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斬られ役、異世界を征く!! 弐!!  作者: 通 行人(とおり ゆきひと)
本拠地突入編・2
165/282

少女(銀)、託す


 165-①


「それじゃあカイコウオウ、私は勇者様を探してくるから、このクズ共を始末しておいてね♪」

「あっ、待て!!」


 立ち去ったシスターズ03を追おうとするフリードの前に、シスターズ03が呼び出した角の生えた双頭の鮫……《青影聖獣・カイコウオウ》が立ち塞がった。


 カイコウオウが、大口を開けて、フリード達に襲いかかる。


「くっ!?」


 三人娘とアルジェは左右に散り、フリードは咄嗟にヘッドスライディングで、突進してきたカイコウオウの下に滑り込んだ。直後、 “ガチン!!” と刃物がぶつかるような音がフリードの頭上を通り過ぎて行った。


 それが、カイコウオウが自分を噛み殺そうと上下の歯を噛み合わせた音だと気付いたフリードは肝を冷やした。


「フリードさん、そのまま!!」


 今度は “ヒュン!!” と風切り音がフリードの頭上を超えて行った。キクチナが放った雷導針がカイコウオウの横っ腹に突き刺さる。

 どうやら肉体の硬度はリクシンオウ程ではないらしい、キクチナが黒い手袋をはめた左手をカイコウオウに向けた。


「雷術……震天霹靂しんてんのへきれき!!」


 キクチナの放った雷撃がカイコウオウに襲いかかる。雷撃を受けたカイコウオウが一瞬怯んだ。

 そしてその隙を逃さず、ミナハとアルジェが左右からカイコウオウに突進する。


「はぁぁぁぁぁっ!!」

「ぬおおおおおっ!!」


 ミナハが右の頭部を、アルジェが左の頭部を目掛けて武器を振り下ろしたが、二人の攻撃をカイコウオウは左右の頭部に生えている槍のように鋭い一本角で弾き返した。

 ミナハとアルジェがカイコウオウの注意を引いている間に体勢を立て直したフリードは右の拳に力を込めた。


「よし、行くぞ黒王……って黒王? 黒王ーーーーー!?」


 フリードは叫んだが、黒王は目覚めない。代わりに右手の甲から黒い鼻提灯はなちょうちんのようなものが出てきた。どうやら城門を破壊する際に力を使い過ぎたのか、消耗し、眠っているらしい。


「お、起きろ黒王ーーーーー!?」


 フリードは右手を叩いたりつねったりしたが黒王はピクリとも反応しない。


「フー君!!」

「うおっ!?」


 クレナに言われて、フリードは間一髪でカイコウオウの突進を躱した。カイコウオウは廊下の壁を突き破り、姿を隠した。


「やべぇ……どこから来る……!?」


 焦るフリードに、アルジェが言った。


「……フリード、ここからは、おら一人で戦う」

「なっ……ふざけんな!! お前また一人で戦おうってのか!!」


 フリードの言葉に対し、アルジェは首を左右に振った。


「いんや……あん時ゃ、おめぇやクーさま達が足手まといになると思ったからそう言ったんだべ……でも今は違う、おめぇやクーさま達を信頼してっから、探索はおめぇ達に任せて、『おらは一人で戦う』って言ってんだべ!?」

「で、でもアリー……」

「アルジェ……」

「あ、アルジェさん……」


 不安げな三人娘にアルジェは笑いかけた。


「でぇじょうぶです、おらはこれでも最強部隊の一員ですだ。それに、おらは猟師をやってた頃、こーんな大きな猪を捕らえた事もあんだ。あんな魚の一匹や二匹!!」

「でもアリー……!!」

「おらを信じて欲しいんだ…………クーちゃん」


 アルジェの真剣な眼差しに、三人娘は頷いた。


「分かったよアリー……行こうミーナ、キクちゃん!!」

「ああ……気を付けるんだぞ、アルジェ!!」

「む、無理はしないで下さいね!?」

「ミナちゃんとキクちゃんも気をつけてくだせぇ!! フリード、おめぇ……クーちゃん達をちゃんと守んだぞ!?」

「お前こそ、死ぬんじゃねぇぞ!?」

「ふん、おめぇに言われるまでもねぇ!! 頼んだぞ!!」

「……おう!!」


 フリード、クレナ、ミナハ、キクチナの四人は03を追って駆け出した。


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