#三十一匹目 ちゅ療
ログハウスへと早足で戻りマグ爺にドアを開けてもらい室内へと入る。
時刻は昼頃、エレノアは予想通りキッチンにて昼食の支度をしていた。
「エレノア!直ぐに新しいタオルとお湯を用意してくれ!」
『ナナシさん……一体…ッ!!』
それだけ伝え取り敢えずベッドへと寝かせ、俺はスマホを使って傷の治療に必要な物を探すべくスマホを…
その瞬間背後にて甲高い金属音が鳴り響く。
慌てて振り返ればエレノアが手に持った包丁で少女目掛けて切りかかって来ていた。
それをマグ爺が銃を使って防いでくれている。
「よせッ!?何してる!?マグ爺!彼女を抑えろ!」
『はい!』
『ナナシさんッ!!その子は危険です!!退いて下さいっ!!』
尚も鬼気迫る声音で迫るエレノア。
「エレノア命令だ、大人しくしろ」
『くっ……!?』
あまり使いたくは無かったのだが命令を使い強制的に自由を奪う。
一体どうしたと言うのか。マグ爺もエレノアもこの子を見るなり焦った様にこの子を始末しようとする。
何か原因があるのかも知れない。
それに関しては後程、考えるとして今はこの子の治療が先だ。
「マグ爺とエレノアの二人は地下にて俺が呼ぶまで他のスケルトン達と待機」
『『……はい』』
兎に角、危害を加える可能性のあるスケルトン達には地下にて待ってもらう。
治療をするのは俺だけどなるが止むを得ない。
二人が地下へと下がった事を確認して、新品のタオルを用意し風呂場でお湯を用意して持ってくる。
棚の上の救急箱も取り、必要そうな物を探す。
「おいおい、勘弁してくれよ。怪我人の応急処置なんて知らんのだが?」
分からないことはスマホで調べる。現代人の常識である。
まずは…えぇ、直接触らない!?
伝染病とか感染……もう触っちまったよ。
既に遅いと思うが『Nショップ』にて購入したゴム手を嵌め、治療を続ける。
えーと意識は…? うん無いね。
息は…一応ある。
心の臓は…?動いてる。
気を失ってるだけか?
兎に角、全身に大小含め打撲痕やら傷もあるし足の切り傷は少し大きい。早めに処置しないと。
お湯に浸したタオルで汚れを落とし、消毒液で傷口を消毒し、それっぽい事をスマホと睨めっこで進めていく。
傷口に消毒液を掛けた時呻き声を上げてたので少し安心すると同時に痛くした事に内心謝罪する。
「え?てか、傷口ってどうやって治すの?バンドエイド?」
えー分っかんねー。
スマホで調べるも糸で縫うとか訳の分からん事しか書いてなかったしお手上げである。
絆創膏じゃあ駄目なのだろうか?
あっ、なんか異世界ならではのそれっぽい物を。
そう思い『Nショップ』を使い何か無いか探す。
そして直ぐにそれっぽい物を見つける。
『リヴポーション』
ガラスの小瓶に赤い液体が入っている画像が添付されており、見た目は完全に回復薬。
大・中・小のサイズと一等級から七等級までのグレードが選べるらしい。
非常にめんどくさいです。
何やら説明によると七等級は細かい傷の治療をお求めの方に。
一等級は手足が千切れた方に。(死者は生き返りません)
色々書かれているが面倒なので全部中間を選ぼう。
四等級の中サイズでリヴポーションを購入する。
値段は二十六万。バカ高ぇ。
保険適用外の治療費と考えれば妥当なのだろうか?
兎に角届いたダンボールから小瓶を取り出し蓋を開ける。
手で仰ぎ匂いを嗅ぐと甘酸っぱい匂いがした。
二十六万払って中身はイチゴシロップ等という冗談であれば間違いなく訴える。
それはさておき、商品説明には外傷には塗布、内傷には経口摂取。
はいはい塗布ね。
よく分からない刺繍の入った服をとっぱらいリヴポーションを染み込ませたガーゼで目に付く傷に片っ端から薬を塗って行く。
そして、驚きの異世界パワーにより塗った端から傷は倍速の映像の如く治癒していった。
瞬時に傷が治る光景は何とも奇妙で不思議ではあるが、考えても異世界だからという答えしか出て来ない。
右足の大きめの傷にはたっぷりと薬が染み込んだガーゼを使い、三十分程で全身から傷は消えた。
それと一つ。治療していて気が付いてしまった事がある。
この子本来の位置に耳が無い。
顔の左右側面に違和感を感じ、気が付いたのだがまさかのまさかである。
この世界の住民には耳がないのかと考えたがマージには普通に付いてた。
もしかして千切れてる?
慌てて全身を探し、見つかった。
グレーの髪の毛の中に埋もれる様に隠れていた猫っぽい動物の耳。
うん……取り敢えず耳は生えてるっぽいので問題なし。
耳に関してな見なかった事にして、兎に角モノトーンヘアーの某名医も驚きの医療技術により事なきを得た訳だが、少女は目を覚まさない。
はて?このイチゴシロップ回復薬で傷が治ったんだから目も覚ますと思ったんだが?
んー、外傷は治ったけどまさか内傷もあるとか?
ウチにはレントゲン無いんだけど。
悩んだ末によく分からないので半分程残ったイチゴシロップを数滴口の中に落とし様子を見る事にする。
俺に出来る最前は尽くしたので、後はこの子次第です。
医者がよく口にする言葉を脳内で呟きながら後片付けをする。
少女の来ていた服は汚かったので病気とか怖いし、処分する事に決め代わりに布団を掛けて隠しておいた。
服は後程用意しよう。
救急箱をしまったりタオルを捨てたりしているとニア達とアダムとイブが地下から帰ってくる。
『ねー?お昼だから帰ってきたけど、なんかエレノア達が命令だからって全然動かないよー?何かあった?』
「あー、そうだった。スケルトン達の事もあったな。実はだな……」
カクカクシカジカ。事の顛末を全員へと説明した。
『つまり、幼女を誘拐しようとしたナナシをマグ爺が止めようとしたにも関わらず無理矢理誘拐し、それを咎めたエレノアも黙らせ、一人幼女を堪能したと……これは何とも罪深い』
「うん、曲解が過ぎるよニアさんや」
それが本当であれば間違いなく社会的に抹殺され、長い牢屋生活が待ってるであろう。
『ふむ?しかし何故スケルトン達は少女に過剰反応したのですかな?』
「分からん」
オルガの問いに答えを出したのはアダムとイヴであった。
彼ら曰く、彼女から本能的に危険を感じるらしい。
ニア達は全然そんな事無いらしいのだが、アダムとイブは薄らとだがそう感じるらしい。
うーん、つまりはスケルトン達は明確に危険を感じて本能的に動いてしまったと。
何が原因なのかはよく分からないが、全員に少女へ危害を加えない様にと一応命令しておく。
さて、皆お腹空いてるだろうしスケルトン達の所に急ぐか。
◇
ナナシが少女の傷の処置をしていた際、エレノアとマグ爺は二人意気消沈といった様子で地下へと下っていた。
『はぁ……何故私はあの様な事を』
『私もじゃ……』
『彼女を見た瞬間、本能的にこの子を殺さなければ。そう思い身体が動いてしまいました』
『私も全く同じじゃ。ナナシさんに止められなければ間違いなく殺っておったわい』
『冷静に考えれば子供を殺そうとするなど人として……あぁ、そうか失念して居ました。我々はスケルトン。魔物でしたね』
『はははっ、そうじゃった』
『はぁ』
二人は何とも言えぬ気持ちで地下へと降りながら、他のスケルトン達にも集まる様に伝える。
暫くして全員が集まり、代表してエレノアが口を開く。
『先程、ナナシさんが少女を連れて帰って来ました』
『えっ兄貴が遂にやっちまったんすね……』
『ロリコンだったとはね』
エレノアの言葉を聞き驚愕する一同。
『そして、私は何故か危険を感じて少女を殺そうとしてしまったんです』
『えぇっ、姉さん嫉妬っす……いや冗談です。はい』
エレノアに睨まれ意見を改める一名。
『私もじゃ』
『えっ、マグ爺も!?』
二人して嫉妬に狂ってしまったのかと驚愕を隠せない一同に事の顛末を説明する二人。
『なるほど。森で兄貴が倒れてた少女を…』
『やはりロリコンか』
『危機感を…ふむ』
一名全く理解出来ていない様ではあるが話を進める。
『兎に角です。私達二人がそうだった様に貴方達もそうなる可能性があります。なので事前に伝えておきます。彼女を見ても絶対に危害を加えない様に』
『分かったっすけど、そんなやばいんすか?』
『うむ、主を守らねば。そう本能的に思い身体が動いてしまったのじゃ。意識の無い彼女に危険など無いというのに不思議な話じゃて』
『なるほどっす』
『魔物を惑わす程の幼女、一体どれ程の…魅力が』
『俺がそうなった時はみんな頼む』
消沈気味な二人と呑気な三人の元に敬愛する主が現れたのはそれから暫くしてからの事であった。
気が付けばいつの間にかブックマークは40件、総合評価は100を超えているという
至らぬ所だらけではありますが、読んでいただき評価していただき本当に感謝です
それと、よく投稿の日が空く事が有りますが原因はゲームに夢中になっているからです
今回もサンシャインオイルを量産していた為投稿が遅くなりました
すんまそんですた




