きーたーーーー!
誰だ、誰だ、誰だ。空の彼方に踊る影。
白い素肌のばっちゃまーん。
「げっ、親父殿。」
うん、この子の親が探してるのかな?重秀の部下じゃないのか?刺客とかなら、やばかったね。まあ、流石に三太夫の部下に止められるか。
「万吉、連れてきてくれる?」
「はい。わかりました。」
うーん、誰だったっけ?声は聞いたことあるんだけど。って逃げようとしないよ。
「こら、逃げない。」
「嫌じゃ。」
逃げようとするけれど、周りにいる重秀や浄隆に道を塞がれて、逃げるに逃げられない様子。
「くっ、通してくれ。」
「あっ、来た来た。」
どうやら、無事に連れてきたようだ。
えっと、あれは・・・・織田信秀さんだ!
えっ!ってことは、この子は・・・・・もしや!
きーーーーたーーーーーー!
うわっ、まじで!あとでサインもらお!
そして、末代までの家宝にしよう!
信秀は慌てた様子で、目の前まで来ると勢いよく土下座をした。
「菊童丸様、申し訳ございません。何卒、倅に関してはお許し頂ければと。某が腹を切りまするので。」
「いや、別に迷惑かけられてないから、いいよ。むしろ彼のおかげで問題が解決できそうで、褒美を上げないといけないかと思ってたくらいで。」
まあ、ちょっと軍事機密の部分はねー。うーん、一応味方だし、秘密にさえしてくれれば、むしろヒントくれたので、こっちとしてはよかったし。チャラにして余りあるかな。どうせ話の内容全ては掴めないだろうし。
「ありがとうございまする。これ、吉法師。そなたも頭を下げぬか!」
「痛いって親父殿!」
「まあまあ、ここで見たことは他言無用にしてくれれば。で、今日はまたどんな用事で。」
「はっ、申し訳ございません。此奴が抜け出したのを追いかけて参ったがために、先触れも間に合いませぬで。本日は珍しいものが手に入りましたので、倅の顔見せと共に、公方様に献上をと。」
「ふーん。でその献上品とは。」
「はっ。これ、吉法師。おぬしが持って逃げたんじゃ。はようだせい。」
「いや、だってこれ・・・」
「なんじゃ、持っておるでは・・・・・壊れとる!」
「いや、これ二つに分かれるだけだから。」
「そうか。ふうー。こちら種子島にて仕入れました新たな武器にございまする。先端より火薬と玉をこめ、こちらの火縄を火口につけて、火薬の爆発により大きな音と共に鉄の玉を飛ばすものでございます。」
うーん。どないしょ。すごい苦労して手に入れてくれたんだろうけど。
"バーン"
「そうそう、このようにバーンと言う大きな音と共に・・・大・・き・・な・・音・・・」
「親父殿、だから・・・」
うわ、ごめん。顔面蒼白で汗ダラダラの様子はかなり気の毒。
「親父殿。ここではとうに手に入れて改良すらしてるようだぞ。」
「・・・はっはっはっは。・・・菊童丸様はとうに手に入れておいででしたか。ははは、流石にございますな。」
ごめんやで。せっかく一番に手に入れて、すぐに持ってきてくれたようなのに。まあ、火縄銃自体はともかく、ありがたい情報が手に入った。正直火縄銃そのもの以上の御手柄だよ。信秀君!
種子島に鉄砲が伝来したってことは・・・今年は1543年ってことだ!これがはっきりしたのが何よりの情報だよ。いや、ホント。
「鉄砲を手に入れて、まず献上を考えたソチの忠義はまこと嬉しく思うぞ。重秀、火縄銃はあるか?」
「はっ、こちらに。」
「これは、足利家が作った鉄砲じゃ。此度の忠義への褒美として、下賜するゆえ、参考にして織田家でも作ってみるといいぞ。」
「ははー。もったいなきにございまする。忠義を持ってお返しできればと。」
「あっ、じゃあ。今、当家では管領殿との決戦を控えているので、兵を出してくれるか、距離的に難しいなら兵糧の支援でも。」
「それは・・・」
「ああっ。今も評定の最中だから、内容については終わってから父上にでも相談してくれたら。」
ふむ、明らかに顔色悪いけど、言質はさっきとった。
「・・・・ははー。」
「まあ、勝った時に味方したと言う口実程度の支援でもいいよ。正直、遠いし。」
「はっ、ご配慮ありがとうございまする。」
「なあ、さっき褒美くれるって言ったよな。」
「これ、吉法師。」
「いいよ。いいよ。うん、何がいいかな?武器?茶器?」
「いや、物はいらん。ここに置いてくれ。少し見ただけでも、ここには尾張じゃ見たこともないものが一杯じゃ。もっと、色々とあるんじゃろ?見てみたいんじゃ。これからももっと増えるんじゃろ?田舎の尾張なんぞより、はるかに面白そうじゃ。」
「このたわけが。ご迷惑にきまっとろうが。大体御主は嫡男じゃぞ。国は?織田家はどうするんじゃ?」
「そんなもの、兄上か信行(まだ、勘十郎ですが、以降信行で。本来の諱は信勝、達勝、信成で残ってるそうで。信成さん最近見ませんね。)に継がせればよかろう。だから、足利家の直臣にしてくれ。」
「この親不孝もんが。御主に我が織田家を継ぐときに苦労せんように、領地を広げてまいったのに。」
うーん。コンプ中としては、家臣にするのはやぶさかでもないんだけど、大名として協力してもらうほうが、今後考えると・・・
「尾張みたいな田舎よりも、こっちの方が面白そうじゃ。」
いや、朽木谷の方が不便じゃない?
「まあ、それじゃあ。試しに一年とか二年こっちで預かるとか?それなら尾張を継ぐのにそこまで支障はないだろうし。」
「おおー、それじゃそれじゃ。それなら、良いじゃろう。親父殿。」
「くっ、この・・・・菊童丸様、迷惑ではありませぬか?」
「うん、大丈夫。」
「では、宜しくお願いします。」
・・・・あっ。忘れてた。
「そうだ。サインくれない?信秀、吉法師って。ここに書いて。」
「・・・・??」
はい。
というわけで。
次男で嫡男の三郎君でした。




