その後 (稙綱目線)
くっ、うまく書けん。
ここで、俺すげー。でシミュレーション感覚だった主人公が挫折した心情を出したいものの、うまく書けん。
「ははー。」
「じゃあ、頼むよ。母上や千歳丸達のところに行くから。」
菊童丸様。おいたわしや。某どもが至らぬばかりに。
「勘助殿、嫌われ役を買って出てもらい申し訳ござらぬ。」
「なんの、主君のためじゃ。嫌われ役ごとき演じて見せようぞ。それに、菊童丸様は理解しておいでのようじゃし。」
「そうじゃの・・・。今は急ぎ準備じゃ。万吉、籠の手配を致せ。幸隆殿、荷の準備をお願いします。重秀は鉄砲を中心に幸隆の手伝いを頼む。勘助殿は某と共に兵の準備じゃ。殿を頼みますぞ。」
「はい。」
「三太夫殿。道中の見回り、晴元の軍の動向の調査をお願い致します。出来れば、足止めが出来ればお願い致しまする。」
「はっ、全力を尽くしまする。此度は我らの働きが足らず、公方様が。」
「なんのなんの、その方らの働きがなければ、此度の動きも分からず、ここも抑えられておったじゃろう。そうなれば、菊童丸様は晴元の傀儡じゃ。最悪を避けられたのはその方らの働きによるものじゃ。」
「はっ。」
「あとは、すまぬが影武者の用意を頼む。」
「はっ、一族から菊童丸様と同じ年のものを出しましょう。しかし、菊童丸様と似てはおりませぬぞ。」
「構わん、菊童丸様の顔を知っているものなどそう多くはない。であれば時間が稼げるじゃろう。しかし、影の者には申し訳ない。まず、命はないじゃろうし。」
「菊童丸様のためでございますれば、名誉なことでございます。」
そうか、だがその顔ではの。我らの不徳のせいで子供の命を犠牲にするのじゃからな。
菊童丸様にも辛い選択をさせたものじゃ。あの方のおかげで京や他の国も豊かになっておったのに。わが朽木谷にしてもそうじゃ。・・・晴元め、日の本を乱してどうするつもりじゃ。
「稙綱殿。では。」
「そうですな。よろしく頼みましたぞ。」
「稙綱殿。兵についてはお任せくだされ。稙綱殿は菊童丸様のところに。」
いや、今は準備を優先せねば。
「菊童丸様はあの年とは思えぬほど、聡明でございますが、それでも子供でございます。こういう時は大人が受け止めてやりませんと。親がよろしいのでしょうが、公方様は行方知れず。奥方様も今回のことはこたえておいでです。であれば、教育係の稙綱殿しか。」
「そうでございますな。・・・・では、お頼み申す。」
普段が普段だけに失念しておったが、菊童丸様はまだ7つでござったな。
「菊童丸様。」
「うん、稙綱?準備は終わったの?」
暗い顔をしておいでじゃ。
「はっ、他のものに任せております。」
「そっか。・・・・ねえ、稙綱。もっと上手く出来たら、今回みたいなことにはならなかったのかな?父上は・・・いや、反乱なんて起きなかったのかな?」
某にもわかりかねるが、晴元であれば遅かれ早かれ・・・
「いえ、晴元であれば、我らが力をつけていけば、やはりいつかは。」
「じゃあ、むしろ晴元は去年のこちらの動きで危機感を持って・・・・。」
「そんなことは・・・・いえ、あるのでしょうね。」
「やっぱり、僕がいなければ、今回みたいなことはなかったんじゃ。」
「それは違います。遅かれ早かれ奴はことを起こしておったでしょう。菊童丸様のおかげで、京の町は大乱から立ち直ってきております。ここ坂本も某の朽木谷も、伊勢も若狭も随分豊かになっております。」
「でも、父上が!」
「悪いのは、晴元でございます。それに、公方様はいざという時は、覚悟なさっておいででした。いつか、管領である晴元とは袂を分かつと、その時は京の自分は無事でいられるかは分からないと。」
「父上・・・・」
戦乱の世の常とは言え。前世があるとは言え、未だ幼い菊童丸様をどうお慰めすればよろしいのか・・・。
「菊童丸様、準備整いましてございます。」
「わかった。稙綱行こうか。」
「はっ。最後に一言。我ら一同、菊童丸様に救われておりまするゆえ。」
「そっか、ありがとう。」
くっ、無力である。何も出来ず、御心を支えることもできぬとは。
はーい、初めての他人視点でした。




