやつは」
「今日?あんころ餅だと「善哉がいいぞ。あれは美味かった。」」
「善哉?美味しいしね。よきかな、よきかな。善哉にしよう。」
「おお、頼むぞ。」
・・・いやーー。ボケを流された。えっ、気づけよ。やめろよ。気づいてて嫌がらせか。
しかし、善哉か。昨日の雪合戦の後に食べたのが、そんなによかったのかね。
「思いの外、美味かったのでな。そう言えば、あの爺はその後来たのか。」
「いや、まだ来てないね。今日か明日来るのかな。」
「来たら、今度こそ一発入れてやる。」
「やめい。客に対して。」
「知らんな。やると決めたらやる。それはそうと、善哉頼むな。」
「ほーい。」
「じゃあ後でな。よきかな、よきかな。」
こいつ、気づいててスルーしやがったのか。クソ戯けが。
「あっ、そう言えば。善哉ってよきかなと読むのう。さっき、変な言葉づかいすると思えば、ははーん、これか。」
こいつ。全力でボケ殺しを。スルーした挙句、こちらとしては終わったと思ったあとに、しばらくして解説するとか、やっちゃあなんねえことを。
「よきかな、善哉。よきかな、善哉。」
殺す。神よ奴に七難八苦を与えよーー。
「よし、みんなにも言って自慢しよう。」
ガッデム!神は死んだ。
「あっ、ちゃんとおやつは善哉って伝えておけよ。」
あいつ、絶対善哉食べながら、よきかなって連呼するな。うん、間違いない。
とりあえず、台所行こ。
「あっ、菊童丸様。今、公方様にお客人がお見えで、公方様より菊童丸様も顔を出すようにと。」
おっ、早速来たのかな。
「わかった。父上の部屋だよね。」
「父上、参りました。」
「ふむ、入れ。」
「失礼致します。」
「こちら、我が子の菊童丸じゃ。」
「これはこれは、昨日はお世話になり申した。」
やっぱり、昨日のお爺さんか。
「なんじゃ、菊童丸。先にあっておったか。」
「昨日、偶々お会いして、父上の屋敷を訪ねられました。」
「ふむ、さようか。こちらの御仁じゃが、そちの武術指南役として、来てもろうたのじゃ。」
「これは、どうぞよろしくお願いします。」
「はっ、こちらこそよろしくお願い致します。拙者しがない武芸家でございますが、できうる限りを伝える所存でございますので。」
「はっはっは、御身がしがない武芸家では、どこの世界にもののふがいると言うのじゃ。」
「それほどすごいお方なのですか。」
「そうじゃ、なにせ剣聖じゃからのう。」
「剣聖・・・えっ?」
「そうじゃ。」
「いえいえ、常陸の田舎武士にございますれば。」
「国元のほうは大丈夫なのか。」
「はっ、弟子どもに任せて参りました。」
「えっ、剣聖・・常陸・・えっ、つっつか」
「なんじゃ知っておったか。」
「はっ、塚原卜伝と申しまする。」
「つっ塚原ぼくでんーーー!えっーー。」
「それほど驚かんでも。」
「そりゃ、驚きますよ。父上よりはるかに有名ですもの。」
「えっ、わし公方なんだけど。マジ?」
「父上の名前なんて、知ってる人の方が珍しいですもの。」
「がーーん。」
あっ、凹んだ。
「下々のものは、公方様は公方様としか呼びませんからな。」
「色紙に名前書いてもらえませんか。家宝にしますので。」
「がーーーん。」
「早速明日から稽古を始めますので、よろしくお願い致します。」
「ちらっ。がーーん。」
「いやー明日から楽しみだなあ。戦の話も聞かせてくださいね。」
「がーーーん。えっ?無視?部屋からもういないけど。えっ?」
史実なのに、なろう小説よりよっぽどなろう小説なジジイ。足利義輝やる限りはやっぱり、この爺さまがいないと始まらねえ。
30を超える戦場を渡り歩き、まともな傷は矢傷が六つほどとか。よく死にかける創作物の主人公とは一線を画す戦歴。




