もう一度父親と
「痛っ。」
おっと、申し訳ない。考え事しながらだったので、力が入ったね。うん、お腹も一杯になったことだし。また、抜け出して、さっきの部屋に行こうか。
「もうよろしいのですか。では、母上様のところに参りましょう。」
なぬっ。それでは抜け出せないじゃないか。くっ、ここは仕方がない。
「おぎぁー、おぎぁー。」
「あらあら、おしめですかな。少し濡れておりますね。替えを持って参りますので少々お待ちください。」
よし、上手くいったぞ。おしめが気持ち悪いが、背に腹は変えられない。今のうちだ。
障子開けるのも一苦労だ。見つからないうちにさっきの部屋に行こう。
おっ、ここだここだ。あれっ、いる?
いないな。困ったなどうしよう?
うーん。はいはい疲れるし、すぐ見つかるだろうから、探すの難しいし。
おわっ。
「見つけましたよ、菊童丸様。目を離すとすぐにいなくなりますね。」
後ろから急に持ち上げるとは、おぬしくノ一だな。
はははっ。冗談はさておき、まだ話ししないといけないのに。
「お部屋に戻って、おしめを替えましょうね。」
もう、直接お願いするしかないかな。
「さあ、部屋に着きましたよ。取り替えますので、横になってくださいね。」
この開放感と、年頃の女性に裸にされる感覚・・・・・いや、なんともないよ。まだ、性欲ないし、恥ずかしさにも慣れたわ。最初は、自分で下の世話すら出来ないことにやるせなさを感じたが、ボケてりゃ老人になってから、これなんだなー。それは、今でも嫌だわ。
ふむ、綺麗になり気分爽快です。
「ととは?ととさまは?」
「公方様ですか?そうですね・・・・・・
えっ、菊童丸様。えっ、今のは、菊童丸様ですよね。」
「ととさま、どこ?」
「・・・・・・お話になっ・・・、奥方様〜公方様〜」
ありゃ、行っちゃった。
しょうがない、待ってよ。
やっぱり、早すぎたか話すの。
ドタバタと足音が聞こえてきたな。
「菊童丸!」
おおっ、母さんか偉く慌ててきたんで誰かと思った。
「菊童丸、母ですよ。はーは。」
いや、わかってますが。
キョトンとしてると、
「菊童丸、母です。母と言ってみてください。」
ああっ、そういうことか。
「母上。」
「ああっ、もう一度。」
「母上。」
そこで、ぎゅーっと抱きしめられた。ちょっと苦しい。気恥ずかしいし。でも嫌じゃない。すごくあったかい気持ちになって、すごく幸せだ。
しばらく、そのままでいると、
「菊童丸、そこにおったか、目はもう覚めたか。で、あれば少しこちらに来い。」
「あなた様、菊童丸は赤子ですよ。どのようなご用事で?」
「よい、向こうで話す。稙綱、連れてまいれ。」
「はっ。」
「お待ちください。いまだ、菊童丸の養育は私が任されているはずです。」
「であれば、そちもついてまいれ。構わぬな」
母さんも訝しげではあるが、ついてくるようだ。
なんか、さっきの駄目親父と態度が違うな。どうしたんだろう。
部屋に着いたんだけど、なかなか話が始まらない。すごく重苦しい空気だ。これが先ほどの情けない駄目男と同じ人物なのか。
「さて、菊童丸。おぬしはどこでそのような言葉を覚えた?誰から、畿内の情勢について聞いた?どこで、先ほどのような知識を得た?」
凄まじいプレッシャーに喉が渇く。これが戦国時代の将軍の本来の姿なのか。
「あなた様、なにをおっしゃるのですか、菊童丸は赤子ですよ。そのようなこと答えられるはずが
「菊童丸、おぬし何者じゃ。」
主人公迂闊でしたね。
足利義晴ですが、1536年3月生まれの義輝に8月の段階で、将軍職を譲ろうとしております。
もう少し大きくなってから、動き出させる予定でしたが、調べてると、じゃあもう基づいて書いてやれ、結果、バレないと変だなと、今の形に落ち着きましたね。




