表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネズミとダンジョンマスター  作者: ヨコチ=チウム
第一章
13/39

#十二匹目 開ちゅー


あれから特に目立った変化も無く三日が経過し、今日も朝から俺達は掘削に勤しんでいた。


「カタ?カタカタ」 (ん?なんこれ)


「カタカタ!カタタタ!」(でかした!すぐに知らせねば!)


俺が既に掘り進められた岩肌の出っ張り部分が気になり、ツルハシで平らにする作業をひたすらに繰り返していると地上に向けて掘削しているスケルトン達の興奮した声が耳に入る。


三日間の間、掘削作業を共にした俺にはスケルトン達の言っている事が手に取る様に分かる。


『あれ?今日朝ご飯何食べたっけ』


『馬鹿お前!w 俺達食事は必要無いっての!ww』


と言った感じのスケルトンという種族の特性を用いたボケツッコミを楽しんでいるに違いない。

我社は仕事中に私語をしたところで注意する事は無いので大いに楽しんでくれたまえ。


「カタ」


『主よ』


「あれ?エレノアどうかしたの?」


スケルトン達の会話を耳にしてほっこりしていると、いつの間にか隣にエレノアが姿勢正しく立っていた。

てか最近エレノアが俺の事を主と呼ぶのだ。

せめて、さん付けにしてくれと頼んでいるのに頑なに聞き入れてくれない。むず痒いから早急に何とかせねば。


『たった今、先頭を掘削する者が遂に到達したそうです』


「おお!本当か!?」


知らせを聞き、作業の手を止めると早速エレノアと共にその場所へと向かう。


そこには既に他のスケルトン四体も集まっており、一箇所に集まってカタカタ言っている。


『みんな』


エレノアがそれだけを伝えると全員こちらに気が付いた様でカタカタと場所を開け始める。

そして傾斜の足場を進み問題の壁を確認した。


「こ、こいつぁ!」


と、無駄に大袈裟な反応を取った訳だが実際凄い。

安山岩の壁の一部が抉れ、そこから土が漏れ出て来ている。地層がこの辺を境に変化しており、安山岩の破片と土を含んだ層が見えている。


土が出て来た。つまりは地上が近いという事。


「皆良くやった!恐らく地上は近いぞ!」


「「「カタカタ!」」」


スケルトン達も成果をが出た事が嬉しい様だ。ツルハシを振り上げて喜びを表している。てか普通に危ない。


「みんなにこれを!」


俺は早速スマホを使ってスコップを全員分購入するとエレノアに渡し皆に行き渡らせる。


そこからノンストップでの掘削が始まった。

土とは言えど、圧によって押し固められた土はそれなりの硬さがある。しかし、安山岩の岩壁に比べると大したことは無く凄い速度で掘削が進んで行く。


服が泥まみれになるが気にせず掘り続ける。

途中、木の根や大岩にぶつかり多少の苦戦はしたものの夕方に差し掛かった頃遂にその時が来た。


明らかに今までとは違うスコップの刺しごたえ。

スコップを抜くと共に入り込んでくる光。

時刻が夕暮れであった為、そこまでの光量で無いにしろ久しく地中に篭っていた俺の目を一時的に潰すには十分であった。


「目があぁぁぁあ!」


スコップを手放し目を抑えて蹲っているとエレノアが近くまで来て介抱してくれる。

明順応って怖い。


目を慣らすのに数分掛かったが、無事に光に慣れ光の差し込む穴を見る。


「遂に開通だあぁぁぁ!」


俺のその言葉と共にエレノア達からも歓声が上がった。そして、そこのスケルトンスコップを振り回さない。

スケルトン達やエレノアが互いの肩を叩きあって喜んでいるのを見ていると自然と俺も嬉しくなってくる。


気が付けば騒ぎを聞き付けたニアやオルガ達も来ており一緒に喜び騒いでいた。アダムとイヴも来ておりぽよぽよしている。多分喜んでいるのだと思われる。


「よーし、なら早速シャバの空気を吸ってくるわ」


一通り騒いだら、そう宣言して前に出る。

日が暮れる前に少しだけ外を見てこようと思う。


『もう、悪さするんじゃないよ…』


ニアにそう言われ、笑いそうになる。

俺は地下労働から釈放される犯罪者かよ。


穴は人一人が通れそうな位の大きさに広げられており、土壁に足引っ掛けると勢いそのままに穴の外に手を着けよじ登る。


「よっこら…!」


上半身が穴から這い出した所で腰周りがつっかえたので一先ず周りを見渡す。


おぉ…!本当に森だ!案外、住宅地に出て来て実は今まで見ていたのは仕事のストレスから来る幻覚。ってのが映画だと定番なのだが、違うという事はそういう事だ。これは現実。やったぜ。


もしかしたら?とここまで未だ疑念を抱いて来たがこの景色を見て払拭される。もう俺は糞企業で働かなくて良い。


菫色に染まる空。青々と茂る名前も知らない木々。

穴から見える見事な対色の景色み見惚れていると、目の前の小石が跳ね地響きが身体を伝う。

景色に割いていた意識をすぐに引き戻し、周りを見渡す。

地震という程の大きさでもなく、質量の大きな物が引き起こす様な。


細い木々を薙ぎ倒しながらこっちに向かっている物体が目に入る。


そうそう、こんな感じの…


目に入るのは、二足歩行で体調は目測三メートル。色は黄緑色。硬質そうな皮膚。尖った耳に上に突き出す程異常に成長した牙。特徴的な鼻。手には粗雑な棍棒の様な物。


「おいおいおいっ!!」


やばいっ!?完全にあの化け物こっちを見ている!?

こっちに爆速で駆けてくる化け物を見つけ急いで穴に潜ろうとしたが腰周りが引っ掛かり上手くいかない。

化け物が迫り来る事に焦りつつ大声で叫ぶ。


「エレノアッ!!俺を今すぐ引っ張れっ!!」


ナナシの緊迫した声を聞いたエレノアは返事を返すよりも早く行動に移る。

穴の中に取り残されている骨盤の当たりを抱えると力の限り下に引く。

弱いモンスターとは言えどモンスターという事に違いは無く、物凄い力で下に引かれ腰周りの土ごと崩し下に落ちる。


地面が土だったとは言え、衝撃は中々大きく脚腰に鈍い痛みが走るが、歯を噛み締め痛みを無視して叫ぶ。


「今すぐ退避しろッ!!下に行けッ!!早くッ!!」


体を無理に起こすと突然の事に硬直して動けないでいるネズミ達の幼体数匹を抱え下に走る。

事態の緊急性に気が付いたニアやオルガ、エレノアもすぐさま行動する。成体のネズミは残る幼体のネズミ達を尻尾で器用に拘束し下に駆け。エレノア達もアダムとイヴを抱え下へと向かう。


最後尾のスケルトンが穴のすぐ側を離れてすぐの事だった。

轟音と共に地上に繋がる穴が崩落する。

振り返れば崩れた土と共に黄緑の肌が見え背筋に冷たいものが走る。

粉塵が晴れ、それは足だと分かった。つまりあの化け物は俺を殺る為の踏み付けで地面ごとぶち抜いて来たのだ。


見た目通り化け物並みの膂力を持っているらしい。


ある程度距離を離し、改めて後ろを見れば先程の化け物が踏み抜いた土を手で掻き出し俺の死体を探している。すぐに無い事に気が付き下に続く穴に気付いた。


化け物の巨体では穴に入る事が出来ず、怒りの咆哮をあげる。しかも諦めも悪い様で穴に手を突っ込んで来た。

が、俺達は化け物の手の長さよりも更に下に逃げているので問題ない。

暫く、何が起きても良い様に見ていたが化け物はやがて諦めた様で何処かに行った。


何だったんだ?今の化け物は?


未だに早鐘を打つ心臓の音を感じながら、思考を巡らせる。

明らかに俺に敵意を剥き出しにしていたし、見た事も無い姿をしていた。あんなの旭川動物園には居なかったぞ。

薄々勘付いてはいるが、あれが恐らくニア達が言っていた地上を食い荒らしているモンスターという奴か。

俺の想像では猫や狐なんかを想像していたんだがな。

取り敢えず緊急事態である為、始まりの四角い空間に全員を集め緊急会議を始める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ