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ネズミとダンジョンマスター  作者: ヨコチ=チウム
第一章
25/39

#二十三匹目 トランクちゅ


「まずは初めまして俺の名前はナナシという」


そう言って手を差し出せば、マージが握り返してくれる。

差し込む朝日を浴びながらトランクス一丁で握手をする絵面は何とも言い難いものがあり、その様子を屋根裏で見ていたニアは言った。『アホくさ』と。

そうして握手をした状態で彼も自己紹介を始めた。


「改めまして、私オーフェリアにて商人をしているマージと申します。この度は助けてもらっただけでなく何から何まで感謝が耐えません」


恩義からか、やけに低い姿勢で答えるマージ。

マージは白人であり、髪は茶髪で瞳の色は青。

その辺はどうでも良いのだが気になる点が何点かある。


「そんなに気にしなくて良いよ。それよりオーフェリアって?ここはもしかしてアメリカのどっかの州なの?」


「えぇ!?オーフェリアをご存知無いので!?」


「すまんな専攻は日本史だったし、そもそも地理は苦手なんだ」


「専攻?日本史?」


うむ。見事に話が噛み合っていない。全く話が進まないな。

なので俺は提案する。どちらか一方が質問をして、相手はそれに応える。それに納得がいけば交代し質問を出す。

そうしないと質問に質問を返す無限ループが始まってしまう。


その事を伝えると、先に質問をどうぞと言われたので早速質問する。


「ここは日本か?」


「すみません。私も商人として各国を巡った身ですが、日本と言う名前には聞き覚えがありません。それと今居るここはオーフェリア王国近郊にある『咎の森』です」


「ふむ。なるほど納得した」


近くに置いてあったノートを手に取り、さらさらと今しがた聞いた重要な情報を書き込んでいく。


それを見たマージが何やら、「あれはっ…かか紙!?それもかなりの高品質…」とブツブツ何事かを呟いているが気にしない。

だってこれ百均とかでも売ってる自由帳だもん。あまり恥ずかしいから指摘しないで頂きたい。


納得したので質問を変わりマージの番。


「あ、あなたは賢者様ですか?」


「いや、違う」


即答してしまったが違うのだから仕方ない。


「では先程の使い魔は?水の出る魔道具は?」


まだ納得がいかないのか、質問を重ねてくる。

使い魔というのはエレノアの事で魔道具とやらはシャワーの事だろう。


「さっきのスケルトンはエレノアと言って、俺が呼び出した配下だ。水の魔道具とやらはシャワーと言って魔道具と言うよりは水を拡散させる為の器具だな」


「なるほど賢者ではなく高名な魔術師様でしたか」


「まぁ、そんな感じだ」


もうめんどくさくなったのでそういう事にしておく。

まだ、「外の強力な結界も……」ブツブツと言っているが納得したと判断して質問する。


「で、マージはどうして『咎の森』とか言う物騒な森の中のこんな場所にぶっ倒れてたんだ?」


「それはっ…」


マージは少し口篭ったがやがてポツポツと己に起きた出来事を語り始めた。

椅子に座るマージの後ろでニア達が屋根裏から懸垂降下してパンを収納から取り出し屋根裏に帰還したり、別の収納にまだ隠れていたスケルトン二人が窓から差し込む朝日を浴びながらラジオ体操をしたりと背後で行われる奇行が気になり話を聞く所では無かった。しかし、俺の優秀な耳はしっかりと要所要所は聞いていたので何となく状況は理解した。


銀を大量に輸出している最中世紀末な人達に襲われて森に逃げ込んだのは良いけどそこは犬や豚の巣窟で精神と体力をすり減らしながらここに辿り着いたのだとか。

因みにこの場所が分かったのは昼間の移動中に連続する爆発音。

つまり俺の戦闘音を聞いてその方角に行けば誰かが居ると判断しての事だったらしい。


結構長々と語ってくれたので皿の上は既に綺麗に片付いており、今は食後の珈琲に舌鼓を打っている。


「なるほど。まぁ何というか災難だったな」


当事者では無い俺からすれば他人事でもある為か、そんな言葉しか掛けることが出来なかったがマージからすれば嬉しかった様で、感謝を述べられた。

他にも聞きたいことがあると思いマージへと促し質問を待つ。


「こんな場所でナナシさんは一体何をされているのですか?」


うむ、実に痛い所を突いてきた。

ネズミ達と一緒に国造りしてまーす!てへぺろりーん!

なんて言えば間違いなく頭のイカれた奴と認定されるだろう。


「人と関わる事に疲れましてね……俗に言う隠居…かな」


わざとらしく顔に影を落とし、視線は斜め左下俯きがちに疲れた声色でそう呟く。完璧に決まった。


ちらり、と一瞬でマージの様子を伺えば「なんと…」と呟き何やら思案顔をしている。

本当の事を教える訳にもいかないしかと言って他の理由も特に思いつかないので勝手に色々と深読みしてくれ。


「なるほど。このマージ、助けて頂いたこの命に変えましても貴方様の事は秘密に致します!」


何やら良く分からないが盛大に深く読んでくれた様で、仰々しい口調でマージはそう口にする。ここは流れに乗っておこう。


「ありがとう。助かるよ」


そう言って微笑んで見せる。

さて次は俺の番か、そう思いまだ幾つもある質問の一つをしようとした所で脳内に言葉が響く。


『ナナシどの我々はそろそろ地下に向かいたいのですが、どうしましょう?』


オルガからの問いだ。どうしましょう?とはマージに見られても良いかという事だろう。

二足歩行で歩くネズミの集団なんて見ればマージの質問攻めが飛んでくるのは明らか。ここは面倒なので隠し通す方向で行きますか。

口に合ったのか腹が空き過ぎていて何でも良かったのかとにかく綺麗に平らげられた皿を見て席を立つ。


「マージ、今日は良い天気だし続きは陽の光を浴びながらでも良いか?」


「ええ、是非とも御一緒させて頂きます」


「別に砕けた口調で構わないぞ」


「え、そ、そう言うのなら」


気にするな気にするなと、肩をポンポン叩きながら二人分の椅子を抱えて玄関に向かう。二人ともトランクス一枚で。


『行ってくるねー』


外に出ればニアからの言葉が聞こえ、心の中で行ってらっしゃいを呟き椅子にどっかり腰を下ろす。


あ、忘れてた。


マージに断りを入れ部屋に戻り壁に掛けてある銃を取り戻る。

地下に向かうニアに出くわし『早いね?』と言われてしまう。

何とも締まらないものである。


再び外に出て椅子に座り、一息つく。

マージに今の音は?とスマホのアラーム音について言及されたが「気にするな」と濁しておく。



そんな訳で今日は俺の仕事は一日マージの話し相手となった。

といっても俺にとって有意義な情報を沢山知る事が出来たので実に上々。

因みにペナルティに関しては飲み物を取ってきたりお菓子を取ってきたりという事を言い訳に何度も部屋に戻っているので問題ない。



その日の夜、エレノアの事は既にバレているので夕食を共に囲み三人での食事を楽しんだ。

マージがエレノアの料理を美味い美味い絶賛し、俺もノリで絶賛してやれば俺の残していたピーマンを『仕方ないですねっ』といって食べてくれた。ナイスだマージ。そしてチョロいなエレノア。


夕食には俺が『Nショップ』で購入した酒、といっても度数の余り高く無いものを出した事もあり今現在俺のベッドでマージは両手を広げ気持ち良さそうに寝ている。


今日一日話してみてマージは普通に良い奴だと分かったが、一応警戒するに越した事は無いと思い現在は地下のスケルトン達の寝床にて全員を集めて会議中である。


まずは今日マージから得た情報を皆へと共有する。

ここは大陸の中心よりやや北西にあるオーフェリア王国の近郊に位置する『咎の森』という場所である事。

大陸の名前は不明。


オーフェリア王国という名前を聞いた幾人かのスケルトンからは『あ〜何となく生前の記憶に〜』なんて事を言っていた。

つまりマージの言っていた事は正しいと見て良さそうだ。


次にマージがここに辿り着いた経緯を話せばニア達から同情の声が上がる。スケルトン達からも『同族同士で…なんと醜い種族か』なんて声が上がっているが、お前ら元人間だった事忘れてないか?


まぁ、他にも有益な情報は得られた。

ほぼ確信していたがこの世界は地球とは違う世界で間違いない様で、世界全体の文明レベルもお粗末と言っても過言では無い様だ。話を聞いた感じ二段階くらい劣っているのでは?と思う。

まぁ判断するのはこの目で見てからと言いたいが、ペナルティの関係で無理そうだ。

とにかくこれで彼がシャワーやら銃やらを見てチンプンカンプン状態だった謎が解けたと言える。


それと、俺の事。ダンジョンマスターに関しても幾つか情報を得る事が出来た。それとなくダンジョンについて聞いてみれば、ダンジョンは魔王が作っており、魔王は恐ろしいほど強く「魔王に出会ったら小便垂らして命乞い」する自信があるとマージは笑いながら言っていた。

マージにお漏らしなんてされたら困るので俺の事は秘密にするとして、この世界には有名な御伽噺があるらしい。


曰く、この世界は女神コーデリアによって創造され当時の世界は楽園だったとか。しかし、女神の事を幸せな世界を全てを憎んだ邪神コレクトによって女神はこの大陸に封印された。以来世界にはモンスターや魔物。人によって言い方は異なるが人間に害をなす生物が蔓延る様になったのだとか。


それとダンジョン何が関係あるのかと聞けば、ダンジョンは大陸の各地に点在し女神を封印する為の楔らしい。

それで、女神教とかいう宗教の方々は"女神解放"を大義名分に頻繁にダンジョンへと聖戦と息巻いて攻め込んでいるのだとか。


そう語ったマージ本人は「まぁ僕は神なんて信じないんですけど」と言って笑うので、「俺もだ」と言って共に笑い合ったが、内心は冷や汗ダラダラである。


俺のイメージでは「わーいダンジョンだ〜!お宝うっほいほーい!」的な夢とスリルを追い求めた若者が度胸試し的な感じで挑む位の感覚だと思っていた。しかし、まさか人類が結託して魔王は悪!倒すべし!的な感じで結託して攻めてくるとはな。


それを聞いたエレノアが一部の熱心な宗教国家だけですよ。と情報の是正をしてくれる。

とにかく、女神教とやらに関わる人達に関しては要警戒という事で話を纏め現時点では最も重要な話に移る。


「あいつ、いつ帰るの?」


読んで下さり感謝

いつの間にかブクマも結構増えてて嬉しさの極みです

何かご指摘とかありましたら是非是非

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