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斬られ役、異世界を征く!! 弐!!  作者: 通 行人(とおり ゆきひと)
最後の決着編
273/282

斬られ役、許し許される


 273-①


「えっと……その、酷い事を言って本当にすまなかった!!」


 現れた影光はナジミに対して土下座した。


「あれは……俺の本心じゃない……いや、『本心じゃないから』といって、口にして良い言葉じゃないのは分かってる。それでもあの時、俺は本体に全力を出させる為に──」

「影光さん」


 ナジミは土下座する影光の肩に優しく手を置いた。


「いいんですよ、ちゃんと……分かっていますから」


 影光は顔を上げた。そこには、ナジミの慈愛に満ちた微笑みがあった。


「な、ナジミ……本当に済まなかった。本体……いや、武光も」


 影光の謝罪に対し、武光は酒の入った盃を無言で差し出した。


「た、武光……」

「ナジミが……言われた当人が『許す』って言っている以上、これ以上俺が言う事はあらへん。それに、俺の怒りは、さっきの喧嘩で全部お前に叩き付けたしな? 売り切れや、売り切れ」

「す……すまん……!!」


 影光は差し出された盃を受け取ると、酒を飲み干した。


 最高に美味いと感じたのは、シルエッタによる核の修復作業にあたり、オサナが『大盛りで』と頼んだ事で、核の修復と共に新たに付与された『味覚』のせいだけではない。


「ところで分身……いや、影光。隣りの女性は……?」


 影光の隣りの、ナジミによく似た顔立ちの女性に、武光は視線を向けた。


「まさちゃん……ウチの事覚えてる? 子供の頃、近所に住んでたオサナやけど……」

「なんと、私のお姉ちゃんなんですよ、武光様!!」

「…………あー、オサナか!! ナジミのお姉ちゃんの……………………ぅええええええええっ!?」


 武光は思わず吉○新喜劇みたいなリアクションを取ってしまった。


「えっ!? ちゃうやん。ちょっと待って思考が追いつかへん。えっ!? オサナが何でここに!? って言うかナジミの……お姉ちゃん!?」

「まーまー、落ち着いてまさちゃん。ちゃんと説明するから」


 自分が実はこっちの世界の住人である事、子供の頃に武光と離れ離れになってから今までの経緯など、オサナは順を追って説明した。


「さてと……説明も済んだ所で……!!」

「痛だだだだだ!? ちょっ、何すんねん!?」


 武光はオサナに思いっきり頬をつねられた。


「お嫁さんにしてくれるって言うたのに……!! この……浮気者っ!!」

「お前ソレ、子供の頃の約束やろ!? 痛だだだだだ!?」

「ごめんなさいは?」

「ご……ごめんなさい!!」

「ふふ……しゃーない、許したるわ!!」 


 オサナは、手を離した。


「……それでだ、武光」


 影光が神妙な面持ちで話を切り出した。


「うん?」

「俺がここに来たのは、ナジミとお前への謝罪と、それともう一つ、相談があって来たんだ」

「何や、相談って?」


「…………シルエッタを公開処刑しようと思うんだが」


 武光は飲んでいた酒を噴き出した。



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