表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
斬られ役、異世界を征く!! 弐!!  作者: 通 行人(とおり ゆきひと)
調査隊結成編
25/282

調査隊、結成される


 25-①


 暗黒教団調査隊結成にあたり、武光を『直属の騎士に任命する』と宣言したミトだったが、その提案を武光は即座に拒否した。


「……え? 武光、貴方今……『断る』って言った?」

「うん、言った」

「いやいやいや、おかしいでしょ!? どう考えたってここは『謹んでお受け致します!!』とか、『有難き幸せ!!』とか、『粉骨砕身お仕えする所存です!!』とか言う流れでしょうが!?」

「うん、でも断る」

「どうしてよ!? 自分で言うのもなんだけど……王族直属の騎士に……それも直接任命されるって結構名誉な事よ!?」

「姫様の言う通りなんだな、騎士に任命されるのはとてもとても名誉な事なんだな」

「そうだよアニキ、勿体もったいないって!! ミト姫様の騎士に任命されるなんて滅多にない事だよ!?」


 ミトの言葉に、ミト直属の騎士であり、護衛隊長でもある、怪力無双の大男ベン=エルノマエやフリードも続く。


「いやー、ベンさん達の言うとおりやと思うんですけどね……」

「ならどうして武光さんは、姫様の提案を断るんだな?」

「うーん、まあいろいろ思う所があるんすわ」


 言葉を濁す武光にミトやベン、三人娘、そしてフリードも怪訝けげんな顔をする。


「もう一度言うわよ? 貴方をアナザワルド王国第三王女、ミト=アナザワルド直属の騎士に任命します」

「断る」

「任命します!!」

「断る!!」

「いや、だから任命するってば!!」

「いや、せやから断る言うてるやんか!!」

「どうあっても断るつもりなの!?」

「おう!!」

「何が何でも!?」

「くどい!!」

「後で『やっぱ任命して』って言ってもしてあげないわよ?」


“ぷぅ〜”


「オナラで返事をしないでくれる!? って言うかクサッ!?」

「とにかく、その調査隊とやらの隊長はやってもええけど、お前の騎士にはならん!!」

「はぁ……分かったわよ。そこまで言うのなら無理強いはしないけど……全く、一体何が不満だって言うのよ……」

「まぁまぁ、そんなブーたれんなって、せっかくの美人が台無しやぞー」

「え? そ、そうかしら……」


 一瞬で機嫌が治ったミトを見て(うわ、ちょろい……)と思う一同であった。


「じゃあ、改めて唐観武光……貴方を暗黒教団特別調査隊の隊長に任命します!!」


 武光は芝居掛かった大仰おおぎょう所作しょさで平伏し、応えた。


「ははーっ!! 有難き幸せ、謹んでお受け致します!!」

「あと、ナジミさん」

「は、ハイッ!!」

「ナジミさんを……副隊長に任命します」

「ええっ!? わ、私ですか!?」

「ええ、クレナ達のお姉さんとして彼女達を助けてあげて? ニブイ武光には分からない悩みもきっと出てくるだろうし……」

「分かりました……精一杯頑張りますっ!!」


 ナジミとミトは互いに頷き合った。


「さてと……クレナ=レディーグル、ミナハ=ブルシャーク、キクチナ=イェロパンサ」

「「「ハイ!!」」」


 名前を呼ばれた三人は直立不動の姿勢で返事をした。


「三人共、武光やナジミさんと共に暗黒教団の動向を探りなさい!!」

「承知致しました!!」

「姫様の御命令とあらば」

「つ、謹んで拝命致します」


 ミトはクレナ達の返事を聞くと、彼女達の目を一人一人しっかり見ながら言った。


「三人共、必ず無事に帰ってくるのよ? いいわね?」

「「「ハイ!!」」」


 三人の返事を聞いたミトは、改めて武光の方を向いた。


「それじゃあ……頼んだわよ、武光」

「おう、お前も王都までの道中、気を付けてな」

「大丈夫、この街の兵士も同行してくれるし、ベンもいるから」

「安心しろ武光さん、姫様はおれが守る!!」

「頼みます、ベンさん」


 武光はベンに頭を下げた後、周囲をぐるりと見回した。


「よっしゃ……行くぞ《照明しょうめい隊》!!」


〔うわ、ダサい!!〕

「武光様、あんまりカッコ良く無いです……」

「何でやねん!! 光を当てて影を消す、俺らにピッタリやんけ。言うとくけど、舞台でも照明さんってめっちゃ大事なんやからな!? えっ、ちょっと待って、そんなダサい!?」


「はい!! とってもダサいです!!」

「無いな、ハッキリ言って……ダサい!!」

「え、えーっと、その……ごめんなさい、格好良くはないと思います」


 武光はクレナ達の方を見たが、クレナには元気良く、ミナハにはキッパリと、そしてキクチナには遠慮気味に『ダサい』と言われ、精神的にダメージを受けた。


「ふ、フリード……」


 武光は救いを求めるようにフリードの方を見たが……


「アニキ……ゴメン!! ダサいよ、凄く!!」

「ぐはぁっ!?」


 痛恨の 一撃!

 武光は (精神的に)9641のダメージを 受けた!


「ちょっと、嘘やろ……たったの一人も賛同してくれる奴おらへんのか!?」


 全員から総スカンを食らったかと思ったその時……


〔……私はいいと思います〕

「ま……魔っつーーーーーん!?」


 ただ一人、いや、一振ひとふりだけ……魔穿鉄剣が賛成の意を示した。武光には腰の脇差わきざしが慈悲深い神のように見えた。


〔ダサいかどうかは置いといて……私はご主人様の味方ですっ!! ……カッコイイかどうかはともかく!! ……って、アレ!? ご主人様、どうして泣いてるんですか!?〕

〔あーあ、トドメ刺したな魔っつん〕

〔えっ? ええっ!?〕


 落ち込みまくる武光に、ナジミは努めて明るく声をかけた。


「そ……そうだ!! 神様のご加護を得られるように、神様の名前にあやかりましょう!! 武光様の国には太陽の神様とかおられないんですか?」

「……天照大神あまてらすおおみかみっていう神様がおるけど」

「おおー、何かもの凄く神々しくて、格好イイじゃないですか!!」

「そうか?」

「ハイ!!」

「よっしゃ分かった。でも、流石に神様の名を名乗るのはおそれ多いから……天照大神にあやかって……《天照てんしょう武刃団ぶじんだん》とかどうや?」 


 武光は改めてフリード達に同意を求めた。


「カッコイイ……異界の太陽神とかカッコイイよアニキ!!」

「太陽の神様かぁ……イイかも!!」

「うむ、良いと思う!!」

「ハイ、素敵だと思います!!」


「ほ……ホンマか?」


 武光の問いに一同は頷いた。



「よっしゃ!! じゃあ……天照武刃団、ここに結成や!!」



 ……かくして、暗黒教団特別調査隊、《天照武刃団》は結成されたのであった!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ