新生魔王軍、突入する
194-①
「うおおおおおっ!? ま、魔王城が倒れるぅぅぅぅぅ!!」
サンガイハオウの最後の一体による自爆特攻を受けて、城壁を目前にして魔王城の右前脚がボキリと折れた。
城が大きく傾き、正面の大鏡一面にホン・ソウザンの城壁が映し出される。
「な、なんのぉぉぉっ!!」
「うおおおおおっ!? か、壁が!!」
そして、とうとう魔王城は城壁に激突した。激突の衝撃で魔王城が激しく揺れる。
ゲンヨウの必死の操城によって、魔王城はリングロープにもたれかかるプロレスラーの如く、城壁にもたれかかる形で、何とかギリギリ転倒を免れた。
「はぁ……はぁ……見たか!! これぞ魔王軍一の操城の名手と呼ばれた、ゲンヨウ様の腕前よ!!」
「流石だジイさん、よくやってくれた!!」
影光はゲンヨウの肩をポンと叩くと、すぐさま伝声管へと走った。
「皆、怪我してないか!?」
影光からの問いかけに、伝声管を通して四天王達からの応答が返ってくる。
「影光か!? 俺達は平気だ!!」
「オレ……タチ……モ……ダイジョウブ!!」
「僕の隊も怪我人はいません!!」
「オサナ!! つばめとすずめは!? ケガしてないか!?」
「影光っちゃん、つばめちゃんとすずめちゃん、それにマナちゃんも無事やから安心して!!」
仲間達からの報告を聞いて一安心した影光は、力強く頷いた。
「よし……行ってくるぜジイさん、つばめとすずめとオサナにマナに……それに他の城に残った連中を頼んだ!!」
「安心するがいい、私は魔王陛下の執事であると同時に親衛隊隊長も務めておったのだ。この生命に替えても……お嬢様達には指一本触れさせぬ!!」
「おいおい、生命に替えちゃダメだぜジイさん、そんな事になったらマナが悲しむ。もちろん俺達もだ!! だから……年寄りの冷や水もほどほどにな?」
「フフ……任せておくがよい」
影光は両頬をパンパンと叩いて気合を入れると、伝声管に向かって声を張り上げた。
「よーし、皆……いよいよ大舞台の幕開けだ!! 行くぞお前ら……攻撃部隊、全軍突入だあああああっ!!」
ホン・ソウザンの街に、影光率いる新生魔王軍が突入した。




