荒療治
もしも、戦国時代にコロナがあったら!
60歳以上の致死率 数% !でもそもそも、そんな年齢いねえ。
若者 ほぼ死なず。風邪引いたかな?結核か?あれ?治ったわ。
人の行き来は少ないので、局所的に終息。
衛生観念の低さの影響は不明だが・・・
うーん、伝染病とすら認識されないんじゃ。
朽木谷に着いても、やはり父上の消息はわからなかった。失敗した。その結果がこれだ。前世の知識がある程度で凡人の俺が調子に乗った結果が。
何も手につかない。何もしたくない。また、誰かが死んだら。いや、父上はまだ死んだと決まったわけじゃ・・・・
「菊童丸様!」
うん?
「勘助?」
なんだよ。今は一人にしてくれよ。
「用は?出来れば一人にしてほしいんだけど!」
どさっ。
木刀?
「持ちなさい。」
「・・・・今はそんな気分じゃない。」
「もう、ひと月です。いいから、持ちなさい。」
そうか、ひと月も経ったのか。
ひと月経って、音沙汰もないのなら、もう・・・・
「下がれ。」
「・・・・」
「下がれ!」
なんだよ。下がれよ。一人にしてくれよ。
うん、どうして近づいてくるの。グエっ。首根っこ掴んで、無理やり引っ張っていくとか、不敬だぞ!
ズザー。庭に無理やり連れて行かれて、放り投げやがった。いってー。擦りむいただろうが。
「なんじゃ。余に向かってこれは。」
カランカラン。さっきの木刀を放ってきた。
「持って、構えなさい。」
なんでだよ。
「嫌だ。」
「構えなさい!」
ふん、知るか。
・・・立ち上がって、勘助の横をすり抜けて部屋に帰ろうと歩き出した瞬間。
「グホッ。」
息が、息が・・・いてー。唐突に鳩尾に突きを放ってきやがった。(注意 死にかねません、真似しないでね。そして、幼児虐待です。)
そのまま、数分のたうちまわって、ようやく痛みが収まってきた。
「ふざけ・・・んな!このクソヤロー。」
落ちている木刀を手に、思いっきり勘助めがけ振り下ろした。・・・が、当然のように避けられ、次は肩に一撃。
痛い!焼けるような痛みが。くっ、折れてないか?これ。
ふうーふうーふうー。痛みで涙が出てくる。くそっ。
その後、何度も切りかかったが、全部受け切られて終わる。最初みたいに、思い切り打ち据えるみたいなことはなかったけど、それでも返す刀で何度も打たれた。一撃もいれられねえでやんの。相手は隻眼で片足引きずってるのに。無茶苦茶悔しい。絶対一撃入れて泣かしてやる。
結局、体力が尽きて動けなくなるまで、半刻ほどボロボロにされただけで一発も入れられなかった。
「ふうー。今日はこれまでです。明日、同じ時間に来なさい。ああ、負けたままでよろしければ、来なくてもよろしいですよ?」
明日は見てろ。絶対泣かしちゃる。しばらく、転がって空を見てた。夕陽がやけに目に染みた。
「菊童丸様、大丈夫でいらっしゃいますか。」
万吉君?
「なんです、あの狼藉者は、即刻首を跳ねて参ります。」
「・・・いい。やめろ。俺が自分でやるから、絶対に邪魔するな。」
「いえ、あの様な輩はやはり、足利家にはふさ・・」
「いいから、絶対にやめろ!手を出したら、万吉その方に罰を与える。」
「そうですか。」
「とりあえず、肩貸してくれ。部屋に帰るから。」
その日は、痛みで中々寝付けなかった。ただ、ここ最近毎晩の様にうなされていた悪夢は見なかった。
・・・そして、今日で一週間。まだ、一発も入れれていない。くそったれ!三日前からは朝夕に素振りもはじめた。効果はまだ出ていない。身体中あざだらけであざのないところを探すほうが難しい。ただ、鬱屈とした気分は今はもうない。
しかし、腹が立つ。ああ、腹が立つ。
まず、腕の長さが違う。腕の振りの速さも違う。そして、何より体重と腕力が違う。これで勝てるはずがない。
ただ、目は慣れてきた。体も痛みで反応が遅れたりするが、それでも最初よりも思うように動くようになった。
どうせ、リーチの差で先手は向こうだ。でも、体の小さなこちらを狙うなら、切っ先の位置で振り下ろすか、突くか、薙ぐか決まる。上段!振り下ろし!一度刀を合わせて・・・流しながら距離を詰める。よし、防いだ。あとはどんな不格好でもいい。相手に先に当てろ。くそっ、後ろに下がるな!向こうのほうが一歩が大きい、ここで逃したらまた向こうの間合いだ!当たれ当たれ当たれーーー!
当たったー!ドンっ。そのままの勢いでぶつかり勘助と二人もんどり打って転がった。
「いやはや、参りました。ついに入れられてしまいましたな。」
やっぱり、腹が立つ。
「・・・菊童丸様。・・・お世話になり申した。主君に手を上げた某は、責任をとって・・・」
「勘助、そちに罰を命じる。」
「はっ。」
本当に腹が立つ。痛かったんだぞ!くそっ。毎日毎日。
「此度の件、そちには切腹を禁ずる。」
「ははー。・・・はっ?」
「痛かったんだぞ。しんどかったし。だから、絶対に楽させてやらん。こき使ってやるから覚悟しとけ。死ぬまで仕事させてやるから、簡単には死なさないからな。」
「はっはっはっ。それは恐ろしゅうございますな。」
何よりも自分に腹が立つ。勘助に死ぬ覚悟させてまで、何もしようとしなかった自分に。
「勘助、すまなかったな。そして、ありがとう。もう大丈夫だ。」
「ははー。」
「本気で切腹するなよ。フリじゃないからな。許さないぞ。」
「ははー、この不義は働きで持って返させていただきます。」
「いや、切腹もいとわず忠言してくれるような家来を持てて、果報者だね。ホント。でも、痛かったんだぞ。だから、覚悟しとけ。」
よし、見てろよ晴元。父上の仇だ。そして、この戦国を絶対終わらせてやる。
fin
・・・・・・
「痛た、痛っ、あっちょっとやめて。」
「怪しい奴め。ここが菊童丸様の館と知っておるのか。」
うん、なんだ?賊か?
「痛い。離せ。菊童丸に会えばわかるから。痛た痛い。」
「そなたの様なみすぼらしい格好をしたものに、菊童丸様を合わせられるわけがあるまい。」
「しょうがないでしょ。一ヶ月以上、逃げ回ってたんだから。」
うーん、この声聞いたことあるんだよな。
「なんだろ?見に行くから勘助ついてきて。」
「はっ。」
誰だっけ?
「菊童丸ー助けてー」
あっ!これは!
走って駆けつけたそこには・・・
「おおー菊童丸ー。この者を説得してくれ。」
浮浪者のような格好の汚らしい格好の・・・・
おーい父上、なんで生きとんねん。
あれ?なんか書き方変わってない、この話。




