審判、下される
153-①
「ぐっ……ああああああああああああああっ!?」
影光は絶叫した。
ネキリ・ナ・デギリを鞘から抜こうとする影光に、審判の呪いによって、魔王剣に封じられた力と共に、全身の神経をズタズタに引き裂かれるような苦しみと、全身の骨を粉々に砕かれるような激痛と、全身を焼かれるような高熱が、奔流となって流れ込む。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
このままでは、間違いなく審判の呪いの試練に耐えきれずに影光は命を落とす。
四天王は影光に駆け寄ると、ネキリ・ナ・デギリの柄を握った。
〔何だ貴様らは!? 審判の邪魔をするな!!〕
「うるさいッッッ!! こんな所で……コイツを死なせるわけにはいかんッッッ……ぐっ……グォアアアアアアッ!?」
「グォアアアアアア……カゲミツハ……オレガ……マモル……グゥゥゥゥゥゥッッ!?」
「こ、これで……影光さんに流れ込む力は分散して……影光さんへの負担を減らせるはず……ギャアアアアア!?」
「フン……こんなバカに力を授けるくらいならこの私に注ぎなさ……うあああああああああっ!?」
「そういう事か!! 私達も行こう、ドルォータ!! シンジャー!! ネッツレッツ!!」
「「「おうさッッッ!!」」」
四天王の取った行動の意味を理解したフォルトゥナと『ヨミ様を愛でる会』の三人は、悶絶する四天王に駆け寄り、彼らの肩を掴んだ。
「ギ……ギニャーーーーーーー!?」
「デュファァァッッッ!?」
「グフェェェッッッ!?」
「ヌフォォォッッッ!?」
ガロウ達の体を通じてフォルトゥナ達にも力が流れ込み、四人は凄まじい激痛に襲われた。
〔いい加減にしろ貴様ら!! 審判の邪魔をする事は何人たりとも許さ──〕
「うおおおおーーー野郎共!! オーガ一族の名にかけて恩人を死なせるなッッッ!!」
「オーガ一族だけに良い格好させるんじゃねぇ!! 俺達も続け!!」
「我々暴牛族も行くぞ!! 影光を助けろ!!」
「他の奴らに遅れをとるな!! 手下を全員連れてこい!!」
「つばめちゃん、すずめちゃん!! ウチの部屋からありったけの癒しの札持ってきて!!」
「わかった!! いこう、すずめ!!」
「うんっ!!」
ネキリ・ナ・デギリの言葉は、影光を救おうとする魔族達の雄叫びにかき消された。
「ギャアアアアア!!」
「痛ででででで!!」
「熱っっっ!?」
「オエェェェッッッ!!」
「し……死ぬ……マジで死ぬ!!」
「ひえええええっ!?」
「ぐはぁぁぁぁぁっ!?」
「ほげぇぇぇぇぇっ!?」
「オピャーーーーー!?」
次から次へと魔族が繋がり、影光へと流れ込む力を分散させてゆく。
「ぐへぇぇぇぇぇっ!?」
「ひ……ひでぶっ!?」
「ガハァァァッッッ!?」
「ウギャア!! カゲ光サーン!!」
「うぐぐ……もっとだ、もっと仲間を呼んで……ギエエエエッ!!」
「応援に来たぞ……って、グハァァァァァァッッッ!?」
「ギャアアアアア!! 死ぬ!! マジで死ぬって!!」
「く……苦しい!!」
「 ( ;∀;)〈イタイヨー 」
あまりの激痛に意識を失いかけていた影光だったが、自分を呼ぶたくさんの声で意識を完全に取り戻した。
「み……皆!! 俺の為に……!!」
そしてとうとう城内のほぼ全ての魔族が繋がった。影光へと流れ込む力は分散し、影光の肉体への負担はかなり減った。
……今なら行ける!! 影光は柄を握る手に力を込めた。
「う……うおおおおおおおおおっ!!」
〔ま、まさか!?〕
「でやあああああああああっ!!」
影光は……ネキリ・ナ・デギリを鞘から抜き放った!!




