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ネズミとダンジョンマスター  作者: ヨコチ=チウム
第一章
30/39

#二十八匹目 解けちゅ


あの後、四十メートルの高さのロープを攀じ登るのに非常に難儀したのだが、四人のワトソン君の働きにより事なきを得た。


みんな力持ちだね。


そして現在は皆で食卓を囲み楽しく食事中。なのだが、何故か俺の皿の中身の緑色成分が他者に較べ圧倒的に多い。

九割緑だ。


何があった。緑化運動か。緑化する場所間違えてるぞ。


「エレノア?これは?」


『ナナシさんの好きなハンバーグです』


おかしい。俺の知っているハンバーグはこんな色をしていない。


いや?でももしかすると極度の色盲的なあれかもしれない。

それにエレノアが折角作ってくれたんだしな。


意を決し、口に運べば口いっぱいに広がる緑or緑。


あぁ…此処はアマゾン…馬だ!馬さんが見える!


俺の意識は草原を駆け巡り、木々を掻き分け、深緑に染まる。





『あ、エレノア。これ読める?』


『ダメですよニア、食事中に汚れた物を触ったら』


『あへ、ごめんなさい』


そう言って俺には向けない素直さで謝るニアから手記を受け取り、軽く捲るエレノア。


『うーん…?一応読めます…ね』


『本当!?』


『エレノアさん流石ですね』


『流石っす』


なんとエレノアは、あの難解な文字が読めるらしく皆が口々に賞賛する。


『なんて書いてあるの!?』


『く、詳しくは食事の後です!』


ニアが食い気味に質問するが、エレノアは褒められて少し照れているのか立ち上がり本を持って行ってしまう。


そして、俺は彼女が本を置いて手を洗って帰ってくるまでの間に皿から緑を消し去った。

完全犯罪である。


あと隣のスケルトン君のハンバーグを少し頂いた。

幸せなお肉の味がしました。





何時もの賑やかな食事を終え、ベットでのんびりしていると皆の話し声が聞こえてくる。




『えーと、それでは読みますね。所々劣化で読めない部分があるのでご了承ください』


『だいじょぶ』


『ジェニスと……カルと共に…の探索の任務。くそだりい。さっさと……て………………い。まぁ、特に危険も…だろうから楽っちゃ楽だ。…………報告の為にも記しとく。浅部何もなし。中部何もなし。……、特になんもなし。……も…………中断。何か…………書く。ジェニスの頭部……薄い。 ジェノスさんの頭部と思われる落書きが書かれてますね。続けます。 深部、……に……た。魔物………けど、ジェニスと……ル、が…………。俺なんもしてない笑。腹減った。………………。…………、の痕跡が…兎に角……る。最悪だ。閉まった。…………ら…。三日経つ。最悪だ最悪だ最悪だ。ジェニスと…………はいつまで経っても……ない。まさか?アイツらが俺を?いや、……えん。最悪だ最悪だ最悪だ……だ最悪だ最悪だ。』


『おわり?』


『いえ、一応続きも書いてあるんですが、ひたすらに罵詈雑言なので省かせてもらいました』


手記の持ち主よ、ハゲは弄ってやるな。


『ありがとエレノア』


エレノアに感謝を述べ、腕を組んでは思案するニア。

他の皆もそれぞれの意見を述べたりと忙しそうだ。

なんだかんだエレノアも参加して全員で推理ごっこ?をしている。


その様子を眺めていると意識は朦朧と、やがては消えた。







「はい、おはよう!」


『朝から非常に元気で良い事ですがせめてパンツを履いてください』


エレノアが苦言を呈してくるが、ここ最近シャワー上がりにタオルを腰に巻いた状態で朝食を摂る事が癖になりつつあるため受理し兼ねる。


「まぁ、それ言ったらスケルトン達は皆裸じゃん。エレノアは裸エプロンじゃんエロいよ流石に…まっ、まって俺のベーコン!?」


失言が過ぎたらしく俺のベーコンは死んだ。


皿に残るベーコンの油が、俺にベーコンの死という現実を嫌という程突きつける。


と、茶番は程々に真面目に思案を一摘み。


自分で言っといてなんだが、確かにエレノア達スケルトンは裸だ。

スケルトンはそういうものだと少し偏見が入っていたのかもしれない。


でもよく良く考えればスケルトン達は元人間である。

骨ではあれど人であれば服を着ているのが常識だ。


昨日見つけた白骨死体ですら服着てたしな。

まぁ当たり前だけども。


兎に角思い立ったが吉日である。


「いぇーい、ドンドンぱふぱふぅ」


『どうしたんですか急に…』


エレノアが引き気味に尋ねてくるが気にしない。俺のメンタルは屈しない。


「いやはや、日頃の感謝も込めてスケルトンの皆に服を用意しようかとね!」


まぁ裏事情的には、この間焼肉パーリーをした時に間引いた魔物達の収入分が思いの外大きかった事も関係しているのだが、その辺は彼等の知る所ではない。


『まず自分の服を着てください』


「はい」





食事やらなんやら一通り済ませ、あと服も着て落ち着いた所で漸く切り出す。


「イマサラタウンなんだけど皆にも服は必要だなって改めて思った次第です。はい、これ今年度のカタログね」


皆が口々に感謝を述べカタログと睨めっこを始め、その間暇なのでニア達にポップコーンを投げて遊ぶ。


餅投げを彷彿とさせる光景である。


ちなみに穴掘りの仕事に関しては、始業時刻は俺の気分次第なので問題無し。


好きなだけ悩んで良いと伝えていた為か、結構待ったが本人達が満足するならそれに越したことは無い。


それぞれが選んだ物を購入し、それぞれに渡す。


そして現在スケルトン達五人は俺の前に立っている。

ネズミ達は彼等の衣装が変わった事で大興奮だ。


誰に乗り込むかで議論が白熱している。


"乗り込む"のか。


「おー皆なかなか似合ってるぞ。店前に飾ってあるマネキンみたいだ」


俺の賞賛なのかどうかイマイチと判断しかねる賞賛に素直に喜ぶ五人。


互いに服装を見比べて褒めあったり、羨んだりしている。


因みに皆さんくびれが消失しているのでベルトは必須です。






そんな感じで朝から突発的な一仕事があったが手早く終わり、現在は昨日に引き続き地下の洞窟探索。


昨日あの後、多くのホームズと多くのワトソンにより謎の究明が為され、真実に一歩近付いたのだとか。


「で、あれはどういうことだってばよ?」


俺は離れた位置でネズミ達と共に何か作業をしているエレノアを見ながら隣のパーカー姿のスケルトンに問う。


『彼女は折角の服を汚したくないんだってさ。乙女ってやつだね』


「で、結局全裸なのか」


『そういう事だね』


果たして、服が汚れる事と全裸を天秤に掛ける彼女は乙女と呼べるのだろうか。

乙女かどうかは定かでは無いが、彼女がポンコツである事は間違いない。


馬と奈良公園に沢山生息しているあれを合体させた文字が口から"こんにちは"しかけたが何とか堪え、己の階段を作るという作業に没頭する。


NPは少し掛かるが他に手段が思い付かない為、スマホの『ダンジョン君』を使用し突貫工事を行う。


始めて使う筈なのだが使い方がシンプルな為自然と使い方が分かる。


初めから階段や床、円柱や球体などのテンプレートが存在している為、複雑な操作は必要無く素材やら置く位置を決めるだけですんなりと解決した。


しかも消費NPは非常に安い。


原理はよく分からないけど、空間を広げるよりも埋める方がコストは低いらしい。


一応、複雑な編集も出来るみたいだけどその辺はまたいつか。


因みに今回はテンプレートにあったので螺旋階段を採用しました。素材は石です。


これで帰りにスケルトン達に引っ張り上げて貰わなくて済む。



上手く行った晴れやかな気分の勢いでアダムとイヴを服の中に押し入れ、一発芸グラマラスボディを披露して全員の失笑を誘う。


ニア達の推理はまだ掛かりそうなので、一発芸の反省会と称しアダムとイヴと交友を深める。


「いやぁ…ウケなかったね」


『『うん』』


「何がダメだったんだろ」


『多分彼らは貧乳派』『もしくは太もも、お尻』


「成程。なら次はその辺しっかりと詰めてリトライだな」


『『だな』』


にしてもアダムとイヴも大分頑張ってくれている。仕事もそうだし、俺の野菜もしっかり食べてくれる。

夜はひんやり抱き枕として重宝してるし、目の保養にもなるしで素晴らしい。


二人にも何か贈り物を。そう考えたのは良いが二人は何を必要としているのか分からない。

服は着れないし、家はなんか違うし、日用品とかも、なんか違う気がするし。


まぁ分からない時は本人に聞けば早い。


「唐突だけど二人は何か欲しい物とか何かして欲しい事とかある?」


『『ん〜』』


ぽよんぽよんと飛び跳ねながら思案?する二人。

上下に合わせて首を振りながら待つこと暫し、結論は出たらしい。






そして、暫し経ち感情の内は読めないが心做しか嬉しそうに跳ねるアダムとイヴを肩に密室事件の謎を追う皆の元へと戻る。


何やら謎が遂に解明されたらしい。


『ナナシ殿謎が解けました!』


現場に着けば意気揚々と宣言するオルガ。


そして、無残にも穴だらけとなった壁面。


掘り起こされた瓦礫の山に埋もれる白骨死体。


一つの穴の前で喜びの声をあげる面々。


これらの現場証拠から俺の中で一つの結論が導き出された。



「ゴリ押しじゃん」


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