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ネズミとダンジョンマスター  作者: ヨコチ=チウム
第一章
18/39

#十七匹目 罰則


翌日いつもの如く一番最後に目が覚めた。

あれ……?昨日は結局地上から戻ってすぐに寝てしまったのか。

微睡む意識の中、ランタンの暖かな光に照らされた光景をぼんやりと眺める。

掘削で出たであろう手頃な石の上に二足で立ち、両手を広げて何かを言っているニア。


恐らく朝食の選定と朝の挨拶でもしているのだろう。

幾人かのスケルトンとアダムとイヴもその集団に加わりカタカタプルプルしている。


よく分からないが楽しそうだ。


布団から半身を起こし今にも落ちそうな瞼を必死に支えその光景をぼんやりと眺める。ほのぼのとした光景が磨り減った心に染み渡り口元が自然と緩む。


あぁ、そう言えばこの変な世界に来て数日一度も風呂に入って無いな。

一応毎日水を含ませたタオルで身体は拭いてはいるが、そろそろ気になり始めてきた。

別に潔癖症という訳では無いが、流石に風呂に入らないと寝心地が悪い。ニア達みたいにスライム洗浄機にお世話になる訳にもいかないしな。


岩肌に囲まれる穴暮らしも新鮮味があって楽しいが、流石にそろそろ居住環境を整えないとか。


思考がそう結論を出すと脳の動きが止まり、それと同時に眠気が俺を襲う。

眠気にそのまま身を任せ、布団から半身を起こした状態で器用にも惰眠を貪る。


『……じ、ある……!主!』


「んご」


『主、もう朝です。そろそろお目覚めになってください』


「んぇ、ねむ」


『主!主!』


「んー……ねっむ…エレノアが主呼びするから起きない」


エレノアが未だに主と呼ぶ為、その事を盾にして布団に潜る。

主と呼ぶのを辞め無ければ俺は惰眠を貪れ、辞めればそれはそれで良いというどっちに転がっても俺に利のある我ながら完璧な作戦。


エレノアからは『ぐぬぬぬ……』といった苦悶の思念が伝わって来る。ふははは悩め悩め!その分俺は惰眠を貪れるのだからな。


殆ど眠っている脳内で勝ち誇っているとエレノアからの思念が頭の中に聞こえてくる。


『早く起きてお兄ちゃんっ!もう朝だよっ!?』


いつもの落ち着きのある綺麗な声ではなくフェアリーボイスというのか萌え声というのか一部の豚が発狂しそうな声と台詞が俺の脳内を激しく蹂躙する。


脳の再起動から立ち直り急いで起きれば眼前ではエレノアがひたすらに布団へと頭蓋骨を打ち付ける光景が広がっていた。


「……まじでごめん」


朝から刺し違えて双方致命的なダメージを負うというトラブルはあったもののエレノアが俺の事をナナシさんと呼んでくれる様になったので一応の収穫はあった。

ただ、心做しか目を合わせてくれていない気もする。まぁスケルトンなので目はないので気のせいだと思いたい。






アダムとイヴを除く全員が掘削に向かうのを見送ると早速俺も自分のすべき事を始める。

まずは地上に関する事だ。

昨日はオークを一体仕留め精神的に疲れた為すぐに穴に戻り眠ってしまった為色々と確認の作業が残っている。

銃の手入れと残弾の確認を済ませ忘れない様にノートに書き込んでおく。

ついでにエレノアが俺の事をさん付けで呼んでくれる様になった事も書いておく。


他にも地上のに出た際に見た夕焼けの空の色が橙色ではなく菫色だった事など細かい事も記入してノートを閉じる。


「ふぅ」


一息着くと次は銃を持って地上へ向かう。結界の燈を使い安全を確保している為、今日は一人で外に行くつもりだ。エレノアを呼ぼうかと思ったが朝の一件もあり一人で行くことにする。


ん〜視界に映るはクソミドリ。

前後左右どの方向を向いても緑色である。

ちなみに見上げれば木々の隙間から青空が覗いている。

良かった。昼間の空は地球と同じく青らしい。何処ぞのヌメック星みたいに緑じゃなくて良かった。


外の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い吐く事数回。満足した俺は結界から出ない様に地上を見て回る。

前回と同じくスマホに警告が表示されているが、まずは周囲の確認といく。

もしも、周りにモンスターがいたらやばいからね。

結界内部を散策していると結界内部に生える植物の中に果実を実らせている物があったので背の届く高さの実をもぎ取る。

果実の見た目は水色の茄子だ。そして所々に緑色の水玉模様がある。正直初めて見る果実である。

俺の記憶が正しければ茄子は野菜で木には実らない。

そして、色は水色でもなければ緑の斑点も存在しない。


触った感じはむにむにしており、鼻を近づけ匂いを嗅いでみれば甘酸っぱい香りがする。


うーむ不思議だ。


周りの木々を見てみれば他に実を実らせている木は見当たらないものの見た事も無い木々ばかりだ。

俺は木に限らず自然に詳しい事も無いただの一般人の為、ただ単に知らないだけかとも思うが、此処は明らかに地球とは違う自然環境だと思われる。


周りは今の所安全である事が分かったので茄子の様な何かを片手に穴のそばまで戻るとスマホを確認する。


*警告*

『ダンジョンマスターがダンジョンより出た事を確認しました。ペナルティ発動まで残り 2:39:36』


やはり前回同様の表示がされており、今もカウントが減り続けている最中だ。

流石に気になるからといって自らペナルティを受けてみる等という馬鹿な真似はしない。

勿論俺は『search』を使ってちょちょいと調べる。


『最近の若い奴は何でもかんでもすぐにスマホを使って……』


職場の老害達の台詞が頭に浮かぶ。はっはっは便利な物を使って何が悪い。ならば君らは六法全書とにらめっこをしていたまえ。


っと、思考が逸れた。


ダンジョンマスター 外 ペナルティ っと…こんなものか。


適当に思い当たる単語を入力し検索を掛ける。

すると検索結果の一番上に『ダンジョンマスターの禁忌及び罰則一覧』が表示され適当だと思い選択する。


えーとなになに?


色々と書いてあったが関係の無さそうな物は読み飛ばしダンジョン外に関する記述を探す。


"ダンジョンマスターがダンジョン外にて規定の時間を越え活動した場合罰則とする。罰則は【身体の機能の停止(一部位)】"


えぇ……まじですか。罰則重すぎでしょ。

なんだよ機能の停止って。一部位って指定が無いってことはランダムでってことでしょ?運悪く心臓の機能停止したら……はっはワロタ。重すぎるわ。


あー良かった。物は試しとか言ってペナルティとか受けなくて。


もしも、を想像して安堵しながら考える。


あれ?てことは俺って三時間以上外に出れない訳で、実質地中に缶詰なのでは?


一瞬その事実に気が付き手に持つ茄子モドキの様に青くなったが、そもそも出る気が無かった事を思い出し一安心する。


となると、問題はニア達と判定か。

ニア達というのはダンジョンマスターが外に出過ぎると罰則を受けると分かった今、ダンジョンマスターである俺の配下のニア達は外に出る罰則はあるのかという事だ。


そう思い早速調べる。そして結論はノー。配下に関しては特に罰則とかは無いらしい。良かった良かった。ずっと地下に缶詰というのも申し訳ないからな。


んで次は判定なのだが、何の判定かと言うとダンジョンの判定。

何を基準に何処から何処までをダンジョンと判定しているのかという事だ。

俺が意識的にダンジョンと思っている範囲がダンジョンになるとかだったら、小学生じみているとは思うがこの星が俺のダンジョン!なんて思ってしまえばそもそもダンジョン外に出る事で発生するペナルティなんて無いわけで、んでまぁとっとと調べたら早い訳で。


はいはい、ダンジョンマスターの周囲九割が物理的に囲われていればダンジョンとして見なされると。なるほどなるほど。

それで結界で囲われたこの空間は外判定な訳ね。


なら先程から考えていたあれも問題無さそうだな。


祝!クソッタレな社会からドロップアウト!

どうでも良い話ですが会社を辞めました。

ニートにジョブチェンしたんで更新頻度も上がるかも?やったぜ。


再就職?(笑)あぁ、あれね。美味しいよね。自分はピリ辛が好きかな。

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