#四匹目 ちゅートリアル4
ノロノロ展開でスマンやで。我慢して呼んでくれると嬉しいやで。
「うまっうまうまうま…」
そう言いながらペットボトルの蓋に頭を突っ込んでいる鼠を横目にスマホを調べ始める。
まずは試しにスマホカバーを外して外観を調べたが、これといった変化は無い。
電源を付けアプリを一つずつ確認していけば幾つか見た事の無いアプリが存在する事に気が付く。
何故あの時、気が付かなかったとかと思うが混乱していたし無理もないかと納得する。
更に念入りに調べればアプリの下に表記されているアプリ名も幾つか変化していた。
先程鼠と思わしき声が聞こえる原因となった通話アプリだが、『RINE』から『配下管理』へと変化している。
他にも『マップ』が『ダンジョンマップ』。『アプリストア』が『モンスターストア』。
大きい変化はその変だが地味に表記が変わっている物もチラホラ。
ダンジョン…モンスター…
何となく嫌な予感が頭に過ぎる。
そして、新たに増えていたアプリ。
『NP管理』『ダンジョン君』『Nショップ』『ガイド』『search』
以上の五つが追加されていた。
取り敢えず『ガイド』のアプリをタップしてみる。
タップした瞬間画面が切り替わり、真っ黒な背景に白い文字が浮き上がってきた。
『おは#こにちわ。おまェh、〒%んジョンマスターになたЯ。おまェH・バグ=%>%から.説め#¥が零だ*ぉ、流石に悪ィか〆%。④Йア゛ァ/。外☆°#amかの干渉g@#とやはqぃ波チョウguaみだれる。完欠Ⅱ×<たえる。『ダンジョン】ヲ創Яれ!② 後%$ジユウ+kln° by%=a♪¥々』
「なんだ…これ…?」
酷く文字化け?しているのか殆ど意味を呈していない謎の文章だ。所々意味が読み取れる所もある様なので時間を掛けゆっくりと読み取る。
最初は挨拶で、ジョンマスター?あぁ、恐らくダンジョンマスターって事か。波長乱れる?このバグった文字の原因か。
ダンジョンを創れ?
読み取れたのはその程度だが『ガイド』にダンジョンを創れ と書いてある以上、俺のこの意味の分からない状況ですべき事がダンジョンを創る事なのか…?
これ以上謎の文章を読んでいても埒が明かないのでホームに戻れば『ガイド』のアプリは消えてしまっていた。
一体…何の目的であんな文章を?しかも俺のスマホを知らぬ内に弄っている様だし、ハッキングかウイルスか?
まぁ良い。それよりも明確になった事が一つある。
間違い無いのは俺が人間では無くダンジョンマスター等という訳の分からん生物になったという事だ。
そして、ダンジョンマスターの役割はダンジョンを創る事。
そういう事か…薄々勘づいてはいたが、今更ながら得心がいった。
空腹も酸欠も排泄も一切必要としない生物が人間である筈が無い。
見た目は人間そっくりだが別生物で間違い無いのだろうな。
はぁ…まさかこんな歳で人間辞める事になるとは。
『もういっぱいほちぃでちゅ~』
「はいよ」
鼠の声に反応し蓋に飲料水のお代わりを注ぐ。
もしかすると此処は本当に異世界かも知れないな。
それか死後の世界ってオチか。
その辺は今考えても仕方が無いと、思考を切り替え残りのアプリを一つずつ確認していく。
まずは『NP管理』を選択。
スマホの画面が切り替わり色々と表示される。
また文字化けしているか?と考えたが杞憂であった。
【NP残高 残り2419万2562】
NPってのが何かは分からないが2419万という数字には見覚えがある。
2419万…俺の通帳の預金残高だ。
多分間違い無いだろうこの前確認したばかりだし。
んで次。『Nショップ』
アプリを開くとなんか色々と表示された。
これはAnazonや楽典といったサイトの様に日用品から食料品等と幅広く取り扱っている通販サイトの様だ。
商品の写真と共にその商品の説明や値段が書かれている。
が、一つ違う点があるとすれば通貨単位だ。
Anazonや楽典は『円』であったがこのサイトは違う。
数字の後に『NP』と表示されている。
つまり先程のNPとやらが通貨の代わりになっていると。
『Nショップ』について理解すると次は『ダンジョン君』を開く。
アプリを開けば画面が変わり真っ黒な画面にポツンと白い正方形が映る画面に飛ぶ。
この画面、何処かで…
そこまで考えた所で思い出す。この黒に白というコントラストは現在地を調べようと現在は『ダンジョンマップ』に表記の変わっているアプリを開いた時に見た画面だ。
てことは、この狭い十畳ほどの空間が現在の俺のダンジョン…?
なるほどな。周りの黒は土か岩。白は空間があるって事か。なんだ、分れば簡単な事じゃないか。
十分程『ダンジョン君』というアプリを弄ってみてある程度このアプリについて理解した。
まずこのアプリは簡潔に言うとダンジョンを制作する為のアプリだ。
例えば、この狭い空間を拡張しようとする。
その場合土を退けた空間一立方メートルにつきNPを1000NP消費する様だ。
つまり日本円に換算すれば一立方メートルが千円。
なかなかに痛い出費である。
てことは…えーと…?一立方メートルを二万四千回掘ると無くなるわけか。
んー?思ったよりも掘れない?
他にも扉や罠の配置や環境の変化や地形材質を変えたりと様々な事をNPを使って行う事が出来るみたいだ。
俺はそこまで理解して、ゴクリと生唾を飲む。
これは…なんて本格的で自由度の高い現実なんだ。
高校時代こういった自由度の高いゲームにどハマりしていた俺は歓喜の声を上げそうになる。
早速色々と遊びたい気分になったが、優先事項を思い出し誘惑を振り払う。
残りの変化したアプリを全て確認し終えると俺は一息つく。
『ダンジョンマップ』は名の通り現在のダンジョンの状況を確認出来るアプリで、『モンスターストア』はダンジョンに解き放つモンスターをNPを消費して購入出来る場所の様だ。
西洋のドラゴンにそっくりなモンスターを見つけて早速購入しそうになったが値段を見て即ブラウザバックした。
三十六ヶ月ローンなら考えない事も無いが一括は無理死ぬ。
そして、最後の『search』多分これが俺にとって一番役に立つ物だ。
このアプリの機能はインターネットを使って色々と調べるみたく、打ち込んだ言葉の説明をくれるアプリだ。
早速、『NP』打ち込めば
『nestpointの略。このポイントを使用すれば様々な物と交換する事が可能。主にダンジョンを制作するのに使用される』
といった具合に説明が現れる。実に役に立つ。
しかしながら、『此処は異世界?』と調べてみた所、
『権限不足』
とだけしか表示されなかった。
適当に『神の存在』と調べれば
『権限不足』
と出る。
つまり機密度や価値の高い情報は『権限』とやらが必要になって来るのだと思われる。
これを知り俺は寧ろ喜ぶ。自由度も高くやり込み要素も多いと来た。こんなゲームがあれば大ヒット間違いない程の大作なのだから。
変質してしまったスマホについて理解を深めた俺は今後の方針を決める。
「もうあんな社畜糞ブラック企業に戻るかよバーーーーーカ!!NPやりくりして住みやすい自宅作って一生警備員して過ごしたらぁーーー!!」
誤字脱字やおかしい部分あればコメントにお願いしますやで。