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斬られ役、異世界を征く!! 弐!!  作者: 通 行人(とおり ゆきひと)
第二回・殴り込み編
145/282

天驚魔刃団、叛逆の牙を研ぐ


 145-①


 その後、天驚魔刃団は、ヴァンプ達がわざとトポンツ砦に残していった暗黒教団の魔王城攻略計画の計画書を元に、各地の砦に襲いかかっている暗黒教団の軍勢に対し、時に背後から急襲し、時に先回りして待ち伏せして奇襲し……と、味方を救援するべく東奔西走とうほんせいそうしていた。


 東ニ窮地ノ《悪魔族》アレバ

 行ッテ『悪魔にも友情はあるんだーっ!!』ト救イ


 西ニ劣勢ノ《凶鹿きょうろく族》アレバ

 行ッテ『うるせェ!!! いこう!!!』ト誘イ


 南ニ苦戦スル《機人きじん族》アレバ

 行ッテ『オモイヤリ+ヤサシサ+アイジョウ=友情』トイウプログラムヲ(勝手ニ)インプットシテヤリ


 北ニ怯エル《暴牛ぼうぎゅう族》アレバ

 行ッテ『戻るのだ暴牛族よ!! 昔のハングリーなお前達にー!!(知らんけど)』ト奮起サセ


 ……と、宮◯賢治もドン引きする勢いで雨ニモマケズ風ニモマケズ、戦いの日々を過ごしていた。

 初めは天驚魔刃団をいぶかしむ者も多かったが、兵力にまだまだ余裕を持っていながら援兵の一人も寄越さないキョウユウに比べ、少数にも関わらず体を張って自分達を助けに来た影光達に対し、密かに兵を貸してくれたり、物資を分けてくれる者も出始めた。


 戦場を駆け回る中で、ヴァンプ達と遭遇する事も幾度となくあったが、そのたびに影光は例によって、戦うフリをしながら情報を流し、キョウユウ直属の配下が守る砦にヴァンプ達を差し向けた。


 味方を増やし、敵を減らす……影光達の叛逆の牙はひっそりと、しかし着実に研がれていた。


 145-②


 配下からの報告にキョウユウは苛立っていた。


 また一つ、砦が陥落した。一族の者が守る砦だ。

 また一つ、砦の防衛に成功した。天驚魔刃団が救援に駆けつけた《植人族》の砦だ。


 報告によれば、トポンツ砦では魔王軍の旗のもと、魔王キョウユウを讃える歌が盛大に歌われているらしい。


『祝え、新たな魔王の誕生を


 その雄大なる威風を前に


 千の将が平伏し、万の兵が付き従う


 至高の存在たる素晴らしき我が魔王


 天へと昇れ、魔王キョウユウ


 全てを覆せ!!』


 ……と。


 奴らは自分を讃える歌まで作って忠誠心を示そうとしているらしいが……全くもって白々しいと、キョウユウは拳を握り締めた。


 奴らはあれだけ各地を駆け回って味方の砦を救援しているのにも関わらず……自分の直属の配下が守る砦には一度たりとも救援に駆けつけた事が無いのだ。


 数日前、その事を詰問きつもんする為の使者を送ったら、『偉大なる魔王キョウユウ様直属の精兵が守っておられるのであれば、我らのような弱小集団が救援におもむくのは、かえって魔王陛下の御威光を損なう事になろうかと存じあげます』などと抜かしたらしい。


 今すぐにでも叩き潰してやりたい所だが、今の所、影魔獣軍団と対等に戦えているのは天驚魔刃団だけなのだ。敵がジワジワと魔王城に侵攻しつつある今、奴らを排除するのは得策では無い。


 キョウユウは腹立ちまぎれに、硬く握り締めた拳で部屋の壁を殴りつけた。


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