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ネズミとダンジョンマスター  作者: ヨコチ=チウム
第一章
26/39

#二十四匹目 『マージ帰還計画』


翌日、申し訳ないがニア達には面倒なのでマージにバレない様に隠れて行動する様に伝えようと思いログハウスへと向かう。


そう、昨日あの後ログハウスに戻ったは良いがマージが身体を広げて寝ていた為寝る場所が無かったのだ。

結果、エレノアの天蓋付きベッドで一緒に寝る事になった。

寝相でエレノアを骨粉に変えてしまうのではと危惧したが、寝相は良い方だったので一安心。

彼女は抱き癖でもあるのか寝ている際、寝惚けて俺に抱き着いてきた。恐らくその事を言えば俺の食事が緑色に染まる事は明白。

いつもはこっそりアダムとイヴに処理させているのだが、マージがいる今それは不可能。ここは黙っておくのが最善と見た。

マージが帰ったら散々からかうことに決め地上を目指す。


収納から出てみればマージはまだ寝ており、キッチンではエレノアが朝食を作ってくれている。


『おはようございます』


「あぁ、おはよう」


挨拶を済ませ、朝風呂にさっさと向かい風呂から出てみればマージがふらふらとした足取りで起き上がっていた。


「おう、おはようマージ。良く眠れたか?」


「あー…ナナシさん、昨日は申し訳ないベッドを占領してしまった様で」


マージが申し訳ないと頭の後ろを掻きながら謝ってくる。


「気にしなくて良い。俺は毎日のんびりしてるがマージはいっつも頑張ってるんだバチは当たらないさ」


「ナナシさん…貴方って人はっ……!」


マージが感涙と言った風に掌で顔を隠す。

そんな仰々しい仕草に苦笑しながら朝食までまだ時間もありそうなので彼にも朝風呂を進める。


「是非に!!」


昨日湯船にお湯を貼った状態の風呂に入らせてからお風呂大好きっ子になったのか強烈な反応を示す。

鼻歌混じりに風呂へ向かうと、彼は人生三回目の風呂へと赴いた。


彼は現在俺の替えの服を着ているが、当初着ていた服も昨日洗濯して乾いている。それを着替えとして風呂の外に用意してあげ俺はテーブルへと掛けのんびりと待つ。


風呂を出てさっぱりとしたマージを交え三人で朝食を摂りながら雑談に興じる。


「いや〜やはり昨日貸して頂いた白シャツという服の方が着心地が良いですね。あの服を着てからこの服は着心地が悪くて仕方ない」


「うーんまぁ、服ってより布って感じだもんな。パリコレで出てきそう」


「パリコレ?食感が良さそうな響きですね?」


「うん。俺もそう思う」


くだらない会話をしながら食事をしているとエレノアの言葉が響く。


『ナナシさん。昨日の件』


「あっ…」


一夜寝てすっかり忘れていた。

エレノアに言われ昨日話していた"マージはいつ帰るのか?"と言う議題を思い出す。


「む?どうなされた?」


「いや、マージはオーフェリアに住んでるんだろ?」


「ええ」


「帰んなくても大丈夫なのかなって思って」


それを聞いたマージは何やら思案顔になる。

そして真面目な表情で口を開く。


「帰りたいのですが帰りたくないのです。そして帰れないのです」


え?なに?急に謎掛け?

帰れないというのは森が危険だからだろう。

エレノアもマージの言葉にコテンッと首を傾げている。

取り敢えず空いている方の手でエレノアの首を戻し問う。


「と言うと?」


「僕には愛する妻がオーフェリアにて待ってます」


何故だろう、付き合いたてのキャッキャウフフなリア充を見たり聞いたりした時は殺意が迸るのに、結婚したリア充には賞賛こそすれど殺意は芽生えない。不思議だ。


「数ヵ月後には子供も産まれ家のローン等もありはっきり言って家計が厳しくなるのは明らかでした。その為今回の大仕事を成功させれば万事解決、だったんですがね……世の中難しい物です。僕が愚かだったんですよ無計画に目先の事に囚われて行動して…」


そう言ってマージは薄く笑う。


つまりは家族の為を思って家の資産の大半を持って勝負に出たものの盗賊共に襲われて全ては水の泡。

全てを失った今、嫁に合わせる顔がない。そういう事だろう。


まぁ、何とも世知辛い。現代の若者事を思い出す。

何から何まで税金が掛かり、独り立ちしようにも難しい。

結婚なんて夢のまた夢。出来てもよっぽど夫の稼ぎが良くない限りは共働きでもしなければ養育費や学費、様々な物事に金がかかる。


俺は後ろに椅子が倒れる事も気にせず勢い良く立ち上がる。

そして、マージの両肩に手を置き言う。


「マージっ!!お前は立派だっ」


「えっ…?」


「社会ってのは本当にクソッタレでどうしようも無い程に厳しい。なのにお前は自分の店を持つだけで無く家を買って結婚、そして子供まで。十分立派だ。十分尊敬に値する」


「えっえっ」


「俺なんてその内の何一つ成し遂げる事が出来なかった」


そう言って自嘲気味に笑い続ける。


「本当は出来たかもしれない。出来なかったのは世の中せい、周りの環境のせい。口では幾らでも何とでも言える。実際成し遂げようと思えば"覚悟"が"努力"がいる。だからこそ君を尊敬する」


「僕はっ…!ぼくはっ……」


耐えきれなくなったのか涙腺が崩壊を始めたので、近くにあったタオルを手渡してやる。


あ、そう言えばあれ俺が朝風呂の後に使った…


まぁ良いか。と思考を切り替え言う。


「とにかくマージは頑張ったんだ。その歳でそこまでやれたら十分じゃないか。それに一度くらいの失敗誰にでもある。大小関わらずな」


「はいっ」


「だから俺に任せろ」


マージは日頃頑張っていたであろう事は顔を見ればすぐに分かった。あれは毎日毎日汗水流して働いた奴の顔だ。

成し遂げた結果は俺とは雲泥の差だが、同じ顔をしている。

同情かもしれないが彼には報われて欲しいと思う。せめてそのチャンスがあっても良いと思う。


俺はそのまま収納の方へと足を運び、収納に隠れてスマホを操作する。そして、いかにも収納から取り出しましたと言った感じに一つのダンボールを取り出す。


「ナナシさん、それは?」


「チャンスだ」


「チャンス…?」


俺は昨日マージと共に過ごして知っている。

昨日マージが夕食を食べた際に言っていたのだ「こんなにも調味料を贅沢に使った料理を食べているのは王侯貴族ぐらい」と。

それを聞いて思い出したのだ。昔子守唄代わりに聞いていた歴史の授業の内容を。


「とにかくマージ。オーフェリアにこれを持って帰るんだ」


「でも外には魔物が…」


「うむ。その為にもまずは練習だな。食い終わったら早速始めるぞ」


そして、朝食後『マージ帰還計画』が始動した。








「じゃあ手を離すぞ?」


「え?いやもうちょっと持っててください!」


何をやっているのかと思うかもしれないが答えは簡単。

自転車に乗る練習である。


「ごめんもう離したわ」


「えぇっ!?急にっそんな!?あっ…あっあっあっ!?」


「うーん、もう少しだったな」


地面に横倒しになり空回りする車輪と地面に転がるマージをみてそう呟く。


「なかなか難しいですね」


「まぁこれに関しては慣れだな」


「頑張ります!」


そう言って決意新たにやる気を漲らせるマージ。

もう一度後ろを持ってやり練習を再開する。



というのも『マージ帰還計画』は実に簡単であり、マージに自転車を漕いで帰ってもらうというもの。

先程ログハウスの裏側でこっそりとシティサイクル。俗に言うママチャリを購入したのだ。


俺が一緒に護衛しながら森の外に行けるなら万事解決なのだがペナルティがある。その為どうしても一人で帰ってもらうしかないのだ。自動車があれば楽チンと思うかもだが、木々の生い茂る森の中を走るには不向き。それにこの世界には流石にオーバーテクノロジー過ぎるというのもある。あとNP。バイクも後ろに同じくといった感じだ。


てことで最も低コストかつ文明レベルが低い自転車になりました。まぁ、それでもオーバーテクノロジーな気がしない事も無いが仕方ない。これしか思いつかなかった。


まず計画を進めるにはマージに頑張って自転車に乗れる様になってもらう他無い。

今の所結構筋も良く順調なので、今日の日暮れまでには乗れる様になるのではないだろうか。


軽く昼食を取り午後も練習に励む。


「持ってますか?」


「あぁ、まだ掴んでる」


「もう少し持っててください。そろそろ何か掴めそうです!」


マージよ俺は今何も持っていない。

途中その事に気が付いて驚きの余り転んでいたが、何か掴めそうというのは嘘ではなかった様でそれを境に上達を続けた。

日が沈み、空が菫色に染まる頃には結界内のログハウスを中心にぐるぐると駆け回っていた。


「見てくださいナナシさん!方手放し!へぶっ……!!」


あっ、コケた。

調子に乗ってコケてはいるがこの調子であれば明日にでも出立出来るであろう。


その日の夜、明日はマージが帰ることもありエレノアに頼んで夕食を少し豪華にしてもらい盛り上がった

更新遅れてすみません!

物凄く忙しかったですゲームが

fallout76とかいう糞ゲーとかrustとか色々と最近だとapexやら、兎に角忙しかったですごめんなさい

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