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プロローグ
私がいつ何をしたというのだろう。
どうして日に日に増える痣を隠しながら家に帰り、仮面を被って過ごさなければいけないのだろう。
学校の壁にはいじめ防止ポスターが何枚か貼り付けられている。
皮肉なことに、ポスターも私と同じように無視されているのだろう。いくら叫んでも誰も聞かない、一人だけの世界に二人だけ閉じ込められている。悲しいことだ。
私には幼い頃からの夢がある。
ずっと憧れ、目指してきた姿に何の疑問もなかった。
「自分にあった夢を探しましょう」
先生はそう言った。私は頷き、一番なりたい自分を志した。
当時は応援されていた夢は、いつしか年齢を理由に否定されるようになった。
「夢を目指して何が悪いの」私の声は大人には届かない。いつも現実を見ろなんて諭される。
現実的な夢なんて、そんなの夢じゃない。
いつしか私は他者から軽蔑され、一方的な暴力を受けるようになった。
夢を捨ててしまえばなんて何度も思ったけど、世の中の不条理な理論に流されて生きるなんてまっぴらごめんだった。
私には夢がある。これは私の15歳の春のことだ。